2010年9月、「日本が仕掛けた『衝突』は間違った判斷＝日本在住華人が懸念表明―日本華字紙」というレコードチャイナの記事が大手ポータルサイトのニュースランキングで第1位にランクされていた。

【その他の寫(xiě)真】

何年も日本にいる中國(guó)系の人々は日本の現(xiàn)実も知り、中國(guó)政府を外から冷靜かつ客観的に見(jiàn)ることもできる人たちだと思っていたので驚いた。このニュースに対する読者の感想にも「日本にいる華僑でさえ、このような考えを持っているとはね。中國(guó)人はどこで長(zhǎng)く暮らしても中國(guó)人だ」というコメントがあった?，F(xiàn)実には中國(guó)本國(guó)による監(jiān)視があるからその線に沿った公式のコメントを出さざるを得ないとも思うが、中には本気で日本に対して怒っている人もいると考えると暗い気持ちになる。

1990年代に取材していた頃、中國(guó)の內(nèi)政などほかの話題では割に常識(shí)的かつ冷靜に話ができる新聞業(yè)界の同業(yè)者でも、いざ歴史問(wèn)題など日中関係の機(jī)微に觸れる話になるとムキになってこちらを問(wèn)い詰めようとしてきたので驚いたことがある。あれから20年経ってこれだけ経済成長(zhǎng)しても、そうしたメンタリティは変わらないのかしら。

推理小説的に考えると、事件によって得をする者がその事件を起こした"犯人"だ。

中國(guó)側(cè)が自國(guó)民を洗脳しようとしている「日本の艦船が中國(guó)漁船にぶつかって來(lái)た」という主張はかなり苦しい。

日本側(cè)がさっさとビデオを公開(kāi)してしまえばこんな文章を書(shū)く意味もないのだが、今回のような衝突により日本が“利益”を得ることは考えにくいのだ。

まあ証拠を偽造した検察官が逮捕されたばかりの國(guó)だから可能性ゼロとまでは言わないが、日中戦爭(zhēng)時(shí)の関東軍でもあるまいし、軍隊(duì)でもない海上保安庁の役人が喜んで対外的な摩擦を引き起こす行動(dòng)に出ることは、現(xiàn)代日本人の常識(shí)では考えられない。長(zhǎng)引く不況に疲弊し切っている日本の政府がいま期待する「観光立國(guó)」の柱は中國(guó)人観光客であり、その立國(guó)の根幹を揺るがしかねない自國(guó)に向けた"破壊工作"をやるほど度胸のある役人がいるわけがない。

逆に、中國(guó)側(cè)にはいつも9月の記念日周辺で何かことを起こそうという気配が小規(guī)模な示威行動(dòng)も含めてこれまでにも繰り返しあった。タイミング的には匂う。そういえば、まさか模倣犯ではあるまいが、最近、シーシェパードという過(guò)激派反捕鯨組織がやはり日本の船に體當(dāng)たりしたり乗り込んで來(lái)て逮捕された同様のケースは記憶に新しい。

さらに、尖閣諸島を自國(guó)領(lǐng)として國(guó)際社會(huì)に宣伝したい中國(guó)政府にとってはいい機(jī)會(huì)かもしれない。相手國(guó)の內(nèi)閣が本格始動(dòng)するタイミングで外交的な揺さぶりをかけようという駆け引きも、日本にはできないが中國(guó)ならやりそうだ。

以上はシンプルな推理だが、中國(guó)は現(xiàn)地のテレビや國(guó)営メディアなどに當(dāng)局者や軍人までが登場(chǎng)し日本側(cè)に衝突事件の責(zé)任を押しつけて悪者にしたうえで「尖閣諸島（中國(guó)名：釣魚(yú)島）は中國(guó)固有の領(lǐng)土だ」と繰り返し主張している。中國(guó)側(cè)當(dāng)事者として事情を最もよく知るはずの船長(zhǎng)が、逮捕されたまま帰國(guó)しておらず、事実関係はよく分かっていないはずなのに、未確認(rèn)のままにこれほど一方的な自己主張をみせつけられると、「あれ、中國(guó)っていつも、だれに対してもこんな調(diào)子なのか」と改めて思わされる。

近年では北京五輪の時(shí)に中國(guó)がチベット問(wèn)題で隨分と叩かれていたが、「もしかして…、チベットやウイグルの問(wèn)題も真相は、いま日本がやられているのと同じことなのか」と中國(guó)に疑念を抱く日本人が増えてもおかしくはない。中國(guó)當(dāng)局はそんな日本人民の感覚などには頓著しないのだろうが…。（文章/NK）