如月隼人 2018年2月9日(金) 23時(shí)40分
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平昌(ピョンチャン)冬季五輪が始まった。最初の競(jìng)技は開會(huì)式前日の8日に行われたカーリング混合ダブルスだった。そんなニュースに接して、ふと思った?!弗`リング」って、どういう意味なのだろう?寫真は平昌五輪関連の広告。
▼「カーリング」ってどういう意味なのだろう?
平昌(ピョンチャン)冬季五輪が始まった。最初の競(jìng)技は開會(huì)式前日の8日に行われたカーリング混合ダブルスだった。そんなニュースに接して、ふと思った?!弗`リング」って、どういう意味なのだろう?
さらに思った?!袱饯Δいà?、冬季五輪の種目ってカタカナ表記が多いなあ」――。そこで調(diào)べてみた?!阁@いたことに」と言うべきか「予想通り」と言うべきか、ほぼすべてカタカナだった。少々長(zhǎng)くなるが、ざっと列記してみよう。
スキー(アルペン、クロスカントリー、ジャンプ、ノルディック複合、フリースタイル、スノーボード)、スケート(スピードスケート、フィギュアスケート、ショートトラック)、バイアスロン、ボブスレー(ボブスレー、スケルトン)、リュージュ、カーリング、アイスホッケー。
夏季五輪種目名でも、カタカナ語(yǔ)が多いが、「男子陸上」「競(jìng)歩」、「水泳」、「自由形」「平泳ぎ」のように意訳している語(yǔ)も「絶滅危懼」というほど少ないわけではない。冬季の場(chǎng)合は「ノルディック複合」の「複合」があるだけだ。
▼中國(guó)語(yǔ)の冬季五輪の競(jìng)技種目名、全部意訳されていた
商売柄、こんな時(shí)には各種目を中國(guó)語(yǔ)で何と言うかが気になる。スキーは滑雪(ホアシュエ)、スケートは滑氷(ホアビン)であることぐらいは中國(guó)語(yǔ)の初級(jí)知識(shí)として知っているが、「ではボブスレーは何と言う?」と聞かれると即答できない。
以下の通りだった。
滑雪(高山滑雪、越野滑雪、跳臺(tái)滑雪、北歐式滑雪、自由式滑雪、単板滑雪)、滑氷(速度滑氷、花様滑氷、短道速滑)、冬季両項(xiàng)、有舵雪橇(有舵雪橇、俯式冰橇)、無(wú)舵雪橇、氷壺、氷球。
予想通り、すべて意訳だ。単純に意訳したのではない場(chǎng)合もある。例えば、スキーのアルペンを「高山滑雪(ガオシャン?ホアシュエ)」としていることだ。固有名詞である地名などは意訳が難しいので、「起源は高い山から滑り降りるスキー」ということで意訳したのだろう。
ちなみに、中國(guó)では地名も意訳されている場(chǎng)合がある。太平洋のミッドウェーは「中途島(ジョントゥダオ)」と言う。
▼単純な意訳だけではない、「新発想」の造語(yǔ)も多い
本稿の冒頭で取り上げたカーリングに相當(dāng)する中國(guó)語(yǔ)は「冰壺(ビンホー)」だ。実は、「カーリング」の語(yǔ)源については少々難しい。ご存じのように、氷上に石(ストーン)を滑らせ、その前方をブラシで「掃き清める」ようにしてストーンの軌道を微調(diào)整する。ストーンが微妙に曲がって進(jìn)む、つまり「カール」するので「カーリング」の名がついたとされる。つまり、語(yǔ)源としては巻き髪の「カール」と共通している。
中國(guó)語(yǔ)では、ストーンをその形から「壺」に見立てて、「氷上で壺を用いて行う競(jìng)技」の意を込めたようだ。ちなみに、中國(guó)語(yǔ)では同競(jìng)技で用いるストーンを「石壺(シーフー)」と呼ぶ。
アイスホッケーを「氷球(ビンチウ)」と呼ぶのは、球技の名稱を「●●球」とするパターンによるものだ。日本でもサッカーには「蹴球」、バスケットボールには「籠球」などと多くの球技に和名がつけられているが、野球などを除いて実際に使われることはほとんどなくなった。中國(guó)では「足球(ズーチウ=サッカー)」「籠球(ランチウ=バスケットボール)」などと、現(xiàn)在でも「●●球」の語(yǔ)が使われている。
中國(guó)語(yǔ)の競(jìng)技種目名を見ると競(jìng)技の本質(zhì)を分かりやすく示そうとする努力を感じる。例えばボブスレーの「有舵雪橇(ヨウドゥオ?シュエチャオ)」とリュージュの「無(wú)舵雪橇(ウードゥオ?シュエチャオ)」だ。雙方とも「橇(そり)」ではあるが、ボブスレーには操縦のためのハンドルがあり、リュージュにはないことを表現(xiàn)した。
▼日本は近代化の過(guò)程で言葉における「匠の技」を発揮した
このあたりで、日本語(yǔ)の近代史を考えてみよう。幕末から明治にかけて、西洋から膨大な量の事物や概念を?qū)毪护亭肖胜椁胜盲?。そこでわれわれの先人は、さまざまな発想で西洋語(yǔ)の日本語(yǔ)訳に取り組んだ。全くの造語(yǔ)もあれば、中國(guó)の古典に使われている語(yǔ)に新しい意味を持たせた場(chǎng)合もある。物理、経済、人民、思想などすべてそうだ?!浮瘛裰髁x」や「●●化」のような、造語(yǔ)のパターンも工夫した。
