木口 政樹 2017年12月10日(日) 15時0分
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熱かんのうまい季節(jié)になってきた。が、こちら韓國には熱かんという習(xí)慣はない。焼酎もマッコリも冷たいままでそのまま飲む。ただし差しつ差されつというやり方は同じ。隣に座っている友についでやる。相手は當(dāng)方のコップについでくれる。資料寫真。
熱かんのうまい季節(jié)になってきた。が、こちら韓國には熱かんという習(xí)慣はない。焼酎(ソジュ)もマッコリも冷たいままでそのまま飲む。ただし差しつ差されつというやり方は同じ。隣に座っている友についでやる。相手は當(dāng)方のコップについでくれる。
日本での禮儀としては、コップの底にまだいくばくかのアルコール(例えばビール)の液體が殘っている狀態(tài)で、お隣さんはその上についでくれる。これはビールに限らず酒を飲む時の基本的な心遣いといっていいだろう。これを怠って相手のコップが空になってもそれに気付かず話し込んでいたりすると、心配りの下手なやつというレッテルを貼られてしまうに違いない。上司に対してこうしたヘマをやらかしたりすると、職場でのその後の生活が少し穏やかでないものになるかもしれない。
私がサムスン総合研修院の日本語科教授として働いていた時のことだった(27年くらい前)。3カ月単位の日本語課程が終わり、その打ち上げコンパの時のこと。隣に座った學(xué)生(といってもサムスンマンであり大の大人だ。當(dāng)時の筆者より年上)のビールが底を突きそうだった。
幸いまだ少し殘っている?!袱丹ⅳ嗓Δ尽工妊预い胜樗饯膝萤`ルをつごうとした。瞬間、彼は談笑の顔から急に引きつるほどこわばった顔になってこれを拒否するのだった。韓國で「先生」の勧めを拒絶するというのは相當(dāng)のことなのである。おいしそうにビールを飲んでいた彼だ。どういうことなのか私は理解ができず驚いてきょとんとしていたはずだ(記憶はないけれど)。すごく悪いことをしたような、失禮なことをしたような気はするが、どういう落ち度があったのか、私には皆目見當(dāng)がつかないのであった。
この時はその直後、彼の方がどうもすみませんと言って、何が起こったのか種明かしをしてくれた?!赶壬ⅳ沥绀盲趣啶摔胜盲皮筏蓼盲?、ごめんなさい。実は韓國では、コップにビールが殘っている場合、そこにつぎ差しはしないものなんです??栅摔胜毪蓼扦沥螭蕊嫟螭扦樾陇筏萤`ルをつぐというのがここ韓國の昔からのマナーなんです。まだ殘っているのにそこにさらにつぐのは添盃(チョムジャン)といって、祭祀(チェサ。法事のようなもの)の時に先祖(故人)に対して行う行為なんです。普段は絶対にしないものなんです。殘っている分をすぐに飲み干しますので、その後でついでください」ということだった。
そうか、そんなこともあるのか。韓國生活まだ2年目ぐらいの時だったので、「添盃」なんていう言葉も知らない時期だった。大いに學(xué)んだ次第であったが、2人の間にちょっとした緊張が走ってしまい、數(shù)秒の間気まずい時間が流れた。その數(shù)秒を、27年以上も過ぎた今もはっきりと記憶している。酒を飲むならお互いおいしく楽しく飲むに越したことはない。所変われば品変わるで、文化ごとにいろいろな違いがあるわけだから基本的で重要なルールや禮儀はやはり知っておくべきだと肝に銘じた次第である。
またこんなこともある。年下の者が年上の人間の前で酒を飲む時、こちら韓國では面と向かって杯をあおるのは失禮とされ、少し橫を向いて杯をあげるのが禮儀なのだ。韓國に來たての頃(上述したサムスンでの出來事の前だ)、若者たちに日本語を教え、みんなで食事をしての二次會の飲み會で、學(xué)生たちが酒をあおるとき、みんな私からの視線に対して90度ぐらい橫を向いて杯をあおるので、なんとなくおかしくて、私は「あれあれ」という感じでプッと笑ってしまった。日本だったら、親の前だろうと先生の前だろうと、「いただきます」と言ってそのまま杯をあおるはずだ。それに慣れているものだから、こちらでの、ふっとあらぬ方向を向いて飲み干す姿に面食らったわけである。
酒に限らず、たばこを吸う場合も、年上の人、例えば親や先生の前では、面と向かってたばこの煙を吐き出すのは失禮とされ、90度橫を向いて煙を吐き出すようにするのがこちらの習(xí)わしだ。目上の者を敬い先達(dá)を尊ぶという儒教精神がこういったところにも息づいているわけである。酒を飲んだりたばこを吸ったりする時に相手と正面からは対さず、若干斜に構(gòu)えて酒を飲み交わし煙を吐く。こうしたことは韓國の美しい風(fēng)習(xí)として、わが心の引き出しにそっとしまってあるのである。
■筆者プロフィール:木口政樹
イザベラ?バードが理想郷と呼んだ山形県米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結(jié)婚。三星(サムスン)人力開発院日本語科教授を経て白石大學(xué)校教授(2002年?現(xiàn)在)。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。
■筆者プロフィール:木口 政樹
イザベラ?バードが理想郷と呼んだ山形県?米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結(jié)婚。元三星(サムスン)人力開発院日本語科教授、元白石大學(xué)校教授。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。著書に『おしょうしな韓國』、『アンニョンお隣さん』など。まぐまぐ大賞2016でコラム部門4位に選ばれた。 著書はこちら(amazon)Twitterはこちら※フォローの際はメッセージ付きでお願いいたします。
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