【週末美術館】現(xiàn)代文明の犠牲者

西洋畫の技法としては古典的なテンペラを主に用い、極めて寫実的な表現(xiàn)をとりながら同時に、強い中國的な色彩を帯びた作品を世に送り出す畫家?項仕中（シアン?シージョン）。「寫実こそ想像力が重視される」との考え通り、現(xiàn)実を鋭くとらえつつ、中國の蕓術が重視する「寫意（心象表現(xiàn)）」をとりこんだ作風が強い印象を殘す。

【その他の寫真】

「文明シリーズ?機械化時代」と題した作品では、文明に絡めとられた現(xiàn)代人の姿を投影している。人々に富をもたらしながら、人類に変異を與えた現(xiàn)代文明。便利な生活を享受しながら環(huán)境汚染と戦わなければならないもろ刃の剣。項はこれを、ギリシャ彫像のラオコーン像をモチーフに皮肉った。ラオコーンとは、トロイの木馬に警鐘を鳴らしながらそれを信じてもらえず、逆に征伐されてしまう悲運の神官である。（文/山上仁奈）

●項仕中（シアン?シージョン）

1971年生まれ、浙江省出身。1992年に中國美術學院、2006年に首都師範大學を卒業(yè)。上海と北京のアトリエで油彩畫の研究をしたのち、現(xiàn)在は西安美術學院油彩畫學科で講師を務める。代表作に「文明シリーズ?機械化時代」「文明シリーズ?中國焦點」「理想國」など

寫真提供：匯泰國際文化発展有限公司（中國?天津）

※週末美術館では、中華圏のアーティストを中心に日本や世界各地の寫真作品、美術作品、書道作品など様々なジャンルの作品をご紹介していきます。