<コラム>「中國ではありえない!」=役所に來る中國人が一様に口にする言葉

茶妹小丸子    2018年4月23日(月) 21時0分

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この數(shù)年、日本には本當(dāng)にたくさんの中國人が観光や居住をするようになった。観光客の多さにもビックリだが、とりわけ日本に滯在居住する中國人が増えた。寫真は池袋。

この數(shù)年、日本には本當(dāng)にたくさんの中國人が観光や居住をするようになった。観光客の多さにもビックリだが、とりわけ日本に滯在居住する中國人が増えた。もう日本各地「〇〇市中國區(qū)」という名稱にしてもおかしくない。さらには日本語が話せなくても日本で生活できてしまっている人も少なくない。こういった人々は日本人と直接接しなくてもいい職種の調(diào)理師が多い。しかし、時には日本語がわからなくては困ることも起きる。各種手続き等がその良い例である。

そういった人のための窓口が私のいる役所に設(shè)置されている外國人相談窓口である。ちなみに私は市役所の公務(wù)員ではなく、囑託である。転入転出の手続き、稅金の支払い、國民健康保険の手続き、保育園、小中學(xué)校の入學(xué)手続き等の通訳をしている。こうした手続をする上で我々の方も內(nèi)容を理解していないと、相談に來た外國人に外國語で説明ができなくなる。

私がいる部署に「外國人相談窓口」と看板が掲げられているせいか、外國人の多くは“よろず相談所”と認識して來る人が少なくない。一部の外國人は自分の身の上話をし出す。こういった人は異國日本に來て、寂しい思いをしているか何かで自分の周囲に自分と同じ國の言葉を話す人間がいないというパターンが想像できる。役所に手続きに來て話の流れで日本語以外の言語で話してくれる我々についつい話をしてしまう人が過去にもたくさんいた。

私が擔(dān)當(dāng)している中國人にも少なからずそういう人もいる。中國人は元々話好きなのもあるだろう。雑談を好む人も多い。私も雑談をわざと話すようにしていることもある。理由は私も今の中國の様子を聞きたいからだ。リアルな中國の様子を知ることができれば、こちらの対応の仕方も色々と変えることができると私は思っているからだ。

この窓口に來る人の相談內(nèi)容の多くは同じだが、だからといって皆一律にマニュアル的な対応で済むかというと、こと、ここの仕事に関してはそうではない。來る人が違えば案件は同じと言えども実情は十人十色である。

最近つとに変化してきたのが日本に滯在している中國人家族の形態(tài)である。以前は父親が単身日本に來て、ある程度の稼ぎができたら中國に仕送りしたり自分の生活が安定して來たら祖國に帰國していたりした人がいたが、今は違う。父親が仕事を見つけた後、経済的に安定したら妻と子どもを呼んで、妻の仕事も探し、そしてここからが違うのだが、子どもも日本の公立の學(xué)校に入れることだ。

しかし、現(xiàn)実はとても厳しい壁が立ちはだかる。それは子どもの日本語能力だ。親の多くは「子どもはその環(huán)境に放り込んでしまえばすぐに慣れて日本語もうまくなるから大丈夫」と言う。しかしこれは違う。それは余程日本が好きで、性格も明るく積極的で、最初は言葉がわからなくても努力をする子どもに限る!と私がこうした話をすると親の多くは絶句するがこれが現(xiàn)実だ。過去に日本語がなかなか上達せず、日本の學(xué)校に馴染めずに帰國していった子どもが何人もいた。

中國人家庭の多くの親は子どもをなんとか早く學(xué)校に入れたがる。それは共働きで家に誰もいないし、面倒を見る人がいないからだ。こうしたことは夫婦で言わば出稼ぎの形態(tài)で日本に來ている家庭に見られる現(xiàn)象だ。

しかし、現(xiàn)実はなかなか上手くいかないのと過去に殘念な結(jié)果が顕著になった教訓(xùn)もあり、私のいる自治體ではこうした外國人の子どものための日本語教室を設(shè)置し、強制的に受講させ、結(jié)果を判斷した上で入學(xué)の許可を出すように規(guī)定を変えた。こうした相談內(nèi)容に関しては親から子どもの狀態(tài)を聞く必要があるため、この案件に関しては手続きの前段階ですでに多くの時間を費やすことになる。そして、親の話を聞き、失禮だがこちらも親の品定めをさせてもらっている。子どもが學(xué)校に入った後は親も學(xué)校側(cè)と関わるからだ。本當(dāng)に子どもの事を考えている親はこちらの話を真剣に聞いてくれる。

