中國(guó)在住十?dāng)?shù)年、北京で起業(yè)する筆者はここ數(shù)年、中國(guó)のネット通販にはまっている。

【その他の寫真】

ネット通販は実店舗での買い物よりも多くの店舗や商品からじっくり比較して選ぶことができるため、欲しいモノはより早く、より安く買うことができる。最近では実店舗でモノを買うことはほとんどなくなってしまった。ネット通販を利用し始めてから3年現(xiàn)在は、中國(guó)の通販サイトを通じて500個(gè)近い商品を買ってきた計(jì)算になる。

中國(guó)でこんなにもネット通販が普及するとは思っていなかった。なぜなら、中國(guó)の人たちは家電製品ひとつ買うのにも、製品の実物をパッケージから出して、電源を入れて、きちんと作動(dòng)するかまでを確認(rèn)した上で買うというのが習(xí)慣化していたからだ。もしも日本のように、買った家電製品を開(kāi)封せずに箱のまま受け取ったとしたら、家に持ち帰った後に不良品だとわかったても、店舗やメーカーには「それはあなたが壊したのだろう」と言われ、取り合ってもらえない可能性が大きかったのだ。

しかし、中國(guó)製品の品質(zhì)はこの10年間で飛躍的に向上、はなから壊れている製品を売りつけられるようなことはほとんどなくなった。また、ネット通販會(huì)社も、消費(fèi)者を保護(hù)するさまざまな仕組みを考え出した。消費(fèi)者が商品を受け取るまでは売り手に入金されない決済システムや、著後7日間以內(nèi)ならば無(wú)條件で返品できる制度などを?qū)毪?、その結(jié)果、ネット通販は急速に普及。電子商取引最大手?阿里巴巴グループ傘下の「天貓商城」と「淘寶網(wǎng)」の2012年の取引額は1兆元（約14兆円）を超え、中國(guó)の社會(huì)消費(fèi)品小売額の5％以上を占めるに至った。

意外ときちんとしている宅配業(yè)者の存在も、ネット通販の普及に一役買っている。郵便事情はいざ知らず、宅配便ならば、北京から約2000キロ離れた広東省のお店からでも數(shù)日で確実に屆く。屆かない場(chǎng)合も追跡システムがあるため、どこかで紛失してしまうということはない。

そんなわけで、欲しいモノがあるとまずはパソコンを立ち上げるのが習(xí)慣になっているが、最近、個(gè)人的に利用する機(jī)會(huì)が増えてきたのが「京東商城」という通販サイトだ。

この「京東商城」、もともとは家電製品を扱っていたが、最近では食品や化粧品などまでを扱うようになった。ここは前出の「天貓商城」や「淘寶網(wǎng)」と違い、物流を自社でまかなっている。各主要都市の倉(cāng)庫(kù)に商品在庫(kù)を持っているため、送料は無(wú)料となり、配送も迅速。午前中に注文すれば、その日の午後には商品が屆く。

現(xiàn)在、中國(guó)のネット通販?zhǔn)袌?chǎng)に占める「天貓商城」のシェアは55％前後と、20％強(qiáng)の「京東商城」を大きく引き離している。しかし、日本で楽天が競(jìng)合のアマゾンに対抗するために、自社物流網(wǎng)を急ピッチで構(gòu)築しているように、今後は中國(guó)でもこうした物流が主流になることが予想される。數(shù)年前までの中國(guó)では、ネット通販業(yè)者の差別化の主戦場(chǎng)は、返品制度やニセモノ対策などの消費(fèi)者保護(hù)だった。しかしこれからは、欲しいものが今すぐに手に入るような迅速な物流システムの構(gòu)築がキーポイントになるだろう。

どんどん便利になる中國(guó)のネット通販。あまりに便利すぎて、ますます出不精になってしまいそうだ。

■筆者プロフィール：柳田 洋

北京華通広運(yùn)物流有限公司 総経理

1966年?yáng)|京生まれ。早稲田大學(xué)商學(xué)部卒業(yè)後、丸紅で石炭貿(mào)易に従事。1996年より5年半にわたり丸紅北京支店に駐在するも、起業(yè)の志捨て難く、2001年丸紅を退社。そのまま北京に留まり駐在員事務(wù)所代行サービス會(huì)社を設(shè)立。その後、引越業(yè)務(wù)や倉(cāng)庫(kù)業(yè)務(wù)を開(kāi)始して現(xiàn)在に至る。著書に「起業(yè)するなら中國(guó)へ行こう！」（PHP新書）。