Record China 2008年7月22日(火) 14時19分
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「よく降りますねぇ」中國人の友人、Yさんと會ったとき、彼は開口一番、僕にこう話しかけた。日本人同士の會話なら、ごく當(dāng)たり前の「天気ネタ」だが、ここ北京では、なかなか「お耳にかかれない」一言。寫真は7月6日、快晴となった朝陽公園。
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「よく降りますねぇ」中國人の友人、Yさんと會ったとき、彼は開口一番、僕にこう話しかけた。日本人同士の會話なら、ごく當(dāng)たり前の「天気ネタ」だが、ここ北京では、なかなか「お耳にかかれない」一言。というのも、日本と異なり、北京はこの時期も、日本ほど雨が降らないし、降ったとしても、短時間ですぐ止んでしまう。カラッとした真夏の暑さがすでに始まるというのが、この時期の北京だった。僕の“持論”?は「北京では傘はいらない」だったのだ。
ところがどっこい…今年は、まるで日本の梅雨のように、6,7月はよく雨が降る。だから、折り畳み傘が欠かせない。朝方は晴れ間が広がっていても、晝過ぎから突然、雲(yún)がたちこめ、激しい雨が降り出すというのも一度や二度ではない。というわけで、最近は北京の人たちの「挨拶言葉」は「ご飯食べた?」ではなく、「天気はどうだ、こうだ」という、まるで日本人のようなものになるわけだ。
こと北京五輪についても、この「天気ネタ」は非常に大きな関心事となっている。特に8月8日午後8時、北京五輪開幕のそのとき、雨が降らないでくれるかどうかは、総合演出のチャン?イーモーも「非常に大切な要素」と率直に語るように、中國國民の“祈り”にも似たものとなっている。
7月15日、中國気象局の気象予報(bào)官が注目の「予報(bào)」を発表した。過去57年の気象観測のデータを分析した結(jié)果、8月8日、北京地區(qū)の降水確率は47%。さらに、開幕式が行われる國家體育場(愛稱:鳥の巣)付近に限って言えば41%という予報(bào)が出た。ただ「激しい雨の降る可能性は非常に低い」ということ。
この、あまりにも微妙な數(shù)字に、どう反応すればいいのか分からないが、とりあえず、「降るかもしれないし、降らないかもしれない」ということなのだろう。ある意味、「絶対に外れない」非常に巧妙な數(shù)字でもある。
なお今後、開幕當(dāng)日の天気については、2週間前から専門家による検討をはじめ、1週間前には発表するということだ。また大會期間中、大きな気象の変化がある場合、短時間予報(bào)として、隨時、発表することになる。また各競技場の天気予報(bào)は期間中、72時間前には公表される。これまでの大會がいずれも24時間前だったのに比べると、格段の技術(shù)の進(jìn)歩、そして「気の使いよう」といえるだろう。
この天気に対する強(qiáng)い関心は日本の皆さんにとってみれば、ごく當(dāng)たり前のことのように思えるかもしれないが、長年、ここ北京に住んでいる私にとっては、非常に不思議な感覚を覚える。北京の人たちは、ニュースが終わって、天気予報(bào)のコーナーに入れば、無関心にチャンネルを変える人が多い。雨がめったに降らないから、とにかく気象情報(bào)には無頓著だったのだ。
それが、ここ數(shù)日の北京の例年と異なる気象、そして、メディアや當(dāng)局による北京五輪中の気象に対する関心の高さなどがあって、北京市民は改めて、気象の動向に関心を払い始めたというわけだ。
だが、中國の人たちの「天気への関心」は、予報(bào)だけに留まらない。すでに、自明のこととなっている「人工降雨?消雨」によって、人工的に天候を左右させる実験が著々と行われている。6月末から7月初旬にかけて北京を襲った“暴雨”については、元々あった雨雲(yún)を「利用した」のではあるものの、人工降雨によるものであることを當(dāng)局関係者が明かしている。
では、開幕式當(dāng)日、気象操作が行われるのか?ということになるが、専門家によると「まだ研究段階であり、ごく小さな範(fàn)囲の小雨をコントロールできるに過ぎない」そうで、降水確率を完全にゼロとすることは「今のところ」できないそうだ。ただ、國家を挙げた開幕式を前に、どんな手段を使ってでも「“晴れ”にしろ」という無茶苦茶な命令が出ていないとは限らない。実際、去年の「1年前イベント」のときは、前日までの下り坂の天気が、當(dāng)日は打って変わって快晴となったし、日本代表が大挙して出場したマラソンの五輪テスト大會では、「環(huán)境汚染」への批判を恐れたのか、北京全域(マラソンコースを全て覆う形で)大雨が降り続いた。どれも、何らかの「気象操作」を行ったことは當(dāng)局が認(rèn)めており、その力はすでに実証済み、である。
それにしても、「天気は変えられない自然の産物」として、むしろ、その天気に順応しながら生きる日本人に対して、その天気を丸ごと変えてしまおうと自然に“挑戦”する中國の人たちの発想の違い…北京五輪と、今年のちょっとした“異常気象”はそんな日中の自然観の違いも浮き彫りにしたといえるだろう。
夏の北京 日傘は必須だが雨傘はいらない。
<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>
■筆者プロフィール:朝倉浩之
奈良県出身。同志社大學(xué)卒業(yè)後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ?ニュース?ドキュメンタリー等の制作?取材に関わる?,F(xiàn)在は中國にわたり、中國スポーツの取材、執(zhí)筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中國國際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。
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