先進(jìn)國の水道水はおおむね直接飲用が可能だが、中國は今でも直接飲用はできていない。表面ではこの原因は送水管路の汚れが酷いとされている。しかし調(diào)べてみると、実際は中國の水ビジネス業(yè)務(wù)の致命的な欠陥が見えてくる。どうして中國の水道水は直接飲用できないのか。

日本ではどこでも蛇口をひねれば水道水を飲むことができるが、中國人の目にはこれは想像すらできない現(xiàn)象として映る。2014年11月から2015年1月まで、中國水安全公益基金會(huì)は北京、上海、武漢等29の大中都市で飲用水サンプリングテストを?qū)g施した。29都市中14都市が一項(xiàng)目或いは多項(xiàng)目インデックスを合格しておらず、不合格都市は実に約半分に達(dá)する結(jié)果だった。

一般の中國人たちが知らない事は、2012年より中國ではすでに「全面的で強(qiáng)制的」な2006年に制定した『生活飲用水衛(wèi)生基準(zhǔn)』を?qū)g施している。この「基準(zhǔn)」は中國史上最も厳しい水質(zhì)基準(zhǔn)と稱され、従來の35項(xiàng)目検査インデックスを106項(xiàng)目に引き上げている。いくつかの検査インデックスはEU規(guī)格より厳しいとされている。

こうした厳しい基準(zhǔn)にも関わらず、なぜ高品質(zhì)な水質(zhì)を得る事ができないのか？問題はどこのあるのか？

中國ではどこの水道水も直接飲用はできない。その原因は水源があまりに汚いことにある?，F(xiàn)行の水質(zhì)基準(zhǔn)に照らせば、中國の地表水は一類の「最優(yōu)」から五類の「最悪」まで五分類に分けられている。水ビジネス業(yè)界內(nèi)部の共通の認(rèn)識(shí)では、前三類のみが飲用可能とし、さらに水源が二類水質(zhì)基準(zhǔn)に合致していることが要求されているため、伝統(tǒng)的な処理方式であればこの基準(zhǔn)をクリアできるとの認(rèn)識(shí)である。

不幸にも中國の大部分の河川は全て三類水質(zhì)以下で、このような水資源を利用する事はできない?！喝珖饕饔蛑攸c(diǎn)斷面水質(zhì)自動(dòng)モニタリング週報(bào)』（2017-6-22現(xiàn)在）によれば全國147カ所あるモニタリングポイント中、三類水質(zhì)及びそれ以下の水質(zhì)モニタリングポイントは75箇所で51％を占める。

2016年、広州緑網(wǎng)が全國で実施した調(diào)査で発覚したのは、全國集中式飲用水水源地の汚染物基準(zhǔn)を超過した項(xiàng)目は鉄、マンガン、アンモニア態(tài)チッ素、硫酸塩、フッ素化合物、モリブデン等毒性インデックスであった。季刊誌の『中國科學(xué)』でも、中國の天然水中で158種の薬物と個(gè)人看護(hù)製品、がん誘発、奇形誘発、突然異変誘発の「三大誘発」物質(zhì)の基準(zhǔn)超過は數(shù)倍に達(dá)していると指摘している。揶揄（やゆ）的な表現(xiàn)をすれば「さすが中國は世界の工場(chǎng)」である。

一方、歐州大陸に目を移せば、清澄な水はどこにでもある。歐州は71％が地下水で47％が地表水だが簡単な処理或いは一部無処理で飲用水基準(zhǔn)をクリアしている。全體で見ると60％近くの水源は大掛かりな技術(shù)投入もせずに基準(zhǔn)をクリアしているのだ。

歐州の現(xiàn)行水処理プロセスは1902年に誕生したベルギーの伝統(tǒng)プロセスと変わらない。この技術(shù)は地下水の処理に重複の負(fù)擔(dān)が掛からず、塩素が唯一の消毒物質(zhì)となっている。歐米や日本の水処理プロセスも中國にある95％の水道浄水施設(shè)と大差はないが、この水処理技術(shù)は中國にとって十分とは言えない。

よしんば水道浄水施設(shè)で使用する水源が全て純天然で無汚染であったとしても、粗末な送水管道の存在は無視できない。サンプリングテストによる基準(zhǔn)値超過分布をみると、浄化水、管網(wǎng)水と管網(wǎng)末端水は全てで基準(zhǔn)値を超過しているが、中でも管網(wǎng)水の頻度は最高である。2016年北京市街地區(qū)9000キロメートルの給水管網(wǎng)中、3500キロメートルの使用年限は25?40年で、2700キロメートルの管路はすでに使用限界に達(dá)している。現(xiàn)在中國內(nèi)の管網(wǎng)77．04％はダクタイル鋳鉄管、プラスチック管、鋳鉄管、鋼管等の管材を使用しており、この中で鋳鉄管と鋼管が最も多く、50年代前後に敷設(shè)されているシロモノで管道総延長の3割を占めている。

