アジア大會(huì)が終わった。日本は総合で中國(guó)に次いで2位という良き成績(jī)だった。韓國(guó)は日本に次いで3位。こういう順位付けは筆者としては非常に嫌いなのだが、世の中がみなそういう流れなので、いたしかたなくそれに従う。

日本が何位であろうと韓國(guó)が何位であろうとどうでもいいことだけれど、今回ここで取り上げようとするのは、韓國(guó)の「兵役免除」問題である。これは日本では全く実感のない問題なのだけれど、韓國(guó)ではある意味、死活問題といったニュアンスがあるくらい非常にナーバスでシビアな問題なのだ。

特に問題になっているのが韓國(guó)の野球、そしてサッカー。メダル圏に入ると兵役が免除されるという規(guī)定だと思っていたら、金大中氏（DJと略すこともある）のときは、16強(qiáng)に入れば兵役を免除してやるぞと壯行式のとき選手たちと握手する場(chǎng)でそれこそ「思いつき」で決めたという話も伝わっている。

16強(qiáng)であれば兵役免除の時(shí)代もあったみたいだけれど、今回は金メダルであれば免除という規(guī)定のようだ。野球もサッカーも決勝戦の相手は日本だった。そしてどちらも韓國(guó)が勝ち、金メダルを取った。筆者はちょうど9月1日に釜山に行く用事があり、その帰りにバスの中で日韓戦を見ることになった。

學(xué)生たちと同じバスだった。ゼロゼロで迎えた延長(zhǎng)前半。イ?スンウの一蹴りで均衡が崩れる。続いてすぐにファン?ヒチャンがヘディングで入れる。2対0。このときは、バスの中の女子學(xué)生からは歓喜の黃色い聲。ところが男子學(xué)生からは、歓喜の聲もある中でブーイングも聞こえる。

どうしたことかとそばの學(xué)生に聞いたら、「これで彼らは兵役を免除されるんですよ」と憤懣（ふんまん）やるかたなしといった風(fēng)情で教えてくれるではないか。

そうなんか。金を取れば、まだ兵隊(duì)へ行ってない連中は免除の恵みに浸ることができるのか。ソン?フンミンなどがその話題の中心だった。本人だけじゃなく所屬のプロチームも嬉しがることはあろうけど、ここ韓國(guó)の地では、それほど「拍手」が聞こえてこないという現(xiàn)実があり、筆者としてはかなり驚くことになる。

韓國(guó)が點(diǎn)を入れ勝ってくれれば（韓國(guó)の學(xué)生らが）うれしいのは當(dāng)然だが、兵役のことが頭にちらついた瞬間、彼らの表情は雲(yún)がさしたようにどんよりとしたものになるのだった。

國(guó)會(huì)でもこのことが問題になっていて、ある國(guó)會(huì)議員は、「防弾少年団（バンタンソニョンダン）のほうをむしろ兵役免除したほうがいいんじゃないか」という國(guó)民の聲もあるんだと口から泡を飛ばしていた。

なぜ、兵役を免除するのか。國(guó)益ゆえ、というのが國(guó)の言い分。國(guó)益に寄與するからというわけだ。國(guó)益という観點(diǎn)なら、むしろ防弾少年団のほうが上位にランクされるんじゃないの、というの筆者の考えでもある。

ともあれ、日本は2対0と2點(diǎn)もリードされたあと、ヘディングで1點(diǎn)返すという気迫を見せた。結(jié)果は2対1で韓國(guó)の優(yōu)勝となったけれど、モチベーション自體が天と地ほども差のある狀況で日本のあの1點(diǎn)は、値千金のゴールであった。あの気合いに筆者は少し落涙。日韓戦は常に緊張もするし勝ってほしいという思いも強(qiáng)い。

しかし勝っても負(fù)けても、日本には韓國(guó)が、韓國(guó)には日本がいるというそのこと自體が本當(dāng)に有難いことなんだなあと、最近はつくづく思う。このライバル関係があるからこそ、お互いに切磋琢磨できるし、近い將來、世界にいってもいずれ通用するレベルにもなろう。汚い反則もなくきれいに戦ってくれたことも、感謝だ。

普通は、韓國(guó)選手が日本選手に悪意のタックルを決めることが結(jié)構(gòu)見られるのだけれど、今回はモチベーションの割には、韓國(guó)選手はきれいに戦ってくれた。拍手を送りたい。兵役問題がどうなるかは、韓國(guó)に任せるしかないけれど、蕓能人にないならば、運(yùn)動(dòng)選手にも「なし」とするのが公平というものだと聲を小にして（あくまで大ではない）言いたいところではある。

■筆者プロフィール：木口 政樹

イザベラ?バードが理想郷と呼んだ山形県?米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結(jié)婚。元三星（サムスン）人力開発院日本語科教授、元白石大學(xué)校教授。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。著書に『おしょうしな韓國(guó)』、『アンニョンお隣さん』など。まぐまぐ大賞2016でコラム部門4位に選ばれた。

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