<日本人が見た中國>彼は外國人、でもよそ者ではない―愛國とは他の國を嫌うことではない

Record China    2012年10月23日(火) 5時35分

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「矢野浩二は外國人、でもよそ者ではない」。9月の尖閣國有化問題を巡るここ最近の日中問題以降、中國版ツイッターと呼ばれる簡易投稿サイトでこのような書き込みをよく見るようになった。異國で生活する外國人にとっては心溫まる聲であり、ありがたい。

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※中國に渡って10年?,F(xiàn)在、「中國で最も有名な日本人俳優(yōu)」と稱される矢野浩二氏によるコラム。

その他の寫真

「矢野浩二は外國人、でもよそ者ではない」。

2012年9月の尖閣國有化問題を巡るここ最近の日中問題以降、中國版ツイッターと呼ばれる簡易投稿サイトでこのような書き込みをよく見るようになった。異國で生活する外國人にとっては心溫まる聲であり、ありがたい。これはこの11年間、蕓能活動を通じて中國の人達(dá)と正面からつきあってきた賜物(たまもの)だと、今はそう思える。

その一方、日本からはこんな聲が聞こえたこともあった。

「矢野浩二は中國で最も成功した日本の俳優(yōu)だが、中國に魂を売った男だ。悪役の日本軍人を演じ、中國に迎合して有名になった」。

これだけは名譽のために言うが、わたしは迎合もしてないし、魂も売ってはいない。それどころか、日本人を不當(dāng)に軽蔑するようなことがあれば、相手が非を認(rèn)めるまで、時には怒鳴りつけてでも中國人と闘ってきた。悪役の日本人は演じない主義だというなら、役を選べる気概と器量がある限り、5年でも10年でも生涯かけて望みの役を待てばいい。人それぞれ、いろいろなとらえ方があるだろう。

ただ、このような言葉を聞いて気になることがある。

「中國に魂を売った…」つまり売國奴とののしる表現(xiàn)だが、何でもかんでもとかく民族感情に繋げようという昨今の傾向は受け入れられない。行き過ぎたナショナリズム(民族主義)。誰もが自分の國を愛するものだろうが、愛國とは他の國を嫌うことではない。しかし今、日本人の間にそのような傾向が強くなっているように見受けられる。

「あなたは日本人だから…」「彼は中國人だから…」と、國という枠にはめ込んで相手を判斷する。これは非常に狹く偏った考え方ではないだろうか。中國には13億以上の人がおり、56の民族があり、場所によっては同じ中國人でも言葉が通じないことすらある。言うなれば、13億通りの人がいるわけだ。日本人も同じ。1億3000萬通りの考え方の人がいる。それを、國でくくって外國人と交流すると、自然と互いに“見えない溝”が生じる。

中國の撮影現(xiàn)場はスタッフが60?70人。俳優(yōu)も含め、當(dāng)たり前だが全員中國人だ。日本人は僕1人。しかし私はたった一度も、「自分は日本人だ」という意識で仕事をしていない。同時に、周囲のスタッフを中國人だという眼で見ていない。一スタッフ、一俳優(yōu)、一人間という眼で見ているし、自分自身もそのように見てもらいたいといった生き方を通してきた。

「お前には日の丸を背負(fù)う精神がないのか?」と言う人もいるかもしれない。しかし、日本であれ、中國であれ、どこの國であれ、撮影現(xiàn)場というのは監(jiān)督?スタッフ?俳優(yōu)みんなが一致団結(jié)し、同じ方向へ進(jìn)んでいく大きな船。そこで、日の丸やナショナリズムは全く必要ない。それよりも大事なのは、個人個人を見て、一対一の人間として交流する姿勢を持つことだと思う。國籍という枠組みを外せば、真の友好関係に近づくことができるのではないか。

●矢野浩二(やの?こうじ)

バーテンダー、俳優(yōu)の運転手兼付き人を経てTVドラマのエキストラに。2000年、中國ドラマ「永遠(yuǎn)の戀人(原題:永恒戀人)」に出演し、翌年に渡中。中國現(xiàn)地のドラマや映畫に多數(shù)出演するほか、トップ人気のバラエティー番組「天天向上」レギュラーを務(wù)める?,F(xiàn)在、中國で最も有名な日本人俳優(yōu)。2011年、中國共産黨機関紙?人民日報傘下の「環(huán)球時報」主催「2010 Awards of the year」で最優(yōu)秀外國人俳優(yōu)賞を日本人として初受賞。中國での活動10年となる同年10月、自敘伝「大陸俳優(yōu) 中國に愛された男」(ヨシモトブックス)を出版。

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