八牧浩行 2019年1月1日(火) 9時(shí)0分
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2018年暮れに、中國の瀋陽、長春など東北地方を訪問、実態(tài)を取材したほか、瀋陽での日中學(xué)術(shù)メディア対話會(huì)に出席し、多くの人たちと交流した。この現(xiàn)地取材も含め、中國の実態(tài)と今年の課題について連載する。寫真は戦前に建設(shè)された瀋陽駅(筆者撮影)。
2018年暮れに、中國の瀋陽(舊奉天)、長春(舊新京)など東北地方(舊満州)を訪問、実態(tài)を取材したほか、瀋陽での日中學(xué)術(shù)メディア対話會(huì)に出席し、多くの人たちと交流した。この現(xiàn)地取材も含め、中國の実像について連載する。
米中の対立は次代の経済覇権爭いの様相を呈し、厳しい攻防が続く。覇権國家?米國の焦燥と中國の長期的な戦略が交錯(cuò)しているが、打開に向けた動(dòng)きが進(jìn)展している。
トランプ米大統(tǒng)領(lǐng)と中國の習(xí)近平國家主席が12月29日、電話で協(xié)議?!搁Lく、とてもよい協(xié)議だった」。トランプ氏はツイッターで中國との貿(mào)易交渉に言及した?!袱猡泛弦猡闪ⅳ工欷?、包括的であらゆる分野や爭點(diǎn)を網(wǎng)羅したものになる。大きく進(jìn)展しつつある」と発した。習(xí)氏は電話協(xié)議で「両國の関係は重要な段階にある」との認(rèn)識(shí)を表明。「共に歩み寄ってウィンウィンかつ、世界の利益になる合意をできるだけ早くまとめたい」と述べた。習(xí)氏は2019年が米中の國交樹立40周年であることにも觸れた。
米中は1月7日に北京で貿(mào)易協(xié)議の次官級(jí)會(huì)合を開き、ワシントンで閣僚級(jí)の協(xié)議に格上げされる見通し。さらに2月に習(xí)主席が訪米し、米中首脳會(huì)談で手打ちする可能性も取り沙汰されている。
◆世界の株価が「米中関係情報(bào)」で亂高下
2018年12月1日の米中首脳會(huì)談で、米國が19年1月に予定していた追加関稅措置を猶予し、中國が米國から大豆などの農(nóng)産品や産業(yè)製品を購入することで合意した。貿(mào)易戦爭による両國経済に與えるダメージが拡大する中で、貿(mào)易赤字縮小を公約に掲げるトランプ氏と貿(mào)易摩擦の激化を回避したい習(xí)氏の思惑が一致した。
米中貿(mào)易戦爭がひとまず“休戦“となったことで、直後の世界の株式市場は急反発した。ところが、カナダ司法省が中國の通信機(jī)器最大手、ファーウェイ(華為技術(shù))の孟晩舟副會(huì)長兼最高財(cái)務(wù)責(zé)任者を米當(dāng)局の要請(qǐng)で逮捕したため、米中摩擦の新たな火種になるとの懸念から株価が急落。その後釈放されたため急騰した。
結(jié)局、米ダウ平均株価は2018年に年間で5.6%下げた。前年を下回るのは2015年以來3年ぶりで、下落率はリーマンショックに見舞われた08年以來10年ぶりの大きさだった。株価の上昇を政権の成果と誇示してきたトランプ氏にとっては耐えられない事態(tài)である。
世界の株価は米中関係が深刻化すると急落し、好転すると反発する傾向が際立つ。かつての米ソ冷戦時(shí)代と異なり、米中間には貿(mào)易、投資、サプライチェーン(供給連鎖)などで相互依存が緊密。その他の國の経済も先進(jìn)國から新興國まで影響は甚大である。インテルなど米IT企業(yè)はファーウェイと技術(shù)開発で戦略的に関係を深めており、米政府がファーウェイを世界の通信市場から締め出そうとすると、米IT企業(yè)にも悪影響が及ぶ。
◆対中強(qiáng)硬派と國際協(xié)調(diào)派の確執(zhí)
米中首脳が妥協(xié)を図ろうと會(huì)談していた最中のファーウェイ副會(huì)長の拘束劇についてホワイトハウス関係者は「大統(tǒng)領(lǐng)はそれを知らなかった」と説明。これに対し強(qiáng)硬派のボルトン大統(tǒng)領(lǐng)補(bǔ)佐官(安全保障擔(dān)當(dāng))は「私は知っていた」と明かし、食い違っている。事実なら、米情報(bào)機(jī)関が米中和解を妨害したことになる。トランプ政権內(nèi)では、ナバロ大統(tǒng)領(lǐng)上級(jí)顧問のような対中強(qiáng)硬派と、より穏健な企業(yè)寄り國際協(xié)調(diào)派のムニューシン財(cái)務(wù)長官らとが対立している。