全國で見ると2015年前後の中國內(nèi)600都市の平均漏損率は15％以上で、毎年給水管網(wǎng)の漏損による水浪費(fèi)は60億トンに達(dá)する。これは約1．4億人の通年生活用水量に相當(dāng)する。このうち30％の給水漏損発生は管網(wǎng)とのコネクション部分である。

特に都市化の急伸で全體構(gòu)造にあるべき合理的な保証を難しくしている。新興都市では多くの管網(wǎng)と汚染排出管が隣接しており、汚水が水道水に混入する事態(tài)は日常茶飯事だ。管路內(nèi)の細(xì)菌繁殖を抑制するため、「新國家基準(zhǔn)」では水道水中に一定割合の塩素注入を規(guī)定している（管網(wǎng)末端水中の総殘留塩素は0．05ミリグラム/L以上）。

2014年11月から2015年1月、中華社會(huì)救助基金會(huì)は中國水安全公益ファンドを使い北京、上海、武漢、南京、アモイ等29大中都市の飲用水水質(zhì)のサンプリングテストを?qū)g施している。このテスト結(jié)果は慘憺（さんたん）たるもので、わずか17％の水サンプリングのみが國家基準(zhǔn)要求をクリアしていることだ。武漢、無錫、南京、ハルビンを含む4都市で8件の水サンプリングテスト結(jié)果では総殘留塩素は「0」であった。

中國の浄水施設(shè)は資金が不足している。水汚染は大気汚染と異なる。水源の浄化処理や給水管路の更新敷設(shè)はどれも難しいことではなくただ「資金と技術(shù)」があれば実現(xiàn)は可能である。

しかし中國の水ビジネス企業(yè)はこれまでずっと水事業(yè)は「疲弊」していると叫ぶ。事例では2012年、珠海水務(wù)集団によれば、浄水施設(shè)運(yùn)営は資金不足狀態(tài)にあり、企業(yè)傘下にある3カ所の浄水施設(shè)は全く高度処理技術(shù)を使えないと指摘している。2017年、長沙給水公司もしきりに苦痛を訴えている?，F(xiàn)行の水道料金に従い、さらに汚水処理費(fèi)等々の費(fèi)用を控除すると1トン水販売で0．4元の赤字計(jì)上となるという。

中國の水ビジネス業(yè)界は「一定の苦衷」がある。2012年末の全國公共給水企業(yè)の赤字経営は35％に達(dá)している。またあるデータでは、2016年末の水ビジネス業(yè)界情況は好転し全國1620件の給水企業(yè)中赤字経営企業(yè)は364社であったとの報(bào)告もあるが22．47％が赤字経営である。

業(yè)界では、高度処理技術(shù)を?qū)毪工毪去去笏偿攻趣?．3元程度上昇すると言われている。2011年深セン水務(wù)集団の純益は1．5億元（約25億円）、総給水量は5．56億トンであった。全て高度処理技術(shù)を?qū)毪工毪?．67億元（約28億円）のコストが発生する。江西洪城水業(yè)有限公司の2016年純益は1．96億元（約33億円）、高度処理技術(shù)導(dǎo)入コストは0．94億元（約16億円）で純益の半分を占める。

2016年初期時(shí)點(diǎn)で導(dǎo)入された高度処理技術(shù)の浄水施設(shè)はわずか5％だが、水源質(zhì)量の酷さからみて中國では20?30％の浄水施設(shè)が高度処理技術(shù)を必要とされ今後の需要拡大が期待されている。

上述したように一部の浄水施設(shè)運(yùn)営は困窮している。こうした狀況を政府が支援対処する事は當(dāng)然である。香港の水ビジネス市場(chǎng)は完全に香港政庁が一手に対処している。香港の80％水源は広東省東江に依存する。香港は直接飲用が可能だ。これは香港水務(wù)署が所有する21のろ過浄水施設(shè)は高度処理技術(shù)を?qū)毪筏皮い毪椁?。彼らの水道料金は大陸に比べて廉価だ?996年の物価上昇で、給水コストも上昇しているが香港の水道料金は変わっていない。12トン以下は無償で、13トンから1トン毎4．16香港ドル（約57円）を徴収される。260萬の住民の月平均水道料金は約806円で月平均支出の0．3％に當(dāng)たる。

