<日本人が見た中國>中國では“遠慮は美徳”ではない

Record China    2012年1月14日(土) 11時46分

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「日本人が酒の席ごときで舐められたらアカン!」―中國人の酒宴に呼ばれるたびにといらん底意地を見せ、倒れる寸前まで飲んでいた私。彼らの流儀に慣れるにしたがって、遠慮や配慮のなさにに心地よささえ感じるようになっていた。資料寫真。

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※中國に渡って10年?,F(xiàn)在、「中國で最も有名な日本人俳優(yōu)」と稱される矢野浩二氏によるコラム。

その他の寫真

間もなく中國では春節(jié)(舊正月=2012年は1月23日)に入る。1年のうちで中國が最も盛り上がる時期。各家庭では家族や親せきが一堂に集まり食事やお酒を飲んで新年を祝う。異國から來た私たち外國人にとってはある意味、孤獨感を思い知らされる時期でもある。

北京に來たばかりの頃、舊正月期間に獨りで家に閉じこもっていた私を、そんな団らんの席に引っ張り出してくれた中國の友人は少なくない。何かと気を遣ってくれる彼らは、「食べて食べて!」としきりに食事を勧める。一番困るのは、「浩二、飲め」と言って、やたらと酒を注いでくることだ。

「日本人が酒の席ごときでなめられたらアカン!」といらん底意地を見せ、倒れる寸前まで飲む。やがて限界が來て、つぎ足される酒を斷るようになると、彼らは「どこか具合でも悪いのか?」と本気で心配し始める。そこで「いいや、そんなことはない」と返そうものなら、「じゃあ、飲め」と宴は朝まで延々と続くことになるのだ。

毎年、この時期になると宴の最後は便器を抱きながらのた打ち回るハメになる。彼らは気前よく酒を勧めることで日本人である私にも好意を示し、心を溫めてくれているのだ、そう思う部分がこちらにはある。さらに、彼らの無遠慮さや配慮の無さに、私は「彼らの仲間だと認めてもらえたのだ」とも実感していた。そう、彼ら中國人の人付き合いには、 “遠慮が美徳”という日本の概念は通用しないのだ。

當初こそ勝手の違いに戸惑ったものだが、個人的に言えば、彼らの流儀に慣れるにしたがって、こうしたやり方に心地よささえ感じるようになっていた。禮儀や奧ゆかしさとは無縁かもしれないが、関西人でO型で大ざっぱな性格の私には、それが妙にハマったのかもしれない。それは、大陸気質(zhì)とでもいうのか、50を越える多民族で構成された13億人を抱える大陸の果てしない度量の一端に違いないと思えたからかもしれない。

●矢野浩二(やの?こうじ)

バーテンダー、俳優(yōu)の運転手兼付き人を経てTVドラマのエキストラに。2000年、中國ドラマ「永遠の戀人(原題:永恒戀人)」に出演し、翌年に渡中。中國現(xiàn)地のドラマや映畫に多數(shù)出演するほか、トップ人気のバラエティー番組「天天向上」レギュラーを務める?,F(xiàn)在、中國で最も有名な日本人俳優(yōu)。2011年、中國共産黨機関紙?人民日報傘下の「環(huán)球時報」主催「2010 Awards of the year」で最優(yōu)秀外國人俳優(yōu)賞を日本人として初受賞。中國での活動10年となる同年10月、自敘伝「大陸俳優(yōu) 中國に愛された男」(ヨシモトブックス)を出版。

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