そして、一番多い案件は稅金の支払いの案件。外國人にとって日本の稅制は理解し難く、項目も多く高いと感じる。特に國民健康保険料は外國人には理解に苦しむ制度だ。日本の相互扶助という概念がなかなか理解してもらえない。多くの外國人は、自分の生活で精一杯なのに何で將來の人間のために自分たちが払うのか?と言われる。中國人も當(dāng)然この例に漏れずの反応で、中には「自分は日本語も分からないし、日本の病院にも行かないのに何故保険料を支払わなければならないのか?」というご不満の意見をしょっちゅう聞かされる。この意見もごもっともだが、日本で暮らす以上は日本の法律や決まりに従ってもらう以外はないので時間をかけて、例をあげて説明するようにしている。

中には生活が苦しく納稅も滯りがちな人も少なからずいる。そういうことになれば擔(dān)當(dāng)部署に行き、分割支払いの回數(shù)を増やし、1回の支払いを少なくしてでも支払えるように相談に応じたり手続きをする。

多くの人はきちんと支払う意思を表明してくれるのだが、中には質(zhì)の悪い人間もいる。長い期間滯納しているのに罵詈雑言を吐き散らし、逆ギレする人間。もう完全に開き直っていて自分は悪くない!という雰囲気を醸し出す人間。こうなると役所のフロアーに聲が響き渡るという事も生じてくる。周囲には非常に迷惑。私の立場はあくまでも役所側(cè)と市民の間の立場で、私的な感情を勝手に述べて相手に話してはいけないのだが、こうした人間を相手にしていると段々と怒りがこみ上げてくる。役所の擔(dān)當(dāng)者も中國語は分からないのだが、さすがに相手が払う意思がなさそうだとか質(zhì)が悪いというのを察知する。

こうした質(zhì)の悪い人間だと分かると擔(dān)當(dāng)者も顔色や態(tài)度が変わる。中には私と中國人のやり取りを見て、怖くなって縮こまる人もいるが。中國語の語気が怒っているように感じるらしい。普通の會話でも。ましてやこうした人間相手の會話だと余計に恐ろしく感じるらしい(笑)。

こうした狀況に傾くと私も擔(dān)當(dāng)者にここまで言っても良いか?と許可をとってから相手に話すことになる。最初は私も穏やかにしていたのが段々変わるわけだから段々とヤバい!と感じてくる人もいる。そうなるともう観念して具體的手続きに応じる。

しかし、中には最終段階に至らずに、捨てセリフを吐き散らし帰って行った人もいた。もうこうなると擔(dān)當(dāng)者も諦めの境地になる。こうした狀況は言わば根比べとも言える。そして、多くの時間と労力を費やす。1人に1時間以上ということも少なくない。後ろに相談?wù)撙盲皮い胜堡欷辛激い⒋盲皮い肴摔い郡橥瑫r進行ということもある。

異國の地?日本に來て生活が苦しいのは理解するが、それを承知で覚悟の上で來たのだとこちらは認識しているので、逆ギレや罵詈雑言を吐き散らすのは筋違いだ。しかし、こうした人間はごく少數(shù)。我々のカウンターに來る多くの中國人たちは本當(dāng)に日本語が分からずに(特に日本に入國したばかりの外國人)手続きができない人たちにとって我々のカウンターは頼りの綱のようだ。他の外國の役所には恐らくこうした外國人の為のカウンターはないと思われる。日本以外の外國では自己責(zé)任ということだと聞いているので、その國の言葉が分からなければもうお手上げなのだろう。だから自分たちの國に來て住みたければ言葉を勉強してこい!が當(dāng)たり前。その點、日本は親切な國である。まあ、こうした部署があるから私の仕事もあるわけなのだが…。

次に変化したな!と思うのが留學(xué)生だ。一昔前の留學(xué)生は國費や親戚から費用を借りて、日本に來てアルバイトをして自分の生活の生計を立てていた人が大半だったが、この數(shù)年は違う。

手続きの內(nèi)容によりどうしても経済狀況等を?qū)い亭胜堡欷惺志Aきが進まないので収入や生活形態(tài)を質(zhì)問する。すると、最近の中國人の家庭で日本に勉強をしに來る學(xué)生はアルバイトをしなくなっているケースが多くなった。親に財力があるので仕送りのお金だけで生活できるようだ(まあ、本當(dāng)はその方が勉學(xué)に集中できるのでこの方が良いと言えば良い)。

しかし、その分苦労知らずで打たれ弱い中國の若者も増えたそうだが。さらには日本での生活や勉強が辛くなったらもう中國に帰る!という若者も少なからずいる。実際にそうしたケースの若者に遭遇したことがあった。あとで他の中國人の友人に聞いたら、最近はこうした若者も多いと言っていた。中國も日本同様に、若者は親に財力があれば不自由も感じないし、忍耐も無くなっているから以前のような根気強い忍耐力ある人間が減ったそうだ。