実は彼らの浄水施設(shè)も赤字経営で、2013年?2014年度の水務(wù)署の総支出は86億香港ドル（約1171億円）、これは20年前に比べ41億香港ドル（約558億円）上昇している。しかし同期の水道料金とその他收入はわずか約17億円しか上昇していない。この意味は20年前に比べ、浄水施設(shè)の営利能力は655億円で推移し毎年の赤字は常態(tài)化していることを示している。

香港の水ビジネス業(yè)界は政府が100％株式を保有していることから、毎年大量の財(cái)政支出がなされている。2014年?2015年度までの水務(wù)署総支出額は90．47億香港ドル（約1232億円）、総収入は80．32億香港ドル（約1094億円）、財(cái)政補(bǔ)助額約10．15億香港ドル（約138億円）、一人當(dāng)たり補(bǔ)助額は約139香港ドル（約1894円）/年間。2015年で香港水務(wù)署は200億香港ドル（約2725億円）を支出し、15年完成目標(biāo)の「全面給水ネット管理計(jì)畫」に従い3000キロメートルの老朽水管を更新している。

一方大陸の水ビジネスを振り返ると、過去の水ビジネスは政府の獨(dú)占事業(yè)であった。新中國成立の初期飲用水は「タダ」であった、「人民のための服務(wù)」と稱し國家による大量の支出で水利工程が各地で始まる?！荷铒嬘盟l(wèi)生規(guī)程』が1959年にやっと公布されたことで1964年中國は無償給水の歴史を終える。

90年代に、政府は徐々に給排水費(fèi)徴収範(fàn)囲を広げたが、従來の水道料金體系には水処理コストしか含まれておらず汚水処理コストや水資源費(fèi)等は含まれていなかった。このため政府は水道料金値上げ時(shí)に國民の「受入れ」を考慮することになる。所定の料金水準(zhǔn)に一歩進(jìn)めることすら容易ではなかった。

都市化の急進(jìn)で水質(zhì)への要求が高まり、水ビジネスの投資不足懸念が拡大する。21世紀(jì)以來、各地で陸続と水道料金改革で段階的な水道料金上昇が促進(jìn)される。地方政府の財(cái)政圧迫や資本投下は日増しに厳しくなる。株式投資ファンド、上場(chǎng)融資、地方政府債発行等々…水ビジネス業(yè)界は市場(chǎng)化改革に進(jìn)む。給水企業(yè)は徐々に「政府依存型」から「損益自負(fù)型」へと変貌する。水道水は「福利品」から「商品」に変化した。この変化で大陸の地方政府は進(jìn)退きわまる窮地に陥る。

直近3年でいくつかの大都市の水ビジネス企業(yè)はやや快適な狀況下にある。例えば重慶水務(wù)集団の2015年純益は13．68億元（約229億円）、深セン水務(wù)集団も5．63億元（約95億円）を確保している。しかし中國の水ビジネス業(yè)界の完全市場(chǎng)化には程遠(yuǎn)く、結(jié)局は「政府の庇護(hù)」からの脫卻を難しくしている。武漢水務(wù)集団の2016年純益は2．29億元（約38億円）、このうち政府補(bǔ)填は2．26億元（約37．8億円）で純益ほぼ全額を補(bǔ)填に依存している。

多くの水ビジネス企業(yè)は依然として「國と企業(yè)」の一対関係にある。河北保定市給水総公司は『都市給水企業(yè)基本情況』の中で、2008年から2010年までの3年間、企業(yè)の赤字は1987萬元（約3．34億円）から4231萬元（約7．11億円）にまで拡大していると指摘しているが、この3年間従業(yè)員の待遇は上昇基調(diào)にあり年收は2萬1054元（約35．4萬円）から3萬2212元(約54．1萬円)に上昇している。年平均増幅率は26．5％だ。

この一點(diǎn)を見ても決して「カネ」不足とは言えない。また水ビジネス企業(yè)はスキャンダラスである。貴州六盤水市水務(wù)公司は資金もなく新貯水池建設(shè)を始める、同社社長は2017年金品授受で免職する。こうした事案は枚挙にいとまがない。2014年河北省皇島市北戴河區(qū)自來水公司は連続して毎年1280余萬元（約2．15億円）欠損を出す一方で、同社社長は収賄や公金橫領(lǐng)で自宅から1．2億元（約20億円）が見つかっている。

