最近、中國にある取引先の工場を訪れたときのことである。稼働しているはずの生産がなぜかストップしている。稼働狀況を視察しにきたのにもかかわらず、生産がストップしているのでは、こちらとしてもたまったものではない。

【その他の寫真】

すぐに工場の責(zé)任者を呼んでそのわけを聞くと、「もうすぐ春節(jié)(舊正月/2010年は2月14日)だから、みんな故郷に帰っちゃったんですよ」と困った顔で言った。多くの従業(yè)員が帰省してしまったために、工場が動かせなくなっているそうだ。

私が工場を訪れた日から春節(jié)まではまだ2週間以上もある。それにもかかわらず、従業(yè)員がみな帰ってしまったというのはどういうことなのか？その事情について責(zé)任者から話を聞くと、中國の就職事情が見えてきた。

その工場では春節(jié)3日前からを春節(jié)休暇にしようとしていたらしいが、従業(yè)員はそれに従わず、勝手に休みをとってしまったらしい。以前ならば、そのような従業(yè)員は解雇していたのだが、近年は人員不足により、簡単に解雇できなくなっているそうだ。

中國の地方にある工場では、600元?1000元(約8000?1萬3000円)くらいの賃金で従業(yè)員を雇っている。最近の若者は學(xué)歴が高くなってきていることもあり、賃金の低い工場で働こうという人が少なくなってきている。工場としても人員の確保をしなければならないため、従業(yè)員に対して厳しい要求ができなくなっているのだ。今回、私が目にした生産ストップの狀況は、まさに現(xiàn)在の工場事情を顕著に表わしていたと言えよう。最近、中國南部にある工場はどこも同じような狀況にあると、その工場の責(zé)任者は教えてくれた。

中國の失業(yè)者數(shù)は年々増加している。しかしながら、地方の工場を見ると、人員不足が深刻な問題になっている。低コストを売りにしている工場と低賃金を望まない労働者の溝、その溝は年々深まりつつある。

1月30日付のニュースでは、すでに春節(jié)の帰省ラッシュが始まったと伝えられた。春節(jié)2週間前にして故郷に帰る労働者たち。その裏では、工場経営者たちが人材不足で頭を痛めているのだ。(男性/25歳/中國在住3年/IT関係)

※本記事は筆者の承諾を得て掲載したものです。