一方で頑張っている若者もたくさんいる。私が今の仕事で出會った中國人の若者のG君は頑張りやさんだ。このG君はあの東日本大震災(zāi)の後で相談に來た若者だが、相談內(nèi)容が、東北の震災(zāi)がとても気の毒なので自分は日本人と中國人の友人に聲をかけてボランティア活動に行き、現(xiàn)地の人を勵ましてあげたいが、何処に連絡(luò)をすればいいか?という內(nèi)容だった。

G君はSNSで日本の文化を毎日投稿して紹介していた。自分が日本の大學(xué)に留學(xué)し、日本で生活していくうちに日本が好きになり日夜奮闘しているが、こうした災(zāi)害にとても心を痛め、自分にできることは何か?というのを模索していて、我々のカウンターに來た。その後G君のSNSに私もコメントを書くようになり、G君から交流會の誘いがあり、數(shù)回參加した。いよいよ東北にボランティア活動に行くという時に彼のチームに少ないがカンパをした。

こうした1人との交流がきっかけで私は中國人との交流の輪が広がり、今では色々な友人と食事會で一緒になったり、SNSなどで話をしたりしている。

多くの中國人が私に聲をかけてくれ、食事しましょう!と言ってくれるのは日本人で中國語を話す私が不思議に感じるのと、私が今まで遭遇した日本人とは違う!という理由らしい。日本人でありながら中國的発想があると良く言われるのだが、そう言われる所以は中國で數(shù)年間暮らした中で培われたものかもしれない。だから我々のカウンターに來る中國人は少なからず、なぜか私に雑談を切り出す人が多い。そもそも私に雑談を持ちかけて來る中國人の大半は私が日本人だとは認識していない(笑)。時々相談?wù)撙椤纲F方いつ來日したの?中國のどこ出身なの?」と聞いてくるくらいだから(笑)。私としては光栄とも言えるかもしれない。そう感じてくれた方が話もスムーズに行くし、手続きもスムーズに行く事が多いから。でもちゃんと私は「日本人だよ!」と申告します。だましたら悪いと思うので(笑)。

相手はとても驚くが日本人とわかっても態(tài)度を一変させる中國人は1人もいない。むしろ珍獣扱いされてしまうくらいだ(笑)。中國語を話す不思議な日本人だそう。中國人の多くは日本人は中國語を勉強しないとか、話せないとか話さないという認識らしい。そして、中國語は難しい言語だからということを中國人自身が認識しているのでこんな難しい言語を日本人がやるわけないと思っているそうだ。

私は數(shù)年こうして色々な中國人と接してきた。數(shù)も多い方だと思う。ここに來る色々な中國人と接することにより今の中國も見えてくるし、人間観察もできる。絶好の場所とも言える。

多くの中國人は日本に住んだら日本は居心地が良いという。そして、役所に來る多くの中國人が一様に口にするのが「日本の役所の人たちの対応はとても穏やかで親切だ!中國ではありえない!中國の役所の人の態(tài)度は橫柄なのが多い!日本にある中國大使館でさえそうだ。とても不愉快に感じるよ!」という內(nèi)容だ。

そして、我々のカウンターに來る多くの外國人、私の擔(dān)當(dāng)は中國人だが手続きが終わったらほとんどの人は「ありがとう!とても助かったよ。貴方がいてくれて良かったよ!」と言って帰って行く。さらに嬉しいセリフが「今日終わらなかったから次も貴方がいる日に來たいが、次もいるか?」というご指名とも言えるセリフだ。こういったことを言われると、やってて良かった!と心底思える。

そして、中國という國土が広大で、人口も多く、地方性の強い國の中には當(dāng)然さまざまな環(huán)境で暮らしてきた中國人がこの狹い日本に來て生活している。環(huán)境が違えば中國人と言えども十人十色だ。こうした十人十色の中國人と接することができる仕事はなかなか面白いものである。

■筆者プロフィール:茶妹小丸子

1967年生まれ。千葉県出身。中國浙江省杭州大學(xué)(現(xiàn)浙江大學(xué))漢語進修コースに1年留學(xué)。広西チワン族自治區(qū)外貿(mào)公司駐日本代表事務(wù)所に5年の勤務(wù)、上海に4年間駐在した経験を持つ。バリバリのキャリアウーマンでもない、半分パートタイムで半分専業(yè)主婦が30年間自分の目で見て聞いた事を日本の皆さんに紹介できたら!と思っている。

■筆者プロフィール:茶妹小丸子

1967年生まれ。千葉県出身。中國浙江省杭州大學(xué)(現(xiàn)浙江大學(xué))漢語進修コースに1年留學(xué)。広西チワン族自治區(qū)外貿(mào)公司駐日本代表事務(wù)所に5年の勤務(wù)、上海に4年間駐在した経験を持つ。バリバリのキャリアウーマンでもない、半分パートタイムで半分専業(yè)主婦が30年間自分の目で見て聞いた事を日本の皆さんに紹介できたら!と思っている。

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