<羅針盤>日本の創(chuàng)作オペラ『靜と義経』を堪能=音楽は世界共通語、「國境」はない―立石信雄オムロン元會長

立石信雄    2019年3月10日(日) 5時30分

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日本でオペラと言えばイタリアやドイツなどの洋楽ものