洲良はるき 2018年9月23日(日) 15時0分
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核兵器も運用できる中國の戦略長距離爆撃機H-20(轟-20)が今年にも初飛行の見込みがある、と中國國営テレビ局「中央電視臺國際チャンネル(CCTV-4)」のニュース番組「今日亜洲」が報道した。寫真は中國空軍。
核兵器も運用できる中國の戦略長距離爆撃機H-20(轟-20)が今年にも初飛行の見込みがある、と中國國営テレビ局「中央電視臺國際チャンネル(CCTV-4)」のニュース番組「今日亜洲」が報道した。
中國の現(xiàn)在の主力爆撃機はH-6だ。H-6は中距離中型爆撃機でステルス機でもない。中國のH-20長距離爆撃機がどのようなもので、開発がどの程度進んでいるのかなどについて、中國人をはじめ、多くの人々の関心を集めている。
同番組では、中國系香港紙「大公報」を引用して、「中國の次世代爆撃機H-20が年內(nèi)にも初飛行する見込みがある」としている。
2018年3月3日のディプロマット紙では、H-20のロールアウトは最も早くて2019年、初飛行はもしかすると2020年になると見込んでいた。
以前から噂があったものの、中國が長距離爆撃機を開発していることが明らかになったのは、中國人民解放軍空軍司令である馬暁天上將(大將)によってである。2016年9月1日、馬暁天上將は、吉林省長春市で行われた「空軍航空開放日」に出席したときに、空軍航空大學(xué)に入學(xué)する1100人あまりの新入生を前にして、「我々は現(xiàn)在、次世代長距離爆撃機を開発している」と話した。
CCTV-4の報道によると、中國と外國の専門家はほとんど同じ認識をもっており、H-20は次世代の戦略爆撃機で、亜音速ステルス爆撃機の形をしており、アメリカの戦略ステルス爆撃機B-2のような全翼機だという。
B-2も亜音速のステルス爆撃機である。アメリカの次世代のステルス長距離爆撃機となるB-21も、同じように亜音速の全翼機となる可能性が高い。
CCTV-4は、H-20爆撃機の推測値をあげている。
?航続距離1.3萬キロメートル
?ペイロード30~40トン
?最大離陸重量180~200トン
これらが正しいのならば、H-20爆撃機はアメリカのB-2爆撃機よりやや大きい爆撃機となる。
もちろん、これらの諸元は確定したものではなく推測にすぎない。2018年8月に公開されたアメリカ國防総省の中國の軍事力に関する年次報告書には次のように書かれていた。
「H-20と報告されている爆撃機にはここ10年のうちにデビューするかもしれない。この爆撃機は以下のような特徴を持っている。多くの第5世代技術(shù)を採用したステルス設(shè)計。航続距離は少なくとも8500キロメートルはあるだろう。ペイロードは少なくとも10トンをくだらない。通常兵器と核兵器の両方を運用する能力を持つ。H-20プロトタイプの可能性のある寫真によると、B-2爆撃機やX-47Bステルス無人機に類似した全翼機の機體」。
英字軍事専門誌『エアフォース?マンスリー』によると、信頼性の高い報道が、H-20の基礎(chǔ)設(shè)計が2011年までにほぼ固まったことを示唆している、としている。H-20の開発は、中國の航空機製造會社である西安飛機工業(yè)公司と603航空研究所が受け持ち、すでに幾つかのサブスケール?モデルが作られているとされる。これらのサブスケール?モデルはおそらく、航空力學(xué)やレーダー斷面積(RCS)、及びその他のテストに用いられる。
全翼機はステルス面で優(yōu)れているが、コスト面では不利になる。B-2計畫全體で、おおよそ10億ドルが翼の強化のために使われた。さらに調(diào)達數(shù)が21機に抑えられたことなどが重なり、B-2ステルス爆撃機は非常に高価な機種となってしまった。
アメリカがB-2の調(diào)達數(shù)を初期の132機から21機にまで引き下げた最大の原因はソ連の崩壊だ。ソ連が崩壊することにより強大な敵がいなくなり、その後の米國の主な敵は、防空能力に劣るテロリストや武裝集団となる。そのような敵を相手に戦う場合には、B-2のような、高性能だが非常にコストのかかる長距離ステルス爆撃機などいらない、というような意見が強くなった。しかし、中國の臺頭やロシアの復(fù)活、またイランや北朝鮮が近代的な防空能力を得るに及んで、再び、アメリカ空軍はまとまった數(shù)の能力の高いステルス爆撃機を必要としている。アメリカ空軍は次世代長距離ステルス爆撃機B-21を100機以上調(diào)達する意向だ。
B-2に関して、ネット上の発言などでしばしば見る明らかな間違いのひとつが、B-2はこれまでほとんど実戦に參加したことがないといったような誤解だ。
B-2爆撃機は、最初に1999年のコソボ空爆に參加した。ベオグラードにあった中國大使館を爆撃したのもB-2である。いわゆる「9?11事件」と呼ばれる2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件のときには、B-2が最初にアフガニスタンのタリバンやアルカイダを爆撃している。また、B-2は2003年のイラク戦爭にも參加した。2011年のリビア爆撃をしたのもB-2ステルス爆撃機だ。
コソボ空爆のときには、のべ45機のB-2が作戦に投入され、空軍全體が行った爆撃のうち、3分の1もの精密誘導(dǎo)爆弾を投下した。
■筆者プロフィール:洲良はるき
大阪在住のアマチュア軍事研究家。翻訳家やライターとして活動する一方で、ブログやツイッターで英語?中國語の軍事関係の報道や論文?レポートなどの紹介と解説をしている。月刊『軍事研究』に最新型ステルス爆撃機「B-21レイダー」の記事を投稿。これまで主に取り扱ってきたのは最新軍用航空機関連。twitterはこちら
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