2013年2月、中國経済は緩やかな回復(fù)軌道にあり、今年の実質(zhì)的GDP経済は8％臺前半と7．8％を上回る見通しだ。しかし政府による巨大インフラ投資によるもので、バランスのとれた経済発展からは程遠(yuǎn)い。不動産バブルの再來を危懼する聲も、巻き起こっている。

【その他の寫真】

最近の中國の景気回復(fù)の背景となっているのは（1）12年4月以降の金融緩和と積極的財政支出を背景に、地下鉄、道路建設(shè)などのインフラ投資が増加し始めていること（2）12年5月以降、不動産価格が上昇に転じたため、先行きの値上がり期待が高まり、不動産投資が回復(fù)しつつあること、（3）先進(jìn)國に比べ著しく劣っていた第3次産業(yè)が徐々に拡大、雇用の増加と賃金上昇から消費(fèi)増につながったこと―の3點(diǎn)だ。

さらに、今年3月の習(xí)近平政権の本格スタートにより、大型公共投資を中心とした巨大國家プロジェクトが動き出す。心配された消費(fèi)者物価が昨年半ばから2％前後と安定しているほか、財政事情もほかの主要國に比べ格段に良好なため、政策運(yùn)営の自由度は大きい。

ただ、この先、歐米向け輸出の伸び悩み、不動産バブルの再燃とこれに伴う不動産取引規(guī)制の継続が予想される。さらに、銀行貸出の一部が不良債権化していることも懸念材料である。

12年末の「中央経済工作會議」で「経済構(gòu)造改革」に力點(diǎn)が置かれた基本政策方針が打ち出された。內(nèi)需主導(dǎo)型成長モデルへの転換、消費(fèi)拡大の促進(jìn)、過剰設(shè)備の抑制、技術(shù)革新の推進(jìn)、都市化促進(jìn)、國民生活水準(zhǔn)の向上などである。

これら構(gòu)造改革は10年前の胡錦濤政権の初期段階から叫ばれていたが、既得権益者が激しく抵抗、ほとんど実現(xiàn)されていないのが実情だ。3月に國家主席と首相に就任するなる習(xí)近平氏と李克強(qiáng)氏の政策手腕が試される。

新政権には、所得格差の縮小、産業(yè)競爭力の強(qiáng)化、汚職?腐敗の是正といった「待ったなし」の課題が待ち受けている。中國のような中進(jìn)國（1人當(dāng)たりGDPが年1萬ドル程度まで）で、これら高いハードル（罠）をクリアできずに先進(jìn)國になれない國は數(shù)多い。アジアで首尾よく先進(jìn)國の仲間入りを果たした國?地域は、日本以外ではシンガポール、韓國、臺灣、香港だけ。インドネシア、タイ、フィリピンなどは先進(jìn)國への移行に失敗した経緯がある。中國が「中進(jìn)國の罠」に落ち込む懸念も大きいと言わざるを得ない。

共産黨政権は多くの関係組織を総動員し、所得格差是正、國有企業(yè)民営化、汚職?腐敗の解消、情報統(tǒng)制の緩和、政治改革（民主化）など最優(yōu)先政策課題に取り組む方針だ。富裕層、既得権益層の抵抗が強(qiáng)く、実行は至難の業(yè)。深刻度を増す公害など社會的な歪は増大する一方で、國民の不満は高まっている。

これらの課題をクリアできなければ、中間層が拡大せず、消費(fèi)が伸び悩む。企業(yè)経営の効率化が阻害され、企業(yè)の採算性も悪化する。さらには企業(yè)の國際競爭力が低下し、貿(mào)易赤字國に転落。その結(jié)果、経済成長率が低下してしまう。

上海、北京、広州、深セン等の沿海部主要都市は、すでに先進(jìn)國並みの経済水準(zhǔn)に達(dá)した。

しかし、武漢、重慶、成都、西安、瀋陽など內(nèi)陸部の主要都市およびその他中小都市、さらには農(nóng)村地域はこれから重要な局面を迎える。

習(xí)近平総書記は1月上旬、就任後初の地方訪問として広東省深セン市を視察した。深センはトウ小平氏の改革開放政策で急速に発展し、現(xiàn)在はサービス業(yè)やハイテク産業(yè)など高度経済化が進(jìn)んでいる「模範(fàn)都市」。習(xí)総書記の訪問には、成功したトウ氏の改革開放政策を踏襲。産業(yè)構(gòu)造改革を推進(jìn)し持続的成長を目指す姿勢をアピールする狙いがある。

＜「コラム?巨象を探る」その26＞

＜「コラム?巨象を探る」はジャーナリスト八牧浩行（Record China社長?主筆）によるコラム記事。近著に「中國危機(jī)―巨大化するチャイナリスクに備えよ」（あさ出版）がある＞

■筆者プロフィール：八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン（フルマラソン12回完走＝東京マラソン4回）、ヴァイオリン演奏。