2010年1月、テレビ放映時(shí)に解説役に登場(chǎng)した女優(yōu)さんが「映畫(huà)より俳優(yōu)の著書(shū)が面白い」と紹介した米中合作映畫(huà)「ヘブン?アンド?アース（天地英雄）」（2003年、ハー?ピン監(jiān)督）。

【その他の寫(xiě)真】

◆掛け値なしに面白い中井の著書(shū)

なかなか言えない臺(tái)詞だと思ったが、気になり読んでみるとこれが正におっしゃる通り。

映畫(huà)は唐王朝の時(shí)代、唯一の日本人俳優(yōu)として中井貴一が遣唐使役を演じた。政治、兵法などの學(xué)問(wèn)を?qū)Wぶため13歳のときに唐に渡り、皇帝に仕えた。學(xué)問(wèn)を修め、帰國(guó)を希望する彼に皇帝は、命に背いた元軍人?李の処刑を求める。李は捕らえた突厥の民間人を殺害する命令に従わなかった「義賊」的な罪人だ。

2001年當(dāng)時(shí)、911同時(shí)多発テロが発生したこともよく分からずアフガニスタンにほど近いウイグル自治區(qū)で撮影が進(jìn)行していた。その後ウイグル族をめぐる騒亂が起きたことも重ね合わせると、中井にとっては非常に貴重な経験だ。

中井はそれなりに殺陣や乗馬シーンなどを含め好演していた。別に名作、傑作のたぐいではなかったが、中國(guó)のシルクロードおよび仏教に対するイメージを知るのに良さそうな作品だ?！肝鬟[記」がモデルという。

一方、2004年に刊行された中井の著書(shū)「日記―『ヘブン?アンド?アース』中國(guó)滯在録」（キネマ旬報(bào)社）の方は掛け値なしに面白い。

最大のポイントは監(jiān)督批判。権威はあるのだがスタッフの統(tǒng)率も取れず、多忙な出演者を管理する時(shí)間の感覚も甘い。そして出演者の意欲盛り上げには明白に失敗している。

中井は執(zhí)筆した時(shí)點(diǎn)で、日記を書(shū)いていた當(dāng)時(shí)の感情は変化しているとしているが、監(jiān)督に対する謝罪、弁解や作品の出來(lái)上がりに対する賛辭は避けている。それくらいひどい製作現(xiàn)場(chǎng)だったんだろうが、ハー監(jiān)督はその後も活躍し、昨年の中國(guó)映畫(huà)週間にも來(lái)日、中井自身も引き続き中國(guó)映畫(huà)に関わっている。

次に、やはり微妙な日中関係に関する記録が貴重だ。

中井の誕生日は何と中國(guó)では「國(guó)恥記念日」とされる9月18日。準(zhǔn)主演俳優(yōu)にもかかわらず、ケーキを用意してくれただけでだれも祝福してくれない慘めに孤獨(dú)な記念日となった。でも、たった一人の日本人俳優(yōu)として誠(chéng)実に取り組み共演者やスタッフと交流するうちに、反日教育を受けた女優(yōu)や、トラブルから全員首になった若きスタントたちが中井ファンになってくる。

◆「中國(guó)一のアイドル、ついにキレる！」

最後に、映畫(huà)製作の內(nèi)側(cè)にある役者のプライバシー。劣悪な條件下でイライラし、新婚の妻と引き裂かれて電話で泣かれ、友の死の報(bào)まで経験した。911の発生が情報(bào)が隔絶された中國(guó)で何も分からない様も実にリアルだ。

鮮烈なのは「レッドクリフ」にも出演した當(dāng)時(shí)の「中國(guó)No．1アイドル」ヴィッキー?チャオ（趙薇）があまりにだらだらと待たされすぎたストレスからキレた10月26日。これは中井も公開(kāi)をためらった記述だが、內(nèi)情を知り、しかも暴露しても周りから許されるくらいの大物でなければ絶対に書(shū)けない貴重な場(chǎng)面。中國(guó)映畫(huà)の內(nèi)幕を知りたい向きにはオススメの本だ。＜映畫(huà)の中のチャイナ10＞（文章：kinta）