米國では米中貿(mào)易戦爭の悪影響を懸念した経済金融界の反発は強(qiáng)まっており、対中輸出減退にあえぐ農(nóng)業(yè)関係者が呼応している。関稅引き上げによって仕入れコストが上昇、多くの製造業(yè)は輸入関稅に不満を抱いている。自動(dòng)車関連企業(yè)はトランプ政権の通商政策が裏目に出て、値上げや雇用喪失につながっていると反発。世界最大の中國自動(dòng)車市場で米國車の販売が落ち込み、米自動(dòng)車大手ゼネラル?モーターズ(GM)は北米五工場を閉鎖し、1萬4千人超を解雇する計(jì)畫を発表した。中國をはじめとするアジアの成長市場に生産拠點(diǎn)を増やす計(jì)畫である。米國ファーストの影響でコストが跳ね上がり、米國での生産が困難になったためだ。
トランプ氏は激怒したが、後の祭り。GMの中國工場で生産される車のほとんどは中國內(nèi)向けで、GMの中國での生産臺(tái)數(shù)は米國內(nèi)生産を大きく上回っている。自動(dòng)車産業(yè)にとっての最大の戦略ターゲットは世界最大市場の中國。特に同國における電気自動(dòng)車(EV)や自動(dòng)運(yùn)転車がキーポイントとなる。各社は生き殘りをかけて積極的に対中投資をしており、GMも例外ではない。
◆米の「軍民融合」モデルを模倣
ファーウェイが強(qiáng)硬派に嫌悪されているのは、同社が中國軍部や情報(bào)機(jī)関とつながっているためだ。同社が通信機(jī)器メーカーとして成功していることからは、中國の技術(shù)力が米國と肩を並べ、超えていく將來が見える。野心的な中國の國家戦略「中國製造2025」では、次世代情報(bào)技術(shù)や新エネルギー車など十の重點(diǎn)分野が特定されている。中國の幹部らは、シリコンバレーのこれまでの研究事例が米國防総省の研究開発から派生したとみて分析。技術(shù)革新のために民間企業(yè)を活用する米國の「軍民融合」モデルを模倣してきた。
トランプ政権はファーウェイを標(biāo)的にして責(zé)め立てるが、同社の機(jī)器を通じ情報(bào)が中國に流れた証拠を明らかにしておらず、中國の市場開放を求める米國が、技術(shù)力や品質(zhì)で定評(píng)のある同社製品を締め出すために脅威論を振りまいているという見方もある。ドイツは「安全対策は通信法で定められ政府によって検証もされている」と、ファーウェイを政府調(diào)達(dá)から排除しないという判斷をし、米國や日豪などと対応で一線を畫した。
ファーウェイはこれまで泣きどころだった半導(dǎo)體の內(nèi)製化にも取り組んでおり、同社は「米國に依存しない體制が整いつつある」と自信を深めている。內(nèi)需主導(dǎo)型経済の中國にとって貿(mào)易戦爭の実體経済への影響は耐えられないほどでもない。原油?大豆も米國の代わりに他國から調(diào)達(dá)可能だ。
◆対話しつつ「自力更生」
今回、ファーウェイが標(biāo)的になったのは、同社が次世代通信「5G」の技術(shù)で米國を一歩リードしているためだ。貿(mào)易問題では妥協(xié)が可能でも、次世代の技術(shù)覇権を巡る爭いの方がより根深く、米國は今後も次々と中國に揺さぶりをかける可能性が高い。これに対し中國は米國と対話しつつ長期戦に持ち込み、米國の“衰退トレンド”を粘り強(qiáng)く待つというしたたかな戦略を立てている。習(xí)主席は國民に向けた新年のメッセージで、新中國の成立から70周年となる2019年は「自力更生と刻苦奮闘を堅(jiān)持し、先人がなし得なかった偉大な事業(yè)を一歩ずつ前に進(jìn)めていかなければならない」と訴えた。
筆者が訪ねた厳寒の中國東北地方は中心都市?瀋陽はじめ各地の繁華街やビジネス街は米中経済摩擦を感じさせない隆盛ぶりで、人々の表情も明るかった。
「<現(xiàn)地ルポ?中國の実態(tài)(2)>國際都市?瀋陽、クリスマスイブを祝う若者で大賑わい=瀋陽SHY48の劇場に日本人客も―北朝鮮出稼ぎ店も大人気」に続く。
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時(shí)事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財(cái)界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會(huì)見。東京都日中友好協(xié)會(huì)特任顧問。時(shí)事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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