安倍首相は環(huán)太平洋パートナーシップ協(xié)定（TPP）を「安心立命」のためのお守りと考えているようにみえる。さきの米大統(tǒng)領(lǐng)選でトランプ氏が當(dāng)選したことがわかると、外交の慣例を破ってただちにニューヨークのトランプ邸に駆けつけ、TPPを離脫してはならないと「諫言」し、當(dāng)時(shí)任期中だったオバマ大統(tǒng)領(lǐng)を無視した格好になった。だがこの行動(dòng)は実を結(jié)ばず、安倍首相は今度は日本が中心になって米國を除く11カ國でTPP（TPP11）を継続推進(jìn)しようとしている。北京日?qǐng)?bào)が伝えた。（文：呉正龍、元駐クロアチア中國大使）

米國はTPP加盟國全體の國內(nèi)総生産（GDP）で60％以上を占める。米國が參加しないTPPは影響力が大幅に色あせることになる。ベトナムで開催されたアジア太平洋経済協(xié)力會(huì)議（APEC）と會(huì)議で採択された「ダナン宣言」でTPPにもTPP11にも言及されなかったのはもっともだと言える。TPPはすでにトランプ氏に「死刑」を宣告されているのに、安倍首相はなぜあらゆる手を使って起死回生を図ろうとしているのだろうか。主な原因は次の4つだ。

第1の原因は、安倍首相が心の中でTPPを中國の発展を押さえ込む「妙手」と考えていることだ。地縁政治の角度からみると、安倍首相は7年間の交渉の成果を水に流したくないと思い、TPPの「見守り役」を引き受けることを決意し、TPPをできる限り元の形で存続させ、米國がいつでも再加盟できるようにし、ひいてはアジア太平洋の貿(mào)易の枠組みの柱にしようとしている。

第2の原因は、安倍首相がTPP交渉を利用してアジア太平洋で「リーダー」の役割を発揮したいと考えていることだ。安倍首相はTPPを一時(shí)棚上げにして、米國政府が心変わりするのを靜かに待つこともできた。だが実際には反対の道を歩んでいる。安倍首相にとってみれば、地域経済一體化をめぐって、トランプ氏の米國がTPPから離脫した後には大きな可能性が殘されているのであり、機(jī)會(huì)をうかがって介入し、「副警察署長(zhǎng)」の役割を果たし、他の10カ國を抱き込んで、大國日本の指導(dǎo)的役割を見せつけようと考えるようになった。

第3の原因は、日本がTPPから大きなメリットを受けるということだ。日米自由貿(mào)易協(xié)定（FTA）をみると、両國は交渉に數(shù)十年の歳月を費(fèi)やしたが、成果を上げられずにいる。TPPでは日本の「重要5品目」について、米國が大幅に譲歩しており、日本のメリットの方が大きい。日本は目下進(jìn)行中の二國間FTA交渉は、日本にTPPほどの利益をもたらさないと考えている。

第4の原因は、安倍首相が根っこの所ではトランプ氏を評(píng)価していないことだ。安倍首相はトランプ氏に逆らわず恭順の態(tài)度を示し、表面的には二人は非常に仲良くみえる。だが安倍首相は全力でTPPを死守しようとしており、ここから腹の中ではトランプ政権を評(píng)価していないことがわかる。この時(shí)期をなんとかやり過ごせば、TPPは息を吹き返して復(fù)活すると考えているのだ。

こうして安倍首相は自らの「呼びかけ力」と「指導(dǎo)力」に自信をもつようになった。今年5月には、日本をはじめとする11カ國が今月のAPEC開催に合わせて合意文書をとりまとめることを決めた。日本はこのほど、TPPは「大筋合意」したと発表したが、カナダはきっぱりと否定した。さまざまな動(dòng)きからわかることは、TPP11交渉の行く手は茨の道であり、矛盾が積み重なり、重大な飛躍を遂げられる見通しは立たないということだ。

TPP11交渉にはいくつかの爭(zhēng)點(diǎn)がある。

第1の爭(zhēng)點(diǎn)は、早期決著と時(shí)間をかけた決著とのせめぎあいだ。日本は時(shí)間がかかるほどマイナス要素が増えることを懸念し、TPP交渉の熱の冷めないうちに、鉄は熱いうちに打てとばかり、半年以內(nèi)にTPP11交渉をまとめる目標(biāo)を確定した。だが現(xiàn)実はそううまくいかず、希望は泡のように消えた。カナダは急ぐ必要はなく、「包括的で先進(jìn)的な」「自國と世界にとって有益な合意」に到達(dá)することが重要であると考えた。

第2の爭(zhēng)點(diǎn)は、TPPの現(xiàn)狀維持と再交渉とのせめぎ合いだ。日本やオーストラリアはTPPをなるべく現(xiàn)在の形のままにして、米國がいつでも再加盟できるようにしておきたいと考える。そこで日本を中心とする11カ國はTPPの難易度の高い條項(xiàng)について、たとえば醫(yī)薬品の特許の有効期間、知的財(cái)産権の保護(hù)期間、紛爭(zhēng)解決などの條項(xiàng)について、しばらく実施をみあわせることで共通認(rèn)識(shí)に達(dá)した。

ベトナムやマレーシアなどの発展途上國がTPPに加盟したのは、米國市場(chǎng)に進(jìn)出したいがためだった。そこで「高い基準(zhǔn)」を受け入れることと引き替えにして米國市場(chǎng)に「深く參入」しようと考えた。だが現(xiàn)在、米國は離脫してしまい、容量も體積も小さい日本市場(chǎng)では米國市場(chǎng)の代わりにはなれず、ベトナムやマレーシアが今後もTPPにとどまる基本的條件はもはや存在しない。そこで原産地、透明性、環(huán)境保護(hù)、人件費(fèi)などをめぐる高い基準(zhǔn)について再交渉を次々要求するようになったのだ。

第3の爭(zhēng)點(diǎn)は、主導(dǎo)権をめぐる綱引きだ。安倍首相は自らを「リーダー」とし、TPP11交渉を主導(dǎo)しようとしたが、11カ國すべてが安倍首相をリーダーと認(rèn)めたわけではない。カナダは「カナダの痕跡を殘す」ことを求めるとし、交渉での発言権を要求した。カナダは、「文化」の重要性は経済貿(mào)易に劣らず、「國の特徴を形作る上で極めて重要な役割がある」とし、文化保護(hù)の條項(xiàng)を加えるよう求めた。また、カナダの自動(dòng)車部品製造工程には完成までに米國とカナダの國境を何度か往復(fù)するという特徴があるので、原産地ルールの再交渉を求めた。男女平等條項(xiàng)を盛り込もうとする様子などからも、日本への対抗姿勢(shì)がはっきりと見て取れる。

TPP交渉は7年にわたって行われており、米國抜きのTPP11交渉に必要な時(shí)間はさらに長(zhǎng)くなることが予想される。結(jié)局、まとまらない可能性もある。（提供/人民網(wǎng)日本語版?編集/KS）