木口 政樹 2019年2月17日(日) 15時30分
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韓國では、ネットカフェなどに入らなくとも、銀行や市役所の出張所やいたるところにコンピュータがおいてあり、それらはすべて無料でインターネットができるようになっている。ネットの面では韓國のほうが日本を追い越していることははっきりしている。資料寫真。
一九九五年から全世界でインターネットがはじまった。それ以前はアメリカなどの大學や研究機関でのみインターネットの前身であるARPANET(アルパネット)というものが使われていたが、一九九五年のウィンドーズ95の普及とともにインターネットが爆発的に普及した。ホームーページを見たり電子メールを送ったりできるようになったわけだ。今はお年よりのかたもメールをやったりもらったりしているが、昔なら考えられない現(xiàn)象である。
そのインターネット。こちら韓國の場合は、世界でもいち早く全家庭に光ファイバーを走らせ、ほぼ全家庭がブロードバンドでインターネットを利用している。月々の料金も日本円で約2000円ほど。田舎の家でも今はほとんどブロードバンドがひかれている。ネットで映畫を見たりゲームをしたりしても、動きは完璧にスムースである。
ちょっと古い話になるけれど、2010年の夏ふるさと米沢に一時帰省したおりのこと。図書館に行ってネット検索やメールの確認をしようと思ったら、なんとメールの確認ができなかった。メールのような個人的なものはできないように設(shè)定してあるとのことだった。メール専用のソフトでなくグー(goo)のネットメールだから別になんの問題もないはずなのに、なぜ図書館でネットメールの確認もできないようにしてあるのだろう。理解しがたいことだった。
わたしの勤める大學の學生が、夏休みの期間、伊豆の某ホテルでインターンシップのバイトをしてきた。仕事をして日本語も覚え、日本の文化なども學ぶという主旨でインターンシップというものがある。仕事のほうは非常に満足して帰ってきたのだが、伊豆のホテルでなんとインターネットができなかったということだ。幹部の職員らは事務(wù)室に設(shè)置してあるコンピュータでネットができたのかもしれないが、學生らはインターネットができなかったそうだ。ホテルではできないということなので、外に出て、駅の中とか他の公共の施設(shè)にでも行けば當然できるものと考えていたのだが、どこに行ってもネットはできなかったという。
韓國では、ネットカフェなどに入らなくとも、銀行や市役所の出張所やいたるところにコンピュータがおいてあり、それらはすべて無料でインターネットができるようになっている。ドライブインの中にもネットのできるコンピュータがおいてあるのが普通だ。もちろん無料である。自宅にいながらにして、戸籍謄本をインターネットを利用してダウンロードし、自宅のプリンターで印刷し必要な機関に提出する、なんてこともできるのである。戸籍謄本という重要なものをなんとネットで簡単に、自宅に居ながらにして手にいれることができるのである。日本で戸籍謄本を取ろうとしたら、実印もって市役所に行って、長い時間待って、やっと取れるほどのものだと思うが、こちら韓國では自宅にいながらにして簡単に取れてしまう時代になってしまった。戸籍謄本がそうだから、他の公的な書類などはすべて自宅にいながらにしてネットを使用して取れてしまう。
こういったことを見てみると、ネットの面では韓國のほうが日本を追い越していることははっきりしている。しかもちょっとだけではなく、かなり大きく。韓國のIT面での先取性がよく取りざたされるが、それはことばだけではなく実際にそうなのである。年末調(diào)整や稅金などすべてネットで可能だ。一人一人住民番號を持っているために可能なことなんだと思う。
さきほどの伊豆の學生は、ホテルの中でも外でもインターネットができなくて、韓國の実家に連絡(luò)するのにほとほと困りはててしまった。國際電話でならもちろんいつでも可能であるが、料金が高い。ネットメールで連絡(luò)できればただである。必死にネットメールを捜したが結(jié)局どこにもコンピュータがおいてなくて、たまたま友だちのケータイが韓國にもかけられるものだったので、それを使わせてもらったとのことだった。
これが逆に日本の學生が韓國に來てホテルでバイトする、ということを考えてみよう。ホテルにはもちろんメールのできるコンピュータがおいてあるので、いつでも自由に無料ですぐメールができる。
こういう環(huán)境に慣れてしまっている韓國の學生らは、日本に行くとかなりの不便を感じてしまうようだ。
米沢の場合は、図書館にコンピュータはおいてあるものの、メールができないように設(shè)定されているようでは使い物にならない。私もそのときの帰省の際にはメールをするのにかなり困ってしまった。學會からの連絡(luò)などは全てメールでくるのだ。わざわざ友だちの家に行ってコンピュータを借りてメールをせねばならなかった。一昔前の日本と韓國がサカサになってしまったような錯覚に陥ってしまったものである。
日本のほうが韓國よりは圧倒的に進んでいるとだれもが思っていると思うけど、実はそうではないのである。今はほんの一部の面だけだとは思うが、ぼやぼやしているとすべての面で日本は「開発途上國」のレッテルを貼られてしまいかねない。日本には、気を引き締めて前に進んでいってもらいたいと切に願わずにはおれない。
日本では國民番號制に反対の聲が長い間大きかったようで、やっと2016年になって健康保険や稅務(wù)などの面だけで施行された。日本の遅さはダントツだ。第一番にはじめたのがアメリカで1936年から。ただし住民登録はやっていない。韓國も早いほうで1962年から社會保障、稅務(wù)などはもちろん住民登録までカバーできる體制で始まっている。住民登録までカバーできるということはなんでもできるということでもある。部屋にいながらにして戸籍謄本がとれるのもこの制度のおかげだ。日本も早めに導入していれば、あの2007年の年金記録の不具合といった大問題は起こらなくてすんだものと思われる。
2016年1月に導入がはじまったマイナンバー、現(xiàn)在10%ほどの普及率を示しているようだ。ただし、マイナンバーカードを取得したからといって、韓國のように自宅に居ながらにして戸籍謄本が取れるようになるまでにはまだまだ多くの時間が必要のように思われる。
■筆者プロフィール:木口 政樹
イザベラ?バードが理想郷と呼んだ山形県?米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結(jié)婚。元三星(サムスン)人力開発院日本語科教授、元白石大學校教授。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。著書に『おしょうしな韓國』、『アンニョンお隣さん』など。まぐまぐ大賞2016でコラム部門4位に選ばれた。 著書はこちら(amazon)Twitterはこちら※フォローの際はメッセージ付きでお願いいたします。
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