【週末美術(shù)館】スキンヘッドの男―方力鈞

中國(guó)にとっての1989年。理想を抱く若者らは、「天安門事件」によって大きく昂ぶり、そして深い挫折を経験した。これを契機(jī)に90年代の北京から沸き起こった「シニカル?リアリズム」は、中國(guó)現(xiàn)代アート史における最大の潮流として、現(xiàn)在に脈々と引き継がれている。そのムーブメントの旗手として広く國(guó)內(nèi)外に知られたのが畫家?方力鈞(ファン?リジュン)だ。幼少期に文革を経験し、青春期を改革開放政策による急激な経済発展の怒濤の中で過(guò)ごし、天安門で民主化への夢(mèng)を打ち砕かれたこの作家は、身を寄せる場(chǎng)所を見つけられずに流浪する魂を、作者自身と思われるスキンヘッドの男に投影して表現(xiàn)し続ける。

【その他の寫真】

「シニカル?リアリズム」の作家らは共産主義化以降、工業(yè)化や現(xiàn)代化と、流転を繰り返す國(guó)情を主題にしながら、それらに皮肉やユーモアを交えつつ、冷徹な視線を失わない作風(fēng)が特徴である。そこに、天安門事件を経て90年代半ばまで國(guó)內(nèi)に蔓延した「しらけ」ムードや、現(xiàn)代に生きる知識(shí)階級(jí)の都市生活者が共通して抱える虛無(wú)感をあぶりだす。

方力鈞の作品に登場(chǎng)する人物は、一様に個(gè)としての存在感を欠いたアノニムな存在として描かれているようにも思えるが、作者自身をモデルとしているようにも見受けられる。この「スキンヘッドの人物」は一貫して彼の作品に登場(chǎng)するが、簡(jiǎn)潔さを重んじる方力鈞にとって、髪の毛を持たない頭部は「裝飾による隠し事」を許さない、本質(zhì)への追究を象徴している。シニカルな笑いを描き出しながらも、その作品から理知や冷靜さが感じられる所以はその點(diǎn)にあるといえよう。激動(dòng)する世界の中に、不変の真実は果たして存在するのか？求め、彷徨う魂の軌跡が、方力鈞の作品には存在する。(文/山上仁奈)

●方力鈞（ファン?リジュン）

現(xiàn)代美術(shù)畫家。1963年、河北省邯鄲市生まれ。1989年、中央美術(shù)學(xué)院版畫學(xué)部卒業(yè)。90年代以降の中國(guó)現(xiàn)代アートの主流「シニカル?リアリズム」の旗手。文革時(shí)代に生まれ、改革開放後の急激な経済成長(zhǎng)や天安門事件など激動(dòng)の中國(guó)現(xiàn)代史を経験し、作品にそれが反映した「ポスト89」世代の蕓術(shù)家でもある。自身をモデルにしたと思われるスキンヘッドの男を描いた作品が特に有名で、不気味ともいえる雰囲気とそれに相反したポップさやユーモアが融合し、一度見たら忘れられない獨(dú)特な世界観を確立している。作品はMOMA(ニューヨーク)やポンピドゥーセンター(パリ)など名だたる美術(shù)館に展示され、ベネチアビエンナーレにも2回出品している。世界各地で活躍する數(shù)少ない中國(guó)人アーティストのひとりである。

※週末美術(shù)館では、中華圏のアーティストを中心に日本や世界各地の寫真作品、美術(shù)作品、書道作品など様々なジャンルの作品をご紹介していきます。

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