重慶空港を出発し、チベット自治區(qū)のラサ空港に著陸する寸前のアモイ（廈門）航空MF8411便の操縦室では、機(jī)長ら操縦スタッフがフラップに異常があることに気づいた。フラップは主翼後方などにせり出す板狀の裝置で、著陸のために飛行機(jī)が減速しても必要な揚(yáng)力が確保するためのものだ。高地にあり空気の薄いラサ空港ということで、悪條件が重なった。中國メディアの澎湃新聞が伝えた。

MF8411便の使用機(jī)材はボーイングのB737―700で、機(jī)齢は7年だったという。同便には乗客79人と乗員9人の計88人が乗っていた。

10月25日午前11時1分、MF8411便は重慶空港を正常に離陸した。同便は午後1時47分、ラサ?クンガ空港に著陸しようとしていた。旅客機(jī)などの大型機(jī)は、離著陸時に主翼後方などにせり出すフラップと呼ばれる裝置を備えている。速度が低いために揚(yáng)力が落ち、主翼だけでは飛行機(jī)の重量を支えられなくなるからだ。そのためフラップを使って主翼面積を事実上増やし、揚(yáng)力を確保する。

フラップなしでは高速で離著陸せねばならない。安全面に問題が生じ、長大な滑走路も必要となる。仮に離著陸にも必要な揚(yáng)力を確保できる広い主翼であれば、高速飛行時に燃料消費が著しく大きくなるなどの問題が出る。つまりフラップとは、「必要な時だけ主翼面積を追加する」裝置だ。

MF8411便では、そのフラップが故障した。航空機(jī)は著陸する際、機(jī)長が「問題発生」と判斷すれば、車輪が接地する前、あるいは接地した直後でもエンジンを改めて全開にして上昇することがある。著陸復(fù)行と呼ばれる操作で、航空機(jī)は基本的に「著陸復(fù)行の可能瀬もある」ことを前提に著陸を試みる。しかし、フラップなしで著陸した場合、揚(yáng)力不足で再上昇するのは困難になるという。

しかもラサ市は海抜4200メートルの高地にあり空気が薄い。十分な揚(yáng)力を得るのはなおさら難しいことになる。なおB737―700は機(jī)長と副操縦士の2人で操縦ができるが、アモイ航空はラサ空港への離著陸は複雑な條件が重なるとして、正規(guī)の機(jī)長以外に機(jī)長の資格を持つパイロットをもう1人、さらに副操縦士を含めた3人で操縦させている。

操縦席ではフラップが左右対象に出ていないとの警報が出ていた。機(jī)長が問題発生を空港側(cè)に伝えたのは午後1時56分だった?？崭蹅?cè)はただちに技術(shù)スタッフを招集して緊急會議を?qū)g行。MF8411便の狀態(tài)や當(dāng)日の空港周辺の気象條件も考え合わせ、安全に著陸するためには、空港上空で旋回を続けさせて燃料を消費させ、できるだけ軽くしてから著陸を試みるべきとの結(jié)論に達(dá)した。

旅客機(jī)は著陸する際、エンジンを逆推力にするだけでなく、主翼後方にスポイラーと呼ばれる板を立てる?？諝莸挚工驂垽浃筏茰p速するためだ。フラップを正常に使えず通常よりも高速で著陸しても、重量が軽ければ、エンジンの逆推力やスポイラーの空気抵抗で、速やかな減速が可能になる。

機(jī)長は指示を受け、著陸に向け高度を失いつつあった機(jī)體を、改めて上昇させた。そして機(jī)內(nèi)放送で、乗客に故障の狀況を知らせ、乗組員を信じ指示に従うよう求めた。

機(jī)長としては機(jī)を早く上昇させたかった。そのため男性乗客に協(xié)力を求めた?？拖瘍?nèi)の最後尾に集まってもらい、機(jī)體の重心を後ろにずらす。原始的なようだが、客室內(nèi)の重量移動は飛行機(jī)の姿勢に影響があるされる。

しかし、シートベルトのない狀態(tài)であることは、機(jī)體に急激な揺れが発生した場合には負(fù)傷しやすいというリスクも伴う。しかし機(jī)長の求めに応じて、男性客十?dāng)?shù)人が挙手をして協(xié)力する意思を示したという。

MF8411便は約1時間にわたり、空港上空を旋回して、必要最小限の量を殘し燃料を消費した。著陸に失敗は許されない。機(jī)長は慎重にコースを選び滑走路に進(jìn)入した。

著陸した。午後2時52分、MF8411便は滑走路の上で完全に靜止した。その途端、客室內(nèi)では爆発的な拍手が起き、乗務(wù)員の腕前とプロ精神を稱賛したという。（翻訳?編集/如月隼人）