Record China 2009年7月7日(火) 19時45分
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09年7月、ブログ「21世紀(jì)中國ニュース」は、ウルムチ騒亂の発端と伝えられる広東省の暴行事件に関する記事を掲載。背景には、都市の低所得住民がウイグル人を暴行する、すなわち弱者が弱者を虐げる「救いようのない構(gòu)造」があるという。寫真はウイグル族。
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2009年7月、レコードチャイナのライターによる個人ブログ「21世紀(jì)中國ニュース」は、ウルムチ騒亂の発端と伝えられる広東省玩具工場の暴行事件に関する記事を発表した。都市の低所得住民がウイグル人を暴行する、すなわち弱者が弱者を虐げる「救いようのない構(gòu)造」があるという。
【その他の寫真】
同ブログの內(nèi)容は以下の通り。
7日早朝の発表では、ウルムチ騒亂の犠牲者數(shù)は156人と前回発表より16人増えた。負(fù)傷者數(shù)は1080人を數(shù)えている(7日付レコードチャイナ)。犠牲者の多さはもちろんのこと、事件の背後に潛む「救いようのない構(gòu)造」が気を重たくさせる。
ウルムチ騒亂の発端となった集會は、6月26日に広東省韶関市の玩具工場で起きた暴行事件に抗議する目的で開催されたと伝えられている。この6月26日の事件がなんとも「救いようのない」ものであった。(6月28日付レコードチャイナ)
広東省では中國西部地區(qū)の余剰労働力を出稼ぎ労働者として引き受ける政策を?qū)g施していた。事件が起きた工場でも今年5月に約600人の新疆ウイグル自治區(qū)出身者を採用している。彼らが採用された後、「ウイグル人が漢民族の女性を暴行した」とのうわさ(いくつかのバージョンがある)がインターネットを中心に広まっていった。25日、ついに事態(tài)は臨界點(diǎn)を超え數(shù)百人が入り亂れる亂闘騒ぎとなった。ウイグル人2人が死亡したと発表されているが、一説には犠牲者數(shù)は発表を大きく上回るとも伝えられている。
この事件の何が「救いがたい」のか。漢民族で騒ぎに加わった者の多くは工場労働者と伝えられているが、低所得者層に位置する人々である。またおそらくは出稼ぎ農(nóng)民も含まれていただろう。中國語で「弱勢群衆(zhòng)」と呼ばれる権力を持たぬ人々が、さらに弱い人々を蔑視し暴力を振るった。事件はこうした「構(gòu)造」を內(nèi)包している。
中國の一般市民には少數(shù)民族への差別意識が根強(qiáng)く殘っている。中國滯在時には月給1000元(約1萬4000円)程度の低所得者層の友人も多くいた。みな気の良い友人であったが、一緒にでかけると「ウイグル人がいる。泥棒だから注意しなさい」「チベット人はうそつき」などと親切にも警告してくれたことを思い出す。
差別の対象はウイグル人やチベット人だけではない。多くの少數(shù)民族が住む雲(yún)南省や貴州省では、タクシーの運(yùn)転手に「少數(shù)民族はうそつきで怠け者なんだ」と熱弁を振るわれた。それどころか「あそこのレストランは河南省の出稼ぎ農(nóng)民がやっている。汚いから行かないほうがいい」と漢民族相手でも差別意識をむきだしにしていることもある。
今年2月、文學(xué)賞?エルサレム賞を受賞した村上春樹氏はスピーチで次のように話している?!浮焊撙啤⒐踏け冥ⅳ?、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私は常に卵側(cè)に立つ』ということです。そうなんです。その壁がいくら正しく、卵が正しくないとしても、私は卵サイドに立ちます」、と。(日本語訳は47ニュースのもの)
「卵と壁」、この比喩を強(qiáng)い者と弱い者と理解するならば、社會的に弱い立場にある工場労働者がウイグル人を暴行した事件は「卵と卵」とでも言うべき狀態(tài)であろう。そこには批判するべき「強(qiáng)者」が存在せず、もはや途方にくれるしかない。
村上春樹氏は「卵と壁」の比喩を強(qiáng)者と弱者となぞらえることもできると認(rèn)めながら、より深い解釈があるという。「私たちは皆、多かれ少なかれ、卵なのです。私たちはそれぞれ、壊れやすい殻の中に入った個性的でかけがえのない心を持っているのです。わたしもそうですし、皆さんもそうなのです。そして、私たちは皆、程度の差こそあれ、高く、堅(jiān)固な壁に直面しています。その壁の名前は『システム』です。『システム』は私たちを守る存在と思われていますが、時に自己増殖し、私たちを殺し、さらに私たちに他者を冷酷かつ効果的、組織的に殺させ始めるのです」、と。
この解釈に従えば、「卵」とは個性や個人的な感情に従うことであり、「システム」とはそれを妨げるあらゆるもの、といったところだろうか。あくまで個人的な地點(diǎn)から出発して考え行動すること。それは決して不可能なことではないように思う。ただしそれはあくまで個人的な體験であり、多くの人に広めようとする運(yùn)動になった瞬間に「卵」としての屬性を失ってしまう、きわめて脆いものでしかない。
ウルムチ騒亂発生後、鎮(zhèn)圧された集會が暴力的な破壊活動だったと報じられていることもあり、ウイグル人への憎悪はむしろ高まる一方だ。そうした視點(diǎn)に立てば、中國政府の民族融和政策や西部地區(qū)への財政支援も「金をゆする汚い行為」にほかならず、「やつらは優(yōu)遇されている」との怒りにつながっている。もちろんウイグル人も「俺たちは虐げられている」との強(qiáng)い憤りを持っている。
弱い者たち同士、虐げられた者たち同士による憎悪の連鎖。その「救いようのない構(gòu)造」に出口は見えない。(筆者:chinanews)
■「21世紀(jì)中國ニュース」は中國在住経験を持つ翻訳者のブログ。『21世紀(jì)は中國の世紀(jì)』と言われその成長がもてはやされるなか、「このまますんなりと発展が続くとは思えない」と考え、スポーツにとどまらず中國関連の「気になるニュースをピックアップし」紹介している。FC2ブログに掲載。
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