浙江大學(xué)醫(yī)學(xué)院附屬の逸夫醫(yī)院（病院）感染癥科で副主任を務(wù)める季淑娟醫(yī)師に電話がかかってきたのは7月7日夜だった。別の醫(yī)療機(jī)関からの相談で、21歳の男性患者が重篤な癥狀を示しているが病名の特定ができないという。

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患者は発熱し始めてから3日目で下痢や嘔吐（おうと）、全身の筋肉や関節(jié)の痛みがある。血小板も白血球も數(shù)が低下しており、ウイルス性の感染癥とみられるとの説明だった。

このような癥狀を聞いただけで、醫(yī)師が驚くことはない。しかし患者の70代の母方祖父が同様の癥狀で數(shù)日前に死亡、60代の母方祖母が同様の重篤な癥狀で治療を受けていると聞いて、季醫(yī)師は「これは容易ならざる事態(tài)だ」と緊張した。デング熱患者が増えていたのでまず疑われたが、検査の結(jié)果は陰性でデング熱の可能性は排除されたという。

季醫(yī)師はただちに、SNSを利用して同僚の醫(yī)師に連絡(luò)を取り、意見を求めた。アカウントはたちまち、醫(yī)師らの「激論の場(chǎng)」になったという。最終的に同病院副主任で肝臓感染癥科の主任である俞雲(yún)松教授が提出した「新型ブニヤウイルス感染癥の可能性がある」との主張が重視されることになった。新型ブニヤウイルス感染癥の検査は同病院ではできず、翌日になり政府関連施設(shè)で検査を行った。陽(yáng)性だった。

21歳の男性患者が入院して3日後、患者の母方祖母が死亡した。さらに、患者の伯母にも同様の癥狀が出て入院治療を受けることになった。伯母の癥狀は男性患者よりも深刻で、腎臓やすい臓の障害やウイルス性の心筋炎、肺の感染癥が発生していた。

ブニヤウイルス感染癥は多くの場(chǎng)合、マダニにかまれることで感染する。しかし、21歳の男性患者もその伯母もマダニにかまれた記憶はないと主張した。しかし感染経路はどうしても突き止めたい。醫(yī)師らは「とにかく、思い出せることは思い出してほしい。教えてほしい」と頼み込んだ。

すると患者2人は「そういえば、祖父は川の泥を除去する作業(yè)をしていた時(shí)、草むらで休憩していて蟲にかまれたようだと言っていた」と話し始めた。祖父の癥狀は激しい出血を伴うもので、祖母が看病していたという。さらに、祖父が死亡して遺體を引き取る時(shí)には、男性患者とその伯母が遺體と同じ車両內(nèi)に4時(shí)間程度いたと分かった。

醫(yī)師らは、亡くなった祖父がまずマダニにかまれて新型のブニヤウイルス感染癥にかかり、さらに祖母や男性、伯母へのヒト?ヒト感染が発生したと判斷した。

俞副院長(zhǎng)によると、ブニヤウイルス感染癥は體液や血液を介してヒト?ヒト感染する場(chǎng)合があるが、感染の確率は小さく、體液や血液への接觸を避ければ十分に防護(hù)できる。また、早期に治療を始めれば完治可能なので、過度に恐れる必要はないという。

ただし、伯母が入院した病院では、出血がひどかったこともあり、看護(hù)師らが「恐怖」に襲われたという。病院は院內(nèi)感染を阻止するため、患者を減圧室に収容し、病室に入るスタッフには使い捨ての防護(hù)服や手袋、靴カバー、ウイルス感染癥を防止できるマスクなどを著用させ感染防止のための方法を繰り返しスタッフや見舞いの親族に教授したが、それでもスタッフの恐怖心はなかなか消えなかったという。

そのため、陳慧穎看護(hù)師長(zhǎng)が率先して血まみれになったシーツの交換などを行った。彼女の獻(xiàn)身的な仕事ぶりで、スタッフの恐怖心がようやく薄らいだという。

伯母の癥狀は極めて深刻だった。特に數(shù)日間は「死線をさまよった」という。病院側(cè)は全院體制で治療を行い、彼女を「死の淵から連れ戻す」ことに成功したという。

同件を伝えた3日付広州日?qǐng)?bào)（電子版）は、マダニが媒介するウイルス感染癥は83種、細(xì)菌感染癥は14種、リケッチア感染癥は20種、原蟲感染癥は32種も確認(rèn)されていると紹介。さらに、夏期はマダニの活動(dòng)が活発になるとして、森林や草むら、丘陵地帯など屋外で活動(dòng)する場(chǎng)合には、皮膚の露出部分をできるだけ少なくしたり、草が密集する場(chǎng)所には近づかない、マダニに対して効果のある蟲よけ剤を使うなどの対策が必要と紹介した。

また、マダニにかまれることが多いのは頭髪が生えている部分、耳周辺、脇、へそ周辺、股間、膝の裏側(cè)として、マダニにかまれた場(chǎng)合には黒いあざが殘ると紹介。ただちに醫(yī)療機(jī)関に行って治療を受けねばならないと忠告している。

本記事寫真1枚目は血を吸って大きく膨らんだマダニ。2枚目は新型ブニヤウイルス感染癥の治癒に成功した女性が退院する際の記念寫真。花束を持っているのが退院する患者。右から2番目が、院內(nèi)で一時(shí)発生した看護(hù)スタッフの「パニック」を終結(jié)させるため獻(xiàn)身的に仕事に取り組んだ陳慧穎看護(hù)師長(zhǎng)。（翻訳?編集/如月隼人）