2009年10月、臺(tái)北市にある國(guó)立故宮博物院で、中臺(tái)60年の歴史の中で初めて、北京側(cè)の収蔵品を臺(tái)灣に貸し出した清朝皇帝「雍正帝」の特別展が合同開(kāi)催されている。14日、十?dāng)?shù)年ぶりに臺(tái)灣を再訪し同展を見(jiàn)てきた。

【その他の寫(xiě)真】

▼十?dāng)?shù)年ぶりの再訪でレストランの特別メニューに興奮

美術(shù)品數(shù)60萬(wàn)點(diǎn)以上、すべての所蔵品を見(jiàn)るには何年もかかるという臺(tái)北の故宮は07年2月に新裝オープンしてまだ3年に満たない。

特別展以外の所蔵品にも目移りするのだが、特に目玉である二つの清代の翡翠、「翠玉白菜（白菜の形）」と「肉形石（紅焼肉の形）」には興奮し、隣接の新しいレストランで似た形に調(diào)理した特別メニューを注文し記念撮影したほどだ。

さて目的の特別展は、メディアによって「臺(tái)灣海峽両岸初の合同展」として大々的に紹介されてきた。だが、いざ現(xiàn)地に行ってみると、政治的に微妙なことを避けたものか、ポスターにも入り口にも特にその點(diǎn)に関する大々的な紹介文はない。個(gè)々の展示品にも大陸からの出展を強(qiáng)調(diào)した解説はなく、「普通に他館の所蔵品であることが記載されている」（インフォメーションデスク）だけだった。

しかし、普段から同博物館に通っている舊知の臺(tái)北市民は「そんなもの書(shū)いてなくても分かるから、今回は大陸から出展された品だけを見(jiàn)に行った」と語(yǔ)り、別に大げさに強(qiáng)調(diào)しなくても構(gòu)わないという落ち著いた反応だった。

にぎやかな様子が目に飛び込んできたのはむしろ、このほど解禁された大陸からのツアー客たち。車(chē)寄せには団體バスが橫付けされ、ガイドと一緒に大人數(shù)が館內(nèi)をめぐりミュージアムショップでお土産購(gòu)入に勵(lì)んでいた。

特別展のために北京の故宮から來(lái)た品目では、日本の漆器に刺激を受けて中國(guó)で作られたらしい、薄い風(fēng)呂敷で包んだように見(jiàn)える金彩の品が面白かった。中臺(tái)合作展における思わぬ「日本」の登場(chǎng)で、日本からの観光客も現(xiàn)地ガイドの案內(nèi)に、「面白いね」と足を止めて見(jiàn)入っていた。

かつて國(guó)民黨が大陸を去るに當(dāng)たり、厳選して持ち出した皇帝に伝わる名品ぞろいだけに、臺(tái)北故宮の所蔵品の質(zhì)は高い。日本や英仏などでみたものにもかつて紫禁城から略?shī)Zされた名品が含まれていたはずだが、やはり臺(tái)北のものは総じて細(xì)やかな造作が丁寧に作り込まれ、保存狀態(tài)も極めて良いように見(jiàn)受けた。

日本語(yǔ)のオーディオガイドを聞きながら半日いても見(jiàn)飽きぬ量と質(zhì)で、心を殘しながら臺(tái)北を後にした。

▼殺到する大陸からの観光客、臺(tái)灣の人民元獲得源にも

新裝なった臺(tái)北故宮は、平日でも大陸からの観光客だけではなく小中學(xué)生なども含め大勢(shì)の入館者の活気にあふれていた。週末には無(wú)料入館日も設(shè)定されており、多くの來(lái)館者を受け入れようという姿勢(shì)はロンドンの大英博をも彷彿とさせる。展示品の照明も、薄暗くてよく見(jiàn)えない一部の日本の國(guó)立博物館とは違って、見(jiàn)やすい十分な明かるさが保たれていた。4階にある軽食?喫茶レストラン「茶蕓館?三希堂」は中華風(fēng)の清潔で落ち著いた?jī)?nèi)裝で、周?chē)欷?60度見(jiàn)渡すことができ、週末には楽器演奏もあるなど、少しでも來(lái)館者を引き込もうという館の姿勢(shì)が伝わってくる。

9割が皇帝の所蔵品だった質(zhì)の高さに支えられ、中臺(tái)の関係が安定していれば今後とも大陸からの観光客は増え、臺(tái)灣にとって貴重な人民元獲得源としても期待できそうだ。ちなみに桃園空港に故宮の出店があったのはそうした外貨収入源としての期待の表れだろう。

條件が整えば、次は「世界の4大博物館」ともいわれる臺(tái)北の故宮が貸し出す名品を使って、「世界文化遺産」である北京の故宮において開(kāi)かれる合同展を見(jiàn)るのが楽しみだ。まだ先かもしれないが、その時(shí)、臺(tái)灣海峽にある要塞?金門(mén)島と並んで中臺(tái)の分裂を象徴する存在である「二つの故宮」が中臺(tái)関係改善の象徴的な存在となろう。

以前にも紹介した通り、「二つの故宮」はそれぞれ、英語(yǔ)ばかりか日本語(yǔ)版の解説もホームページで展開(kāi)し日本の観光客への対応にも努めている?，F(xiàn)地の日本語(yǔ)ガイドには故宮の専門(mén)家もいるので、臺(tái)北を訪問(wèn)する機(jī)會(huì)があれば、ゆっくりと「二つの故宮」の名品を鑑賞することをお?jiǎng)幛幛工?。（文章：Kinta）

■プロフィール Kinta：大學(xué)で「中國(guó)」を?qū)煿ァ?990年代、香港に4年間駐在。2006年、アジアアートに関する大英博物館とロンドン大學(xué)のコラボによるpostgraduateコース（1年間）を修了。08年「このごろチャイナ」を主體とした個(gè)人ブログ「キンタの大冒険」をスタート。