<コラム>中國問題で揺れるオーストラリア(2/2)獻金受け取りで辭職する議員、留學(xué)生襲撃も多発か

如月隼人    2017年12月22日(金) 19時40分

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中豪関係が険悪化している。中國から豪政界に対する獻金問題が発端となり雙方が批判を応酬。中國の現(xiàn)地公館は、中國人留學(xué)生に対する暴力事件が発生しているとして注意を呼び掛けた。寫真は豪のチャイナタウン。

オーストラリアではターンブル首相自らが、中國がオーストラリアの政治に対して「これまで前例のない、ますます巧妙な工作を行っている」と発言。中國側(cè)が反発すると、ターンブル首相は毛沢東主席の建國宣言をパロディーのように用いて、中國語で「オーストラリア人民は立ち上がった)」と述べ、中國側(cè)は改めて反発した。

事態(tài)はさらに進展した。オーストラリアの野黨?労働黨のダスティヤリ上院議員が12日、中國人実業(yè)家から政治獻金を受けていたことを認(rèn)め、辭職して次回選挙に出馬しない意向を明らかにしたのだ。ダスティヤリ議員は南シナ海の問題について中國寄りの発言を続けてきたことで知られている。ダスティヤリ氏は1983年生まれで、若手有望政治家と見られていた。

ここで思い起こしてしまうのは、「オーストラリアの國內(nèi)政治に影響を與える考えはない」としていた中國外交部の耿爽報道官の発言だ(前回參照)?!改膝伐屎栴}はオーストラリアの國內(nèi)問題ではない」と解釈すれば、形式的には「ウソでない」とも言える。しかし、獻金していたことが事実ならば、中國は金銭を使って他國の政治に干渉していたことになる。11日の記者會見で、報道官が「いけしゃあしゃあと言い逃れをした」とのイメージは、中國に対する不信感をさらに増加させることになった。

陸慷報道官はダスティヤリ議員の辭職表明直後の12日の記者會見では、同議員の辭職問題について「他國の內(nèi)政についてはコメントしない」と述べた上で、「最近、個別の西側(cè)國家で突然、『他國の內(nèi)政には干渉しないこと』に関心が出ている。よいことだ。これらの國の人々の頭に、『內(nèi)政不干渉』が根づけば、國際関係の健全な発展に効果がある」などと述べた。

この「妙に強気な対応」は、中國人が窮地に立たされた場合にしばしば見せる反応だ。自分らの姿勢にブレがないことを「証明」しようとする心理が働いているように思える。しかし、報道官としては「言わずもがな」の発言であり、かえって失笑を買ったことは間違いない。

15日付ロイター社によると、中國外交部が8日、駐中國オーストラリア大使を呼び出して、中國が內(nèi)政干渉を試みているといオーストラリア側(cè)の主張に抗議していたことも分かった。

オーストラリア內(nèi)には、ターンブル首相以上の対中強硬論も多い。そこで問題になるのが、オーストラリア経済に中國への依存體質(zhì)が定著してしまっていることだ。オーストラリアにとって中國は2000年以來、最大の貿(mào)易相手國だ。中國政府商務(wù)部(商務(wù)部)によると、2016年におけるオーストラリアの対中輸出額は599億1000萬ドルで、前年比1.4%減とわずかに後退したが、同國の輸出総額の31.5%を占めた。オーストラリアの主な輸出品目は鉄鉱石や石炭だ。

中國には、関係が悪化した國を経済面で苦境に陥れようとした「実績」がある。しばらく前には尖閣諸島の問題などで対立を強めた日本に対してレアアースの輸出を差し止めた。最近では、高高度防衛(wèi)ミサイル(THAAD)配備で、それまでは「蜜月関係」だった韓國が、中國人観光客の激減や中國に展開する韓國系小売チェーンのロッテマートが営業(yè)中止に追い込まれるなどで、大きな打撃を受けた。

