Record China 2009年3月26日(木) 10時7分
拡大
「このごろチャイナ?アート&A」は最近の中華圏における「アートそしてアーキオロジー(考古學)」に関する動きを紹介。不定期配信。今回は三國志を原作とした映畫レッドクリフ。寫真は絶世の美女役で登場する現(xiàn)代の中華圏の美女リン?チーリン。
(1 / 2 枚)
2009年3月、先日試寫會で、中國の古典「三國志」を原作とした映畫「レッドクリフ」の後編「レッドクリフ PartII ―未來への最終決戦―」を見た。色々な評価があるようだが、私は素直に面白かったし、単純な娯楽作品だけではない訴える部分も感じ、満足して帰路についた。
【その他の寫真】
■単純に娯楽だけでなく訴えも?英雄の戦いにおける個の辛さ
長年來の映畫好きとして、総合アートとしての映畫への期待を込め、その魅力を分析すると、まず三つの視點が挙げられる。
1、三國志の英雄の戦いを個人レベルに引き下げ、時代を超えた戦爭における個人の辛さをみせてくれた。
2、火を燈した大きな燈篭型のタコが赤壁の戦いの先駆けとして大空に放たれるなど、中國的な風俗、習慣が親近感をもって感じられた。
3、共通の古典が改めて身近になった。
三國志と言うと英雄の物語だが、歴史は英雄だけのものではないという監(jiān)督のメッセージが伝わってきた。たとえば「火攻(フオコン)」のため家族への遺書を破り捨てて臨む呉の國の兵士たち。この場面は第二次世界大戦の時の日本の神風特攻隊、さらには現(xiàn)在も続くイラクやパレスチナにおける自爆テロさえも連想させる。また、もう一つの象徴となるサッカーのような球技が得意という理由だけで1000人の部下を持つ隊長に取り立てられた気のいい若者は、現(xiàn)代なら歐州のプロサッカーリーグで活躍するような人材なのだろうけれど、スパイとして潛入していた尚香と友達となり、彼女を信じたままその目の前で…。戦闘シーンは激しく迫力があって、この映畫の見せ場でもあるが、製作側(cè)は単純なアクション映畫にしようとしていない。
レッドクリフの原作である「三國志」は英訳もある國際的に知られた中國の古典だ。たとえば、呉の參謀周瑜が孫子の兵法にある「風林火山」を唱えながら剣の鍛錬をする場面が出てくるが、「風林火山」は日本ではNHKの大河ドラマでよく取り上げられる戦國時代の武將?武田信玄が実踐した戦術(shù)として著名だ。さらに、橫山光輝の漫畫「三國志」を読んだり、陣取りゲームの三國志をプレイした者には、ただ名前と靜止した絵あるいはデジタルの點數(shù)だけだった英雄が、動きのあるストーリーの中でより現(xiàn)実に近い身近な「人間」になる。隣りにある漢字文化圏として特に縁の深い日本の観客としては、共通の古典を改めてとても近しく感じた。
■原作內(nèi)容とのズレは三國志を広めた功績で帳消し
全編を通して原作との違いはたくさんあるようだ。本作品には、周瑜が実は孔明のあまりの聡明さを恐れて殺そうとしたくだりがなく、二人が最後まで良きライバルとして協(xié)力したと描かれるなど、原作との違いの中には相當大きなものもある。しかし、そもそも「日本の三國志は江戸時代に伝わって吉川英治が作り上げた、中國とは別のもの」(加藤徹?明治大學教授)という指摘もあるくらいで、中國での原案にしても、別に日本の漫畫のように一人の作者が完璧にその世界の中で作り上げた純粋なオリジナルではない?,F(xiàn)代の映畫監(jiān)督のフィルターを通して再構(gòu)築する時に、絶対離れられないかっちりとした下敷きはないと思って自由にやってもいいのでは、というのは暴論だろうか。
