拡大
「このごろチャイナ?アート&A」は最近の中華圏における「アートそしてアーキオロジー(考古學(xué))」に関する動きを、レコードチャイナの寫真ニュースを軸にして紹介。不定期配信。今回は「墓泥棒と映畫と『A』」。寫真は兵馬俑と山西省の古代墓。
(1 / 3 枚)
2008年7月18日
【その他の寫真】
■山西省の貧困県は「墓泥棒の聖地」?!副葬品、ほとんどは被害に
中國の法制日報(bào)が先に伝えたところによると、殷?商時(shí)代の歴史遺産の出土地、黃河中流部の山西省石樓(シーロウ)県が墓泥棒の「聖地」と化し、連日、盜掘被害が出ている。同県は國家指定の「貧困県」で、県文物局は厳しい財(cái)政事情から「文物」を保護(hù)できる體制にないため、05年以降、同県內(nèi)の古墳盜掘被害は甚大だという。
昔から権力者の力の象徴でもあった墓、墳?zāi)工摔?、生前の権威、繁栄を?qū)澩獾膜苏F示するもの。その往々にして巨大な外観に止まらず、多くの場合副葬品としてそれ相応の豪華な財(cái)寶などが埋められている?,F(xiàn)世の利益を追求する墓泥棒たちは、當(dāng)然これを承知の上で「殺されかねないリスク」を犯して時(shí)の権力者たちの墓を荒らす。ちなみに私が中國美術(shù)を?qū)Wんだ際、最初のころの講義はほとんど墓から出てきた副葬品の話ばかりで、陽気なインド人の同級生は「暗くて滅入る」と嘆いていた。それくらい大量かつ豪華な美術(shù)?工蕓品が埋葬されているわけだ。
だから、別に秦の始皇帝陵を擁する中國や、アジアにとどまらず、アフリカのピラミッドや歐州、中東など世界各地で、権力者?お金持ちの墓は、財(cái)寶を狙う “彼ら”に荒らされるのがむしろふつう。逆に無傷のまま現(xiàn)代に発見?発掘されれば、文化財(cái)として尊重?保護(hù)される時(shí)代に蘇ったのが極めて幸運(yùn)だったといえる。(本當(dāng)はプライベートな個(gè)人の墓なんですけどね)
それでも、これまで安らかに眠っていた先祖の遺品?遺骨が、歐米先進(jìn)國の勝手な文化的基準(zhǔn)で発掘され、どれほど「文化遺産」などといわれようとも、持ち去られ、大英博物館に大量に展示されているミイラのように、陳列ケースでさらし者にされるわけだ。かつてアフリカ、アジア、中東などの現(xiàn)地では、歐米の考古學(xué)者らが遺跡に殺到し、発掘した遺物を自國に持ち去るような狀況はとても耐えがたかったろう。
長い前置きとなったが、要するに「墓どろぼう」というおどろおどろしい語感とは裏腹に、洋の東西、時(shí)代を問わず墓荒らし(tomb raider)あるいは考古學(xué)者たちによる実質(zhì)的な「墓荒らし」は実に身近なもの、あるいは一般人から見ると結(jié)構(gòu)刺激的な存在であり続けた。
tomb raiderというと、意味が分かりにくいけれど、英國製のゲームを基にした同名の映畫「トゥーム?レイダー」に主演するハリウッド女優(yōu)アンジェリーナ?ジョリーちゃんも所詮そうした「墓荒らし」役だ。現(xiàn)在新作をロードショー中のハリソン?フォード主演「インディ?ジョーンズ」シリーズも、まあ「泥棒」ではなくちゃんと大學(xué)で講義もする「考古學(xué)者」(ちなみに本コラム名の「A」は英語の「考古學(xué)=Archaeology」の頭文字)だが、今編も映畫の中でやっていることは、泥棒目的ではないがかなり亂暴な「荒らし」=文化財(cái)の破壊行為、だったりする。
でも、映畫に描かれる“彼ら”は、美男美女が演じるせいもあり、実に生き生きとし、魅力的だ。日本では考古學(xué)者を描いたこれほどメジャーな映畫が思い浮かばないが、こうしたダイナミックな映畫は歐米の観客に対し遺跡や古代文明、アンティークなどへの好奇心を隨分と刺激してきた。
8月に公開予定のジェット?リー出演作「ハムナプトラ3?呪われた皇帝の秘寶」では、ついに中國考古學(xué)、アート史上の世紀(jì)の大発見である秦の始皇帝陵の兵馬俑を思わせる軍団(英語ではTerracotta Army)が動き出し、「時(shí)を超えて生き返った皇帝のミイラ」とともに戦うようだ。考えようによっては、かつてのツタンカーメンの呪いみたいな安直な設(shè)定だが、兵馬俑のような美術(shù)?工蕓品的な価値も認(rèn)められている世界遺産が動き出すというのはなかなかに愉快だ。中國の若者の好奇心を改めて“刺激”することだろう。
■つぶされれば “ただの素材”、骨董市場に流通する例も
ハリソン?フォードは違うが、たちの悪い墓荒らしは、獲得した金銀財(cái)寶を素材として処分してしまうので、たとえば金細(xì)工はもはやただの金の塊りに戻ってしまい、せっかくの時(shí)代を伝える加工技術(shù)や美的な創(chuàng)意工夫が無に帰してしまう。ただ、そうした墓荒らし行為がすべて破壊の「絶対的な悪」だったかというと、本來であれば墓の主とともに消え去ってしまうはずの「文物」が長い時(shí)を経て現(xiàn)世に戻る。
中國が政府として文化財(cái)の保護(hù)活動に力を入れる現(xiàn)代、山西省の墓荒らしを同列に論じて正當(dāng)化することは許されないが、過去には盜掘された物品が骨董市場などに流通してきたのも現(xiàn)実だ。以前にこのコラムで紹介した沈沒船の引き揚(yáng)げも墓でこそないが通ずるところがある。
蛇足だが、中國語の「文物」という言葉について、英語の辭書に當(dāng)たると、「Cultural heritages」「Cultural relics」「antiques」「things」などとされている。つまり文化的な遺産、遺物、骨董など。私は結(jié)構(gòu)な年齢の日本人なのだが、「遺産、遺物」なら日本語と分かるが、「文物」というのがどうも中身がピンと來ないで困っている。
(文章:Kinta)
プロフィール Kinta:大學(xué)で「中國」を?qū)煿ァ?990年代、香港に4年間駐在。2006年、アジアアートに関する大英博物館とロンドン大學(xué)のコラボによるpostgraduateコース(1年間)を修了。最近「このごろチャイナ」を主體とした個(gè)人ブログ「キンタの大冒険」をスタート。
Record China
2008/5/24
Record China
2008/5/24
Record China
2008/3/31
Record China
2008/3/1
Record China
2008/7/10
ピックアップ
we`re
RecordChina
この記事のコメントを見る