2010年11月、尖閣諸島における漁船衝突事件のビデオがユーチューブに流出するという前代未聞の騒ぎが発生した。中國漁船による海保艦船への悪質(zhì)な衝突が大問題だったはずが、一転、事件そのものよりも政府部內(nèi)からの情報(bào)流出、つまり機(jī)密情報(bào)の管理不徹底がそれを上回る大問題として浮上して來た。自民黨の石原伸晃幹事長をはじめ野黨側(cè)は早速、民主黨政権の責(zé)任を聲高に追及し始めている。

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素樸な疑問がある。あれは果たして「機(jī)密」に屬する情報(bào)だったのだろうか。そもそも、海保が尖閣諸島海域でビデオ撮影していたのは國民への公開を前提にしていたという専門家の解説がテレビで流れていた。だとしたら公開しない理由は見當(dāng)たらない。

事件が刑事上の手続きに入ったために、いつの間にか「証拠」だから軽々に公開できないという論法になってしまった。刑事事件の証拠は一般に公表すると証拠能力がなくなるという條文でもあるのだろうか。その結(jié)果として、日本および中國の國民たちが知る権利はそっちのけとなり、國會を巻き込んで「証拠」のハンドリングが新たな課題となった。

しかし、そもそも公開前提の資料がわけの分からない“機(jī)密”扱いされるやり方は、新聞?雑誌のスクラップ記事までが機(jī)密扱いされるような、何でも機(jī)密で國民には何も知らせる必要はない、という悪しき役所の體質(zhì)そのものだ。

真の機(jī)密性が薄くても、「一度手続き的に機(jī)密とされた情報(bào)の流出なら放置できない」「危機(jī)管理が問われるのは當(dāng)然だ」というのも役所の理屈としてはよく理解できる。

だが、政治家たちが尖閣事件や補(bǔ)正予算までそっちのけで、元は機(jī)密でなかった「一応は機(jī)密」の流出を問題視するサマは苦笑せざるを得ない。

自民黨幹事長の父親である石原慎太郎?東京都知事が「內(nèi)部告発でしょ?！氦长螭胜长赛aってられるか』という、どこの局庁の人間か知らんけれど、『冗談じゃねえや、國民に実態(tài)を見てもらいたい』という形であれが流出した。結(jié)構(gòu)なことじゃないですか」と語ったのが面白い。政治家らしいコメントだと感じた。

ちょうど米軍の機(jī)密情報(bào)に挑戦する內(nèi)部告発サイト?ウィキリークについて記事で紹介したばかりだったが、今回の「一応は機(jī)密」ののんきな尖閣諸島ビデオと、スパイ容疑に問われ命の危険を冒して暴露しようという米軍機(jī)密でははたから見て緊張感が全然異なる。

そもそも、元市民活動家がトップ（首相）を務(wù)め野黨時(shí)代から國民への情報(bào)公開を強(qiáng)硬に求め続けていた民主黨政権が、このような実に役所的な非公開情報(bào)を半端な外交カードなどとして“操作”したこと自體が見苦しかった。

マトモな判斷能力を持った中國國民のためにも、現(xiàn)実を見てもらうことが日中の相互理解につながることに議論の余地はない。魯迅の名作「阿Q正伝」に登場する阿Qばかりなら仕方がないが。

世論調(diào)査の支持率を偏重する政治家やメディアは、流出が問題になる本當(dāng)の意味での機(jī)密だったのかどうか、國民に聴いてみてはいかがだろう。（文章?NK）