中國の水ビジネス業(yè)界は、「帳簿上は赤字」と叫びながら政府財(cái)政に補(bǔ)填を申請(qǐng)し、源水費(fèi)と納稅の支払い免除を要求する一方で、「利益獨(dú)占」を享受し職員の福利待遇は増強(qiáng)させている等々不法に財(cái)をむさぼっている。

マカオの給水市場(chǎng)の狀況は悪くない。珠海水務(wù)集団はマカオ98％の原水を運(yùn)用しているがマカオは高度処理技術(shù)だけでなく大部分の給水管路はダクタイル鋳鉄管に更新しており、マカオは香港と同様に直接飲用を享受している。

マカオと香港の違いは、マカオの水道事業(yè)はコンセッション経営であること。1985年マカオ政府は初めてマカオ水務(wù)に「25年間の給水経営権」を與えた。これはアジアで初の給水コンセッション経営プロジェクトでもある。2009年マカオ自來水公司はコンセッション継続契約を締結(jié)し経営期間は2030年7月7日になっている。原水費(fèi)用の上昇でマカオの水道料金も當(dāng)然料金調(diào)整を余儀なくされている。マカオ給水公司は一定の合理的利益を確保するため、大陸と同様「純資産收益率（ROA）」方式を採用している。しかしマカオ水道水は直接飲用が可能だが、珠海や大陸では水道水は不可能だ。これは珠海水務(wù)集団が100％獨(dú)占する國有企業(yè)で、政府による解雇処分（業(yè)績不振等々でも）はないが、マカオ自來水公司とマカオ政府は通常の契約関係にあり、業(yè)務(wù)は契約にしたがって実施されている。

水質(zhì)面ではマカオ政府とマカオ自來水公司は共同で76カ所のサンプリングポイントを設(shè)置し毎日サンプリングテストを行っている。検査結(jié)果に責(zé)任を持つマカオ自來水公司は基準(zhǔn)値未達(dá)の場(chǎng)合罰金処分を受ける。仮に現(xiàn)在の給水が需要を満足できない場(chǎng)合、政府の権限で自來水公司に対し現(xiàn)有の浄水施設(shè)の改善措置や拡張工事を?qū)g施する。當(dāng)然資金支出は雙方のネゴマターである。

しかし大陸の水道水は通常、浄水施設(shè)の「自己検査?報(bào)告」に委ねられ、データの信頼度は大きく割引かれている。マカオで採用されている「逓増制度」をみると、政府は企業(yè)の利益と価格の調(diào)整を行い、変化とその原因についての説明責(zé)任がある。例えばなぜ利益が上がったのか？コストが上がった理由は？とかの説明が不可避だ。企業(yè)は政府に対し具體的な説明強(qiáng)いられるが大陸の水道事業(yè)では皆無だ。

この制度下では99％の合格率では不可だ。大陸ではコストが往往にして虛偽報(bào)告となり、データは美化され、財(cái)政出動(dòng)は浄水施設(shè)の責(zé)任者により物品購入に化ける。合格率は如何様にも加工されるのが大陸水道事業(yè)の実態(tài)である。技術(shù)や適性資金が不足しているのではなく水道事業(yè)は人為的な要因で水道水の直接飲用ができないのである。

■筆者プロフィール：內(nèi)藤康行

1950年生まれ。橫浜在住。中學(xué)生時(shí)代、図書館で「西遊記」を読後、中國に興味を持ち、臺(tái)灣で中國語を?qū)Wぶ。以來40年近く中國との関わりを持ち現(xiàn)在に至る。中國の環(huán)境全般とそれに関わるビジネスを?qū)熼Tとするコンサルタント、中國環(huán)境事情リサーチャーとして情報(bào)を発信している。

■筆者プロフィール：內(nèi)藤 康行

1950年生まれ。橫浜在住。中學(xué)生時(shí)代、図書館で「西遊記」を読後、中國に興味を持ち、臺(tái)灣で中國語を?qū)Wぶ。以來40年近く中國との関わりを持ち現(xiàn)在に至る。中國の環(huán)境全般と環(huán)境（水、大気、土壌）に関わるビジネスを?qū)熼Tとするコンサルタント、中國環(huán)境事情リサーチャーとして情報(bào)を発信している。著書に「中國水ビジネス市場(chǎng)における水ビジネスメジャーの現(xiàn)狀」（用水と廃水2016?9）、「中國水ビジネス産業(yè)の現(xiàn)狀と今後の方向性」（用水と廃水2016?3）、「中國の農(nóng)村汚染の現(xiàn)狀と対策」（CWR定期レポ）など。