八牧浩行 2018年4月3日(火) 5時0分
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米中間の最大の波亂要因は貿(mào)易摩擦。昨年の米國貿(mào)易赤字は7962億ドル。このうち対中赤字は3752億ドルと過去最大に膨らんだ。
米中間の最大の波亂要因は貿(mào)易摩擦。昨年の米國貿(mào)易赤字は7962億ドルと前年比8%増。このうち対中赤字は3752億ドルと全體の約半分を占め、過去最大に膨らんだ。米政府は米通商法301條に基づく対中貿(mào)易制裁措置発動を表明。中國も(世界貿(mào)易機関)WTOルールに基づく対抗措置を打ち出し、『米中貿(mào)易戦爭』の様相を呈している?!海济字行聲r代(1/2)>「競爭的共存」で衝突回避なるか=將來の“世界覇権”にらみ攻防激化』から続く。
中國では憲法改正で任期の上限が撤廃されるなど習近平國家主席への権力集中が進む。トランプ政権內(nèi)では、対中強硬派が臺頭。対中大幅貿(mào)易赤字は今後の米中関係の最大課題となっている。
トランプ氏は國際協(xié)調(diào)派のティラーソン國務長官を更迭し、外交タカ派のポンペオ米中央情報局(CIA)長官を後任に指名。経済政策の司令塔である國家経済會議(NEC)の委員長に、中國の知的財産権侵害などを問題視する保守派評論家、ラリー?クドロー氏が就任した。政権の顔ぶれは対中強硬派で固まった。トランプ政権は鉄鋼?アルミの輸入関稅引き上げに続いて、中國に対して貿(mào)易制裁措置を連発する構(gòu)えを見せている。
貿(mào)易政策で対中強硬姿勢を強める米國に対し、中國は交渉カードとしての対抗措置を講じるものの「大人の対応」でやり過ごす構(gòu)え。貿(mào)易戦爭が激化すれば、外需に依存する中國経済にとって大きな打撃となるためだ。
習近平主席の首席経済アドバイザーで経済擔當副首相に就任した劉鶴氏らが、3月上旬にワシントンでケリー大統(tǒng)領首席補佐官、ライタイザー米通商代表部(USTR)代表らと會談。中國側(cè)から(1)2國間自由貿(mào)易協(xié)定のための交渉を始めること、(2)中間選挙までに貿(mào)易交渉の結(jié)果が出るようにする、(3)中間選挙前に、中國が「買い付けミッション」を米國に派遣する―などを提案した。これに対し、ライターザー氏は2018年に米國の貿(mào)易赤字を1000億ドル程度削減する必要があると強調(diào)。中國が約束するなら301條の発動を抑止できると発言したが、平行線に終わった。中國は次回貿(mào)易會合を北京で開催することを提案したが、米國の経済幹部の交代などもあって、まだ決まっていない。
米國で対中強硬色が一段と強まっている背景には、(1)共和黨が中間選挙を前に世論にアピールする材料が必要、(2)米朝首脳會談が予定される中で中國の協(xié)力の重要度が薄れている―などがある。
トランプ氏は習主席を「信頼できる偉大なリーダーだ」と評価、任期の上限撤廃と権力集中についても「たいしたものだ」と持ち上げており、両首脳の“蜜月関係”を背景とした何らかのディール(取引)が大統(tǒng)領選挙までに交わされるとの見方もある。
中國は米國との貿(mào)易摩擦を回避するために、輸入拡大により対米黒字を削減する方針だ。天然ガス、半導體、自動車を軸に國有企業(yè)などに購入増を求めるほか、市場開放策でも金融市場の外資參入を拡充する。対等な立場での協(xié)議に向けて報復措置も打ち出したが、本音は“経済戦爭回避”へ対米交渉を優(yōu)先させたい考えだ。
◆習近平2期目、対米重視の顔觸れ
3月の全人代で習政権2期目の副首相、閣僚らが決まったが、米中貿(mào)易摩擦軽減を當面の優(yōu)先課題に位置付け、対米重視の顔觸れとなった。対米政策は國際人脈が豊富な習氏の盟友、王岐山國家副主席が仕切り、経済の司令塔は習ブレーンの劉鶴副首相が擔う。中國外交部の陸慷報道局長は「過去40年やってきたように米中は話し合いで意見の相違を解決できる」と強調(diào)している。
中國では輸出品の4割は外國企業(yè)が製造。対米輸出品に限ればその7割を米関連企業(yè)が製造しており、中國からの輸入品に高関稅をかければ米企業(yè)が苦境に立たされる。米國の消費者も物価上昇に直撃される。日本からの対米輸出のほとんどが日本企業(yè)によっているのと違いが際立つ。
米國內(nèi)では、トランプ政権の輸入制限方針に対して、ボーイングや自動車ビッグ3、流通大手はじめ米國産業(yè)界の大勢が反対。米株価は軟調(diào)に転じている。中國製品への追加関稅が課されれば、米消費者への事実上の増稅となり、米経済は減速するのは必至。中國輸出企業(yè)の中には「いつまでも輸入制限を続けられない」と高をくくるところも多い。
中國政府は安全保障上の理由から米國が中國向けにハイテク製品の輸出を制限している問題も取り上げ、「米國の研究機関の報告では、米國が輸出制限を解除すれば対中赤字は35%減る」とも指摘している。
中國政府は1日、米國産の豚肉やワインなど128品目に最大25%の関稅を上乗せすると発表した。米國が通商拡大法232條に基づき、中國産を含む鉄鋼やアルミニウムの輸入を制限したことへの対抗措置だが、輸入額が大きい大豆や飛行機は除外した。中國政府の聲明は「我が國は多角的貿(mào)易體制を支持しており、米國への関稅上乗せもWTOのルールを運用したもので、我が國の利益を守るための正當な措置」と冷靜なトーンだった。
◆東アジアの安定は米中協(xié)調(diào)から
平昌五輪を契機に南北融和が進行。4月27日の南北首脳會談開催が決まり、5月下旬には史上初の米朝首脳會談も予定されている。3月下旬には電撃的な中朝首脳會會談も開催された。
田中均?國際戦略研究所理事長(元外務審議官)は「米中関係がどうなるか関心を払わなければならない。米中間で貿(mào)易戦爭になったら、日本や東アジアは大きなダメージを受ける。米中首脳間でグランドバーゲン(包括的取引)が成立することが日本とってもアジア諸國にとっても望ましい。経済的には米國は東アジアで建設的に、中國と話し合いをして関與すべきだ」と提言する。米中バーゲン(取引)の條件は(1)東シナ海、南シナ海で自制するか、(2)北朝鮮に本気で圧力をかけられるか―の2點?!该字袇f(xié)調(diào)が東アジアの安定と発展に望ましい」と語る。
中國は、米國と厳しい対立があっても衝突せず、対話で解決する「対立的共存」方針のもと、米中が互いに干渉せずに利益を追求する世界を志向している。國內(nèi)向けには対立姿勢を見せつつ、米國と経済相互発展と武力不使用を改めて確認し合っているのが実情だ。
日本の外交専門家は「米中両國は水面下でつながっている」と分析、米中には「大國である自分たちで主導したい」という共通認識があると見ている。歴史を振り返ると、合理主義の國?米國は臺灣を見切り中國と接近するなど、幾度となく豹変してきた?!干倘?トランプ」も例外ではなく、電撃的な米朝首脳會談開催表明も一つの事例と言える。中長期的な東アジア秩序にも関係するだけに、日本を含む関係國にとって気懸りな點である。(八牧浩行)(完)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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