中國を代表する伝統(tǒng)文化である京劇の専門家、加藤教授は1993年にカンヌ映畫祭でグランプリを受賞した映畫「覇王別姫」について、「小説や映畫はフィクションなのだから、潤色や誇張があるのは仕方ない。京劇ファンを世界的に増やした功績に免じ、目をつぶるべきであろう」(「京劇」p123)と評価している。三國志ファンを世界に増やしたレッドクリフの功績も同様に評価されていいのではなかろうか。折からテレビ、雑誌など各メディアは三國志関連を盛り上げブームに乗ろうとしている。
ともあれ、この映畫のおかげで、現(xiàn)代の中華圏の美女リン?チーリン、「ラスト、コーション」の名優(yōu)トニー?レオンら、中華圏の俳優(yōu)たちが改めて近い存在となった。日本から出演した中村獅童の役は臺詞が少なく演技も単調(diào)で物足りなかったが、試寫會の私の後ろの席では若い女性が「獅童かっこよかったね?」と息を弾ませていた。中國では三國志における最高の主役とされる孔明役に日臺ハーフの國際派?金城武が抜擢されており、日本人的にはうれしい配役だ。
最後に注目點を二つ挙げると、一つは本作品に描かれた女性たちの活躍ぶり。もう一つは2本に分けたことの効果だ。
女性陣の活躍は、リン?チーリン演じる絶世の美女?小喬、そして敵地に果敢に忍び込む尚香に注目すれば分かる。香港のカンフー映畫でもそうだが、女性もじっとしていないのが中華的な伝統(tǒng)だ。曹操が呉を攻めた主因とされる美女?小喬も、中國の美女の代名詞は唐三彩に代表されるふくよか系美女?楊貴妃だけではないことを知る意味でも面白い。むしろ楊貴妃が例外で、伝統(tǒng)的な中華系美女は現(xiàn)代を代表する臺灣のモデル、リン?チーリン的な可憐な風情なのかもしれない。
レッドクリフが二編に分かれたおかげで、私は、『パイレーツ?オブ?カリビアン』の2作目を見てから3作目を見た時のような感覚を味わった。1作目を見ずに2作目「デッドマンズ?チェスト」を見たため、當時売れっ子だったジョニー?デップの人気だけにおんぶしたお遊び作品かと思ったが、3作目「ワールドエンド」の中で、2作目で敷かれた伏線が生きてきたのを見てこの映畫に対する評価がガラッと変わった。
レッドクリフも1作目はイマイチ動きも乏しく見え、別段感動するほどの後味は殘らなかったが、今回ParIIを見て、1作目で物足りなかったものが満たされた。ただ、逆に作品の完成度からは1作目を見なくてもPartIIだけで楽しめる気もした。
先日公開されたばかりのもう一つの中華圏?日本合作映畫「DRAGONBALL EVOLUTION」は原作との乖離が日中両國で不評のようだ。
某ポータルサイトの映畫欄のユーザー評価(5段階で5が最高)では、「DRAGONBALL EVOLUTION」が1.78に対して、「レッドクリフ PartI」が3.29、公開前の試寫會などによる「レッドクリフ PartII ―未來への最終決戦―」は3.17といずれも大きく上回っている。(3月21日現(xiàn)在)
興行的に興味があるのは、スターウォーズのような連作をつなげるやり方がこれほど短期間で、しかも2編しかない映畫でどれほど成功するかだ。最近ではやはり日本の漫畫を原作とする「20世紀少年」で試されている。
公開が楽しみだ。(文章:Kinta)
■プロフィール Kinta:大學で「中國」を?qū)煿ァ?990年代、香港に4年間駐在。06年、アジアアートに関する大英博物館とロンドン大學のコラボによる postgraduateコース(1年間)を修了。08年「このごろチャイナ」を主體とした個人ブログ「キンタの大冒険」をスタート。
この記事のコメントを見る
Record China
2009/2/27
2008/7/19
2009/3/21
2009/3/16
ピックアップ
we`re
RecordChina
お問い合わせ
Record China?記事へのご意見?お問い合わせはこちら
業(yè)務(wù)提攜
Record Chinaへの業(yè)務(wù)提攜に関するお問い合わせはこちら
この記事のコメントを見る