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<コラム>北朝鮮で「地主」と呼ばれたい、私が現(xiàn)地人に真顔で心配されたこと

北岡 裕    2018年1月19日(金) 19時(shí)50分

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私の體型は北朝鮮?朝鮮民主主義人民共和國(guó)でもかなりひょろっとしている部類に入るようで「毎日ご飯はしっかり食べていますか?先生。運(yùn)動(dòng)しましょう、先生」と、現(xiàn)地のカメラマンに真顔で心配されてしまった。寫真は北朝鮮?沙里院市。筆者撮影。

同級(jí)生たちがビールと飲み會(huì)の後のシメのラーメンの相応の対価を腹部に豊かにまとう一方で、取り殘されたように私は高校時(shí)代から體型が変わっていない。ただし、167センチ46キロという體型は北朝鮮?朝鮮民主主義人民共和國(guó)でもかなりひょろっとしている部類に入るようで「毎日ご飯はしっかり食べていますか?先生。運(yùn)動(dòng)しましょう、先生」と、現(xiàn)地のカメラマンに真顔で心配されてしまった。北朝鮮の人に心配されるのはさすがにまずいと思うのだが、遺伝子の力は実に強(qiáng)力でなかなか太れない。

ところで、韓國(guó)語(yǔ)のあいさつに「パンモゴッソ?(飯食べたか?)」という表現(xiàn)がある。目上、年上の人から言われることの多い表現(xiàn)?!袱长韦长趣肖衔?、韓國(guó)の食糧事情がとても厳しかったころの名殘です」と教えてくれたのは大學(xué)の時(shí)の先生。「そう聞かれたらどう答えたらいいのですか?」と質(zhì)問(wèn)すると、先生は少し戸惑った表情をしてみせた後「まあ、実際にどうかなるわけじゃないから、適當(dāng)にはいとでも答えておけばよろしい」と教えてくれた。

數(shù)年後、実際にソウルで地下鉄に乗っていたら中年男性に「パンモゴッソ?」と聞かれたので、自信満々に「はい!」返してみたところ「本當(dāng)か?」と腕をつかまれ「學(xué)生!ちゃんと食べないとダメだぞ。國(guó)のお母さんが悲しむぞ」とまで言われてしまった。日本で帰國(guó)を待つおふくろまで出してくるなんて予想外にひどい?!冈挙`うじゃないですか!先生」と私はソウルの空をにらんだ。

同じようなことは韓國(guó)滯在中に複數(shù)回あった。食堂に行けば「ご飯食べているの?學(xué)生さん(注=私のこと)。學(xué)生さんを見(jiàn)ていると息子の顔を思い出すわ。學(xué)生さん、食べなきゃダメよ」と注文していないおかずがぞろぞろ出てきて、汽車に乗れば橫の席のおばちゃんが「日本から來(lái)たの?これ食べなさい」とチョコパイをかばんから差し出す。

こちらはお腹がすいていないわけなのだが食べざるを得ない。四苦八苦、艱難辛苦(かんなんしんく)の末に必死に笑顔を作り食べる私の姿を暖かく見(jiàn)守る、慈愛(ài)に満ちた韓國(guó)人たちの表情を思い出す。今も在日朝鮮人の方に話を聞いていると「アイゴッ?。@きを表す感嘆詞)おなかすいていない?まあ食べなさい」とインタビューが中斷されることが多い。食べることに対しての感度が、南北共に明らかに日本に比べ高い気がする。

さて最近、お世話になっている編集者から北朝鮮のお菓子を頂いた。何度か善意に甘えて喜々として箱ごと頂戴していたら、箱の収集家と思われてしまったようで最近は空き箱もいただくことが多い。小欄でも紹介したことがあるが、最近の北朝鮮のお菓子の箱には熱量表記がされている。在日朝鮮人の友人によれば「昔はともかく栄養(yǎng)があるものがよかったけれど、今は朝鮮の人も熱量を気にするようですよ。やっぱり太るから」とのこと。

