中國(guó)がINF條約（中距離核戦力全廃條約）に參加したがらないのは、INF條約が禁止しているのが陸上のミサイルだけで、航空機(jī)や艦船から発射されるミサイルは禁止されていないからだという。中國(guó)軍は戦力として、航空機(jī)や艦船より、多くの陸上発射ミサイルに頼っているので、陸上発射のミサイルだけを廃棄する條約は、中國(guó)にはメリットがない。

2019年2月にドイツで開かれたミュンヘン安全保障會(huì)議で、ドイツのアンゲラ?メルケル首相は、中國(guó)にINF條約に參加する交渉をしてほしいと呼びかけた。しかし、同會(huì)議に參加していた中國(guó)政治局員の楊潔チ氏は、多國(guó)間INF條約への中國(guó)の參加には確固たる反対の意思をしめしており、中國(guó)がINF條約に參加する計(jì)畫を持っていないことをほのめかした。

INF條約は1987年にアメリカとソ連が締結(jié)した條約だ。この條約は、陸上から運(yùn)用される射程500km～5500kmの弾道ミサイルや巡航ミサイルと、それらの発射裝置をなくすというものだ。

元中國(guó)人民解放軍少將の姚雲(yún)竹氏によると、INF條約の大部分は陸上ミサイルに関するものであり、海や空から発射されるミサイルについてはほとんど言及されていないという。サウスチャイナ?モーニング?ポストが伝えている。

「中國(guó)のほとんどの核攻撃能力は地上発射のものです」姚雲(yún)竹氏は言う?？栅浜￥榘k射されるミサイルについては、米露と、中國(guó)の間には著しい不均衡があるという。地上発射のミサイルのみを禁止すれば、中國(guó)に圧倒的不利になるので、中國(guó)はINF條約に參加したがらないのだという。

アメリカ軍高官の公式発言によれば、中國(guó)の弾道ミサイルや巡航ミサイルのうち90パーセントが、INF條約に調(diào)印していたとすれば禁止されているものであるという。中國(guó)はINF條約で規(guī)定されている短?中距離ミサイルに多額の資金を注いできた。この戦力が中國(guó)の接近阻止?領(lǐng)域拒否（A2/AD）と呼ばれる戦略を可能としてきたのである。

INF條約の最終期限までに、アメリカとソ連は2692発のミサイルを廃棄している。しかし、これらは、アメリカやソ連（ロシア）が大量に保有する核兵器のほんの一部にすぎなかった。INF條約で廃棄されたのは、陸上から運(yùn)用されるミサイルだったので、アメリカやロシアの、航空機(jī)や艦船から発射されるミサイルの大規(guī)模開発が止まることはなかった。

たとえば、中距離ミサイルを発射する航空戦力の中核になる爆撃機(jī)を例にあげても、アメリカと中國(guó)の差は非常に大きい?，F(xiàn)在、アメリカ軍の大型長(zhǎng)距離爆撃機(jī)としては、數(shù)々の実績(jī)をあげてきたB-52爆撃機(jī)や、超音速のB-1爆撃機(jī)、ステルス機(jī)で有名なB-2爆撃機(jī)がある?，F(xiàn)在の中國(guó)軍には、これらに相當(dāng)する爆撃機(jī)が存在しない。戦略爆撃機(jī)と呼ばれている中國(guó)のH-6爆撃機(jī)は中型中距離爆撃機(jī)で、これらに相當(dāng)する機(jī)種ではない。また、H-6爆撃機(jī)は亜音速機(jī)であり、ステルス機(jī)でもない。

フライトインターナショナルの『世界の空軍2019年』レポートでは、活動(dòng)中の爆撃機(jī)は、アメリカでは、74機(jī)のB-52H、59機(jī)のB-1B、19機(jī)のB-2Aの計(jì)152機(jī)となっている。対して、中國(guó)は120機(jī)のH-6である。

アメリカのB-52などの大型爆撃機(jī)と中國(guó)のH-6では機(jī)體のサイズが違うため、搭載できる巡航ミサイルの數(shù)も違っている。米中の爆撃機(jī)部隊(duì)の戦力の差は、単なる數(shù)以上に大きい。

INF條約で禁止されている中距離ミサイルが運(yùn)用できた場(chǎng)合、アメリカ側(cè)の視點(diǎn)では次のような利點(diǎn)が考えられている。

?アメリカの中距離ミサイルは中國(guó)の抑止に役立つ。

?ミサイルは航空機(jī)や艦船から発射するものより、陸上発射のほうが維持費(fèi)などの面で、はるかに安くなる。

?敵から攻撃された場(chǎng)合、車載型陸上ミサイルは、航空機(jī)や艦船よりも生存能力が高い。

しかし一方で、INF條約破棄を支持している人々はアメリカが中距離ミサイルを配備しようとする國(guó)の政治的な問題を無(wú)視している、という批判がある。

アメリカの陸上発射の中距離ミサイルで問題となるのが、配備されることになる國(guó)の世論の強(qiáng)い反発だ。アメリカ領(lǐng)グアムに中距離ミサイルを配備するのは簡(jiǎn)単だろう。しかし、日本やフィリピンにアメリカの中距離ミサイルを配備するには、やっかいな政治的配慮が必要になるだろう。

日本の現(xiàn)在の在日米軍についてさえ、特に沖縄での反対運(yùn)動(dòng)や多くの日本メディアでの抗議が、よく知られているところだ。アメリカの中距離ミサイルが日本に配備されるような話があれば、當(dāng)然ながら、これらの強(qiáng)い反発が予測(cè)される。フィリピンにおいても、ドゥテルテ大統(tǒng)領(lǐng)が対中姿勢(shì)において、すり寄りなどのさまざまな変化を見せており情勢(shì)は複雑だ。

これらの國(guó)がアメリカの中距離ミサイルの配備に協(xié)力的でないせいで、政治、軍事の両面でアメリカへの不利益が発生する可能性がある。その場(chǎng)合、INF條約の破棄で起こる問題のデメリットが、中國(guó)に対抗できるメリットを上回る、とカーネギー平和財(cái)団のプラネー?ヴァディ氏が主張している。

■筆者プロフィール：洲良はるき

大阪在住のアマチュア軍事研究家。翻訳家やライターとして活動(dòng)する一方で、ブログやツイッターで英語(yǔ)?中國(guó)語(yǔ)の軍事関係の報(bào)道や論文?レポートなどの紹介と解説をしている。月刊『軍事研究』に最新型ステルス爆撃機(jī)「B-21レイダー」の記事を投稿。これまで主に取り扱ってきたのは最新軍用航空機(jī)関連。

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