近代化が始まるとほぼ同時(shí)に、自國(guó)語(yǔ)により學(xué)術(shù)研究や學(xué)校教育を始める例は、アジア?アフリカ諸國(guó)では珍しいと聞いたことがある。
日本よりも遅れて近代化が本格的に始まった中國(guó)は、「和製訳語(yǔ)」を大いに利用した?,F(xiàn)在も多くの語(yǔ)を使い続けている?!钢腥A人民共和國(guó)」の國(guó)名も、「人民」「共和國(guó)」の部分は古い中國(guó)語(yǔ)に日本人が西洋伝來(lái)の意味を與えたものだ。
中國(guó)でもこのあたりの事情は認(rèn)識(shí)されており「歴史における古い時(shí)代、日本は文化面で中國(guó)から大きな恩恵を受けた。近代になると、中國(guó)は文化面で日本から大きな恩恵を受けた」と紹介される場(chǎng)合がある。幕末から明治における訳語(yǔ)づくりで日本はまさに、言葉における「匠の技」を発揮したと言ってよい。
▼安直な姿勢(shì)でカタカナ語(yǔ)を多用、日本語(yǔ)の將來(lái)は大丈夫か
ところが最近は、狀況が大いに変わってしまった。日本語(yǔ)では外國(guó)語(yǔ)、多くは英語(yǔ)の単語(yǔ)を発音の近いカタカナで書いて、「それでよし」としてしまうことが急増した。
しかも、それまでなかった事物や概念ならカタカナ語(yǔ)の使用もやむをえない面もあろうが、すでに日本語(yǔ)として確立している語(yǔ)もカタカナ語(yǔ)に置き換えることが増えた。私は、「概念」を「コンセプト」、「相乗効果」を「シナジー」と言い換えねばならない理由が分からない。
一方で中國(guó)人は、「自國(guó)語(yǔ)表記には基本的に漢字しか使えない」という事情もあるが、訳語(yǔ)づくり作業(yè)を営々と続けている。膨大な労力も必要だし、複數(shù)の訳語(yǔ)が登場(chǎng)して混亂する場(chǎng)合もあるようだ。ただ、訳語(yǔ)づくりの作業(yè)では、導(dǎo)入したい外國(guó)の概念の原義をしっかりと考え、自國(guó)語(yǔ)についても改めて考察することになる。
▼諸般の事情があるとはいえ、中國(guó)における造語(yǔ)の努力には敬意を持ちたい
「すでに出來(lái)上がっている語(yǔ)」を音にもとづいて安直に導(dǎo)入する言語(yǔ)と、外國(guó)語(yǔ)と自國(guó)語(yǔ)を綿密に比較する作業(yè)を続けた言語(yǔ)とでは、長(zhǎng)い時(shí)間が経過(guò)すればどちらが豊かな言語(yǔ)世界を構(gòu)築できるかは自明の理であるように思えるのだが、どうだろう。
スポーツ競(jìng)技に限らず、國(guó)際的な話題が中國(guó)語(yǔ)でどう表現(xiàn)されているかを調(diào)べてみれば、言語(yǔ)面における中國(guó)人の取り組みがよく分かるものだ。いずれにせよ、彼らは「新たな時(shí)代に適応できる自國(guó)語(yǔ)づくり」の努力を続けている。このあたりの中國(guó)文化の奧深さは、「リスペクトすべき」と考えている。いや、本稿主旨から言って、この表現(xiàn)は避けるべきだ?!妇匆猡虺证膜伽馈工扔喺筏皮长Α?/p>
■筆者プロフィール:如月隼人
日本では數(shù)學(xué)とその他の科學(xué)分野を勉強(qiáng)したが、何を考えたか北京に留學(xué)して民族音楽理論を?qū)煿?。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業(yè)とするようになり、ついのめりこむ?!钢袊?guó)の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執(zhí)筆。
1958年生まれ、東京出身。東京大學(xué)教養(yǎng)學(xué)部基礎(chǔ)科學(xué)科卒。日本では數(shù)學(xué)とその他の科學(xué)分野を勉強(qiáng)し、その後は北京に留學(xué)して民族音楽理論を?qū)煿?。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業(yè)とするようになり、ついのめりこむ。毎日せっせとインターネットで記事を発表する?!钢袊?guó)の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執(zhí)筆。中國(guó)については嫌悪でも惑溺でもなく、「言いたいことを言っておくのが自分にとっても相手にとっても結(jié)局は得」が信條。硬軟取り混ぜて幅広く情報(bào)を発信。 Facebookはこちら ※フォローの際はメッセージ付きでお願(yuàn)いいたします。 ブログはこちら
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