<コラム>日中餃子論考(2/2)=日本で「ギョーザ」の名が定著した背景には日中の近代史が

如月隼人    2018年3月17日(土) 20時(shí)20分

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中國(guó)語(yǔ)を?qū)Wび始めた人なら、「餃子」の発音をカナで書(shū)けば「ジャオズ」となることはご存じだろう。なぜ日本では「ギョーザ」と呼ばれるようになったのか。資料寫(xiě)真。

今回は「餃子はどうしてギョーザなのか」ということに觸れておこう。中國(guó)語(yǔ)の標(biāo)準(zhǔn)語(yǔ)とはかなり異なるこの呼稱(chēng)は、日本と中國(guó)の近代の歩みという、ある意味で実に重苦しい歴史に関係している。

▼どうして餃子をギョーザと呼ぶのか、中國(guó)語(yǔ)では「ジャオズ」のはずだ

中國(guó)語(yǔ)を?qū)Wび始めた人なら、「餃子」のピンインは「jiaozi(聲調(diào)符號(hào)は省略)」、発音をカナで書(shū)けば「ジャオズ」となることはご存じだろう。なぜ日本では「ギョーザ」と呼ばれるようになったのか。

結(jié)論を先に言えば、山東方言の発音が日本に入ったからとされている。では、日本人と山東省出身者の接點(diǎn)はどこにあるのか。ここで、可能であるなら地図をご覧いただきたい。山東省とかつての満洲、現(xiàn)在の東北地方はとても近いのだ。山東半島北部の煙臺(tái)(イエンタイ)から渤海海峽を50キロメートルほど北上すれば遼寧省大連だ。

▼そもそもの発端は日清戦爭(zhēng)だった、「ギョーザ」の背後には日中の近代史が

清朝は當(dāng)初、漢人の満洲地域への入植を奨勵(lì)したが、1740年以降は漢人の満洲移入を禁止した。狀況が大きく転換したきっかけは1894年から95年にかけての日清戦爭(zhēng)だった。敗北した清は日本に莫大な賠償金を支払うことになった。しかし現(xiàn)金の持ち合わせがない。そこでロシアに仲介してもらい、フランスの銀行からの融資を取り付けた。

清朝に恩を売ったロシアは、宮廷の実力者だった李鴻章に賄賂を贈(zèng)ることを含めて清朝に働きかけ、東清鉄道の敷設(shè)権を獲得した。同鉄道は満洲里からハルビンを経て綏芬河(中ロ國(guó)境の街でウラジオストクに近い)へと続く本線と、ハルビンから大連を経て旅順へと続く支線からなる。

▼多くの山東省人が鉄道建設(shè)のための労働力として移住

この東清鉄道建設(shè)のために大量の労働者が必要となった。主に山東省の住人が現(xiàn)金収入を求めて満洲に渡ったという。山東省は人口が大きく、遼寧省大連などに渡るのが容易だったからだ?,F(xiàn)在も東北三省に住む漢族の多くが山東省住人の子孫だ。そして山東省には「餃子」を「グージャ」のように発音する方言がある。

東北三省でも山東省方言の影響が特に大きいのは、その後、日本人も多く渡ることになった大連を含む遼寧省で、日本人は現(xiàn)地で「グージャ」を「ギョーザ」と聞き取り覚えたとの説が有力だ。

東北地方では日清戦爭(zhēng)以降の歴史も複雑だった。山東省では19世紀(jì)末、キリスト教や外國(guó)勢(shì)力を排斥する「義和団」の運(yùn)動(dòng)が盛んになった。義和団は山東省內(nèi)の外國(guó)人宣教師や清人信者の殺害なども繰り返した。義和団は1900年には北京や天津にも押し寄せた。そのために北京では外國(guó)公館が包囲された。

義和団の運(yùn)動(dòng)は一方で、東北地方にも飛び火した。東北地方には、山東省出身者が多くいたからだ。ロシアは東清鉄道が破壊されたとの理由で、東北地方に大量の兵員を送り込んだ。義和団の亂が鎮(zhèn)圧された後もロシア軍が東北地方に居座り、さらには朝鮮(大韓帝國(guó))にも進(jìn)出したことが、日露戦爭(zhēng)の原因になった。