そのため、中國が石炭や鉄鉱石の輸入先をブラジルに切り替える可能性があるとの見方もある。しかし、中國が仮にそのような動きに出た場合、中國にとって少なくとも中長期的に有利になるとは思えない。中國がオーストラリアからの資源商品の買い付けを控えれば、日本、あるいはインドなどが同國からの買い付け量を増やそうとするかもしれない。オーストラリア側(cè)企業(yè)が対中貿(mào)易の「政治リスク」を痛感すれば、その後は対中取り引きに慎重になる可能性が高い。

何といっても、韓國が「B to C」のビジネスで中國市場から利益を得ていたことと、オーストラリアと中國のビジネスが主に基幹産業(yè)に直結(jié)するタイプの「B to B」であることの違いはかなり大きいはずだ。中國企業(yè)がオーストラリアに対して鉄鉱石など原材料の輸入のために膨大な金銭を投じているのは「製品を売って儲けさせてもらう」ことが目的だからだ。

オーストラリアについては、もうひとつ注目すべき事情がある。ターンブル政権が発足したのは9月20日だった。ターンブル氏の子息は北京での留學(xué)期間中に知り合った女性と結(jié)婚したが、この女性は中國政府のアドバイザーとして活躍し、江沢民元國家主席とも親交があったとされている。そのためオーストラリアでは「ターンブル首相には中國寄りの姿勢が目立つ。その背景には親族の問題がある」との批判も出ていた。ターンブル首相は國內(nèi)からの批判を避けるためにも、中國に対してある程度以上、毅然とした姿勢を取り続けざるをえないだろう。

オーストラリア國內(nèi)では、反中感情も高まっているようだ。在メルボルンの中國総領(lǐng)事館は19日、「最近になりオーストラリアの複數(shù)の場所で數(shù)回にわたり、中國人留學(xué)生を侮辱したり毆打する事件が発生している」「オーストラリア滯在中には安全上のリスクに直面する可能性がある」として注意を呼びかけた。

中國総領(lǐng)事館は同呼びかけにおいて、「危険な狀況に遭遇した場合には、ただちに警察に通報し、在オーストラリアの中國大使館?領(lǐng)事館にも速やかに連絡(luò)すること」として、大使館を初めとする在豪外交公館すべての電話番號を紹介した。

たとえ中國の政策に対する激しい反発があったとしても、中國人の留學(xué)生を襲撃する行為が許されないことはもちろんだ。ましてオーストラリアには、人種差別政策の「白豪主義」を長年にわたり取り続け、1970年代になりやっと「人種差別禁止法」を成立させるなどで、「多文化主義」を國際的に掲げるようになった経緯がある。

実際には、オーストラリアで白人至上主義の感情が消えたわけではない。2005年には暴徒化した白人集団が中東系移民を無差別に襲撃する事件が発生した(クロナラ暴動)。アンケート調(diào)査でも、白豪主義的な考えを持つ人が相當(dāng)數(shù)存在することが分かっている。また、「白豪主義」「保護貿(mào)易」「反イスラム」を主張するワン?ネーションが連邦議會(國會)で議席を確保している。

世界全體を見てもこのところ、「自國絶対優(yōu)先主義」を掲げる政治勢力の臺頭が目立つ。オーストラリアについても、中國との対立が引き金になり、「白人至上主義」が勢力を得る可能性が全くないとは言えない情勢だ。

■筆者プロフィール:如月隼人

日本では數(shù)學(xué)とその他の科學(xué)分野を勉強したが、何を考えたか北京に留學(xué)して民族音楽理論を?qū)煿?。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業(yè)とするようになり、ついのめりこむ?!钢袊慰諝荨工蛘i者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執(zhí)筆。

■筆者プロフィール:如月隼人

1958年生まれ、東京出身。東京大學(xué)教養(yǎng)學(xué)部基礎(chǔ)科學(xué)科卒。日本では數(shù)學(xué)とその他の科學(xué)分野を勉強し、その後は北京に留學(xué)して民族音楽理論を?qū)煿?。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業(yè)とするようになり、ついのめりこむ。毎日せっせとインターネットで記事を発表する?!钢袊慰諝荨工蛘i者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執(zhí)筆。中國については嫌悪でも惑溺でもなく、「言いたいことを言っておくのが自分にとっても相手にとっても結(jié)局は得」が信條。硬軟取り混ぜて幅広く情報を発信。

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