臺(tái)灣メディアの中字電子報(bào)は14日、バチカンが2018年末に中華民國(guó)（臺(tái)灣）と國(guó)交を絶し、中華人民共和國(guó)（中國(guó)）と國(guó)交を樹立するとの見方を示す記事を発表した。香港カトリック教區(qū)の週報(bào)である「公教報(bào)」が、中國(guó)とバチカンの交渉が10月1日の國(guó)慶節(jié)前に妥結(jié)する見込みがあると論じたことを受けた。

バチカンは規(guī)模が極めて小さい國(guó)でありながら、カトリックの「総本山」であるために、世界全體に対する影響力は極めて大きい。中國(guó)とバチカンが外交関係を持てなかった最大の理由は、ローマ法王（教皇）による司教の任命権という、雙方にとって「大原則」にかかわる問題があったからだ。

ローマ教會(huì)は歴史上、世俗権力との激烈な爭(zhēng)いを繰り返して司教の任命権などを確立した。司教とはローマ教會(huì)が布教や信者の管理などのために設(shè)けた「教區(qū)」の責(zé)任者だ。司教の任命は教皇の専権事項(xiàng)だ。

一方の中國(guó)は、宗教の信仰の自由を保証すると同時(shí)に、事実上は宗教活動(dòng)を國(guó)家の統(tǒng)制下に置いている。また、憲法には「宗教団體及び宗教事務(wù)（宗教実務(wù)）は、外國(guó)勢(shì)力の支配を受けない」（第36條）と明記しており、「外國(guó)勢(shì)力」であるローマ教皇による中國(guó)國(guó)內(nèi)のカトリックの教區(qū)の司教の任命を認(rèn)めることは、國(guó)家統(tǒng)治の大原則に反することになる。

中國(guó)が宗教関連で「外國(guó)勢(shì)力の支配」を忌避するのは、19世紀(jì)から中華人民共和國(guó)の成立まで、キリスト教組織が歐米列強(qiáng)による中國(guó)侵略の手引きをしたという「歴史のトラウマ」にも関係している。

香港カトリック教區(qū)の「公教報(bào)」が論じた中國(guó)とバチカン側(cè)の交渉とは、中國(guó)國(guó)內(nèi)の司教任命問題を巡るものと考えてよい。これまでのところ、中國(guó)側(cè)が示した「候補(bǔ)者」の中からバチカン側(cè)が選び、任命するなどの方式になるなどの見方が出ている。

バチカンは歐州で唯一、臺(tái)灣との國(guó)交を維持する國(guó)だ。中國(guó)はこれまで、自國(guó)と外交関係を樹立するにあたり、相手側(cè)が臺(tái)灣と斷交することを大原則としてきた。バチカンに対しても同じ方式を求めることはまず間違いない。

2016年5月に民進(jìn)黨?蔡英文政権が発足して以來、臺(tái)灣と國(guó)交を斷絶した國(guó)は5カ國(guó)に達(dá)した。しかも、臺(tái)灣と斷交した國(guó)は16年と17年にはそれぞれ1カ國(guó)だったが、18年には3カ國(guó)に達(dá)するなど、中國(guó)の外交攻勢(shì)の成果達(dá)成は加速している。臺(tái)灣と現(xiàn)在も國(guó)交を維持している國(guó)は17カ國(guó)で、バチカンは歐州で唯一、臺(tái)灣と國(guó)交を維持している國(guó)家だ。世界における影響力が大きいバチカンが臺(tái)灣と斷交して中國(guó)と國(guó)交を樹立すれば、臺(tái)灣および蔡英文政権にとって衝撃は極めて大きい。

中國(guó)はこれまで、國(guó)內(nèi)に中國(guó)天主教愛國(guó)會(huì)という団體を設(shè)立させてカトリック信者の統(tǒng)括をしてきた。つまり、中國(guó)のカトリック信者は「カトリック信者でありながらローマ教皇とはつながりがない」という、信仰の上で極めて異常な狀態(tài)に置かれていた。

中國(guó)國(guó)內(nèi)のキリスト教徒は6000萬人で、當(dāng)局が認(rèn)めない「地下教會(huì)」に所屬している信者は4000萬人程度との見方がある。一方、公認(rèn)の中國(guó)天主教愛國(guó)會(huì)の信者數(shù)は約500萬人だ。2013年に就任したフランシスコ教皇は、中國(guó)と公式な関係を築いた方が、中國(guó)國(guó)內(nèi)のカトリック教徒およびその他のキリスト教徒の信仰の自由を保護(hù)しやすいと考えているとされる。

中字電子報(bào)の記事は、中國(guó)人民大學(xué)國(guó)際関係學(xué)部教授で、中國(guó)政府の政策立案?提言組織である國(guó)務(wù)院參事院のメンバーでもある時(shí)殷弘が「バチカンが臺(tái)灣と斷交するのは時(shí)間の問題」と述べたと紹介。ただし時(shí)氏は、米國(guó)が最近になり蔡英文政権が発足した以降に臺(tái)灣と斷交した中南米のドミニカ、エルサルバドル、パナマの3カ國(guó)の自國(guó)大使を召還したことを指摘し、米國(guó)の動(dòng)きがバチカンの決定に影響する可能性もあると指摘した。

中國(guó)にとってバチカンとの正式な関係を樹立できれば、「自らの正當(dāng)性」を國(guó)際的に強(qiáng)くアピールする材料になり、臺(tái)灣內(nèi)で蔡英文政権に対する不安や不信を高める効果も大いに期待できる。

ただし、中國(guó)とバチカンの國(guó)交が樹立されれば、ローマ教皇が中國(guó)の諸政策を批判した場(chǎng)合、さらに大きく注目されることになる。中國(guó)がバチカンの容認(rèn)できない政策を斷行した場(chǎng)合、國(guó)交再斷絶とまではいかなくとも、「大使の一時(shí)引き揚(yáng)げ」など、バチカン側(cè)が講じることのできる選択肢はより増える。その場(chǎng)合、世界における中國(guó)に対する「違和感」はさらに大きくなり、中國(guó)當(dāng)局は國(guó)內(nèi)外に向けた説明に苦労すると予想される。（翻訳?編集/如月隼人）