<直言!日本と世界の未來>グローバル化に対応した雇用改革を=「就活ルール」問題で考えたこと―立石信雄オムロン元會長

立石信雄    2018年9月16日(日) 5時30分

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就職活動の時期を定める「就活ルール」について経団連の中西宏明會長が今のルールの見直し問題に言及し、學(xué)業(yè)への配慮を求める大學(xué)側(cè)などと調(diào)整することになった。グローバル時代に、次世代を背負う若者が學(xué)業(yè)と仕事にまい進できるような環(huán)境づくりを優(yōu)先させたい。

就職活動の時期を定める「就活ルール」について経団連の中西宏明會長が今のルールの見直し問題に言及し、學(xué)業(yè)への配慮を求める大學(xué)側(cè)などと調(diào)整することになった。課題が多く、長く企業(yè)経営に攜わり経済団體や大學(xué)にも関わった者として悩ましい問題だが、次世代を背負う若者が學(xué)業(yè)と仕事にまい進できるような環(huán)境づくりを優(yōu)先させたい。

就活ルールは日本的経営が主流だった高度成長時代に「就職協(xié)定」として始まった。解禁日より前に事実上の採用活動を始める企業(yè)が多いとされ、學(xué)業(yè)への悪影響や就活の長期化が問題となるたびに時期は変動してきた。 

現(xiàn)在のルールは経団連の「採用選考に関する指針」によって定められ、卒業(yè)(3月)前年の6月1日に採用面接を解禁し、10月1日に內(nèi)定を出すという日程である。採用活動の時期を示すことで、多くの學(xué)生を説明會や選考の場に呼び込んで一定の質(zhì)の新卒者を確保する。一斉に內(nèi)定を出すことで採用のコストも抑えられる。こうした効率的な新卒一括採用が、他社の経験のない若者を自前で長期的に育てるという日本企業(yè)の雇用慣行の土臺になってきたと思う。

経団連のルールは就活の早期化への歯止めとなってきたのも事実であり、大學(xué)側(cè)にはルールがなくなると學(xué)業(yè)に影響が出ると懸念があるという。學(xué)生の混亂を防ぐためにも面接解禁時期などについては目安が必要だという意見も根強いようだ。

昨今グローバル化やデジタル化が進み、企業(yè)は人材を外部にも柔軟に求める必要性が高まっており、環(huán)境変化に合わせ採用活動も見直すべきだとする考えには説得力がある。通年型の採用が浸透し、學(xué)生の能力や適性をよく見定める企業(yè)が増えれば、採用のミスマッチが減って早期の離職を防ぎやすくなろう。

 

現(xiàn)狀では経団連加盟企業(yè)が解禁時期を遅らせている一方、非加盟の有力ベンチャーは早期に採用活動を始めるため、多くの學(xué)生の就活が長期化している。採用方法も學(xué)業(yè)を阻害している大きな要因であると思う。エントリーシートでの登録や説明會など、學(xué)生にとって負擔の大きい採用手法を見直し、オンライン面接や精度の高い適性検査など、學(xué)生の負擔が少ない採用手法をとるべきだろう。

就活のルールを見直すには、雇用制度のあり方自體も同時に変える必要がある。日本は終身雇用が前提で、企業(yè)は最後まで社員を守らないといけない分、少しでも優(yōu)秀な學(xué)生を採用しようと躍起になる。結(jié)局は有名大學(xué)卒の學(xué)生を取り合う事態(tài)になり解禁破りなどの問題が起きてしまう。

雇用の流動性が高い歐米は職種別の採用で、必要な能力を身につけているかどうかを採用の判斷基準にしており、日本のような一括採用方式と異なる。就活ルールを見直すなら業(yè)界と大學(xué)が連攜し、教育のあり方と採用のあり方を協(xié)議する必要があろう。

「就活ルール」見直しの背景にあるのが、世界的な人材獲得競爭。特に世界的に不足しているIT(情報技術(shù))関連の人材は外國企業(yè)が好待遇で囲い込んでいるとされる。學(xué)生を新卒で同時期に一括で採用し、個々の企業(yè)のなかでキャリアを積んでいくことを前提とした日本型の雇用慣行を見直す機會としたい。自由な採用に縛りをかけたくない企業(yè)と、學(xué)生への影響を心配する大學(xué)側(cè)との調(diào)整にとどまらず、日本的な雇用慣行や終身雇用制などにも踏み込んだ議論とグローバル化の進展に伴うニーズに対応した雇用改革が望まれる。

最近では新入社員がせっかく社會人として一歩を踏み出したのに、2~3カ月で「こんなはずではなかった」と會社を辭めるケースも後を絶たないようだ。本人にとっても企業(yè)にとっても不幸なことである。日本的な終身雇用を基本とする日本的経営が崩壊し、「転職社會」が當たり前になった昨今、「石の上にも3年」という忍耐を説く格言は死語になったのであろうか。通年採用や就職試験前に企業(yè)で體験入社する「インターン制」の活用により、ミスマッチを防ぐことができるだろう。

世界の範となりうる新しい日本の國造りは、若者に期待せざるを得ない。若者が生き生きと仕事にまい進できるような環(huán)境づくりが、急務(wù)であろう。

<直言篇61>

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現(xiàn)オムロン株式會社)取締役。1995年代表取締役會長。2003年相談役。 日本経団連?國際労働委員長、海外事業(yè)活動関連協(xié)議會(CBCC)會長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名譽文化博士。中國?北京大、南開大、上海交通大、復(fù)旦大などの顧問教授や顧問を務(wù)めている。SAM(日本経営近代化協(xié)會)名譽會長。エッセイスト。

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現(xiàn)オムロン株式會社)取締役。1995年代表取締役會長。2003年相談役。 日本経団連?國際労働委員長、海外事業(yè)活動関連協(xié)議會(CBCC)會長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名譽文化博士。中國?北京大、南開大、上海交通大、復(fù)旦大などの顧問教授や顧問を務(wù)めている。SAM(日本経営近代化協(xié)會)名譽會長。エッセイスト。

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