日中の複雑な近代史はさらに続く。日本が1932年に満洲國(guó)を成立させたことで、結(jié)果として終戦時(shí)の大きな悲劇を引き起こしたことも知られている。一方で、日本に流入した中國(guó)大陸などの事物が、日本文化をさらに豊富にしてきたことも事実だ。そして、ギョーザもその一例と言ってよいだろう。ギョーザが日本で広まった背景を考えると、深刻なテーマにもぶつかってしまうことになる。

▼現(xiàn)在の中國(guó)などで「日本のギョーザ」はどう評(píng)価されているのか

昨今は、多くの中國(guó)人が日本旅行を楽しむことなどで、中國(guó)では日本の食べ物への関心も高まった。では、日本の「ギョーザ」はどう評(píng)価されているのか。ネットなどで検索すると、日本のギョーザは「日式煎餃(リーシー?ジエンジャオ)」と紹介されている場(chǎng)合がある。

中國(guó)語(yǔ)で焼き餃子を意味する「鍋貼(グゥオティエ)」と異なる名稱(chēng)を使うのは、違いを強(qiáng)調(diào)するためであるようだ?!溉帐郊屣湣工巍讣濉工掀藉仱溻煱澶蚴工盲粕倭郡斡亭菬啢长趣蛞馕钉工?。日本語(yǔ)の「焼き餃子」を改めて中國(guó)語(yǔ)訳した言葉と考えてよいだろう。インターネットでは「香脆可口鮮嫩多汁的(サクサクしておいしく、新鮮なお汁たっぷり)」などと紹介されている。評(píng)判は上々であるようだ。

▼餃子の王將が臺(tái)灣進(jìn)出、現(xiàn)地に受け入れられ事業(yè)は好調(diào)

一方で、「餃子の王將」を展開(kāi)する王將フードサービスは2017年4月20日、臺(tái)灣高雄市內(nèi)に臺(tái)灣1號(hào)店をオープンした。同社は海外展開(kāi)を「日本のソウルフードである“焼餃子”を『和食』として世界へ発信」などと位置づけた。5月の売上高は目標(biāo)の約2.6倍の2600萬(wàn)円だったという。

同社は同年11月には高雄市內(nèi)に2號(hào)店をオープン。事業(yè)が順調(diào)であることからも、「日本のギョーザ」の味は臺(tái)灣人にも受け入れられたと考えてよいだろう。

コラムの前半では、ギョーザが日本で広まった経緯を考えると近代史の深刻なテーマにもぶつかってしまうと論じたが、幸いなことに現(xiàn)在は、平和のうちにそれぞれの國(guó)や地域の人の「楽しみを増やす」方向で文化交流が進(jìn)んでいるようだ。実によい狀況と改めて評(píng)価したい。

■筆者プロフィール:如月隼人

日本では數(shù)學(xué)とその他の科學(xué)分野を勉強(qiáng)したが、何を考えたか北京に留學(xué)して民族音楽理論を?qū)煿ァH毡兢藨盲皮椁鲜长伽毪郡幛司幖浾撙蚣跇I(yè)とするようになり、ついのめりこむ?!钢袊?guó)の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執(zhí)筆。

■筆者プロフィール:如月隼人

1958年生まれ、東京出身。東京大學(xué)教養(yǎng)學(xué)部基礎(chǔ)科學(xué)科卒。日本では數(shù)學(xué)とその他の科學(xué)分野を勉強(qiáng)し、その後は北京に留學(xué)して民族音楽理論を?qū)煿ァH毡兢藨盲皮椁鲜长伽毪郡幛司幖浾撙蚣跇I(yè)とするようになり、ついのめりこむ。毎日せっせとインターネットで記事を発表する?!钢袊?guó)の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執(zhí)筆。中國(guó)については嫌悪でも惑溺でもなく、「言いたいことを言っておくのが自分にとっても相手にとっても結(jié)局は得」が信條。硬軟取り混ぜて幅広く情報(bào)を発信。

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