2010年に立ち寄った平壌駅前のカフェを思い出す。少しむっちりした體型の女主人が「最近、蒼光院(平壌市內(nèi)にあるヘルスセンターのこと)で週何回か水泳を始めたの」と同行した顔見(jiàn)知りの女性案內(nèi)員と話していた?!杆兢膝昆ぅē氓趣摔いい扦工瑜汀工人饯瞍贽zむと「そうそう。水泳は全身運(yùn)動(dòng)ですからね」と艶めかしくほほ笑んだ。次の瞬間「北岡さんはダイエットしなくていいでしょう!」と別の案內(nèi)員からツッコミが入った。

北朝鮮でも熱量やダイエットに気をつかう人たちが現(xiàn)れているというのは驚きだ。もちろんこれらをもって食糧事情の改善や人民の意識(shí)の変化と捉えるのは早計(jì)、明らかな誤謬(ごびょう)ではあるが。

04年、10年、13年、15年、16年。過(guò)去5回訪朝した寫真と記憶を洗いなおしてみた。出會(huì)った人、道ですれ違った市民が極端にやせ衰えていた記憶はない。でも逆に極端に太った人もいなかった。普通體型、どちらかというと少しやせ型の人が多い気がする。食糧事情が厳しいという前提をふまえても、正直彼らの體型のことはあまり気にしていなかったし、気にならなかった。

そういえばこんな面白い話がある、と教えてくれたのは60代の在日朝鮮人の男性。1980年代、平壌を訪れ散歩をしていた時(shí)の話。同行者の中にかなり大柄の太った男性がひとりいたという。みんなで散歩をしていると石が飛んできた?!袱胜螭坤胜螭??」と慌ててふり返ると子どもがいて、太った男性をにらみ「この地主め!」と叫んでいたという。

「太っている=地主」という発想が面白い。日本統(tǒng)治下、朝鮮人の小作人をこき使っていた地主のステレオタイプは、大きな腹をゆらせてえへんえへんとふんぞり返って偉そうにしている、まさにそんな姿なのだろう。

いつか私も年齢相応に太って、平壌の子どもに「この地主め!」と罵られてみたいと思うのだが地主への道は険しい。そればかりかたぶん、次の訪朝時(shí)も「先生。ちゃんとご飯食べていますか」。お節(jié)介な、けれど心優(yōu)しい朝鮮人は私を見(jiàn)てそう言うに決まっているのだ。

■筆者プロフィール:北岡裕

76年生まれ。東京在住。過(guò)去5回の訪朝経験を持つ。主な著作に「新聞?テレビが伝えなかった北朝鮮」。コラムを多數(shù)執(zhí)筆しており、朝鮮総連の機(jī)関紙「朝鮮新報(bào)」では異例の日本人の連載で話題を呼ぶ。講演や大學(xué)での特別講師、トークライブの経験も。

■筆者プロフィール:北岡 裕

1976年生まれ、現(xiàn)在東京在住。韓國(guó)留學(xué)後、2004、10、13、15、16年と訪朝。一般財(cái)団法人霞山會(huì)HPと広報(bào)誌「Think Asia」、週刊誌週刊金曜日、SPA!などにコラムを多數(shù)執(zhí)筆。朝鮮総連の機(jī)関紙「朝鮮新報(bào)」でコラム「Strangers in Pyongyang」を連載。異例の日本人の連載は在日朝鮮人社會(huì)でも笑いと話題を呼ぶ。一般社団法人「內(nèi)外情勢(shì)調(diào)査會(huì)」での講演や大學(xué)での特別講師、トークライブの経験も。過(guò)去5回の訪朝経験と北朝鮮音楽への関心を軸に、現(xiàn)地の人との會(huì)話や笑えるエピソードを中心に今までとは違う北朝鮮像を伝えることに日々奮闘している。著書(shū)に「新聞?テレビが伝えなかった北朝鮮」(角川書(shū)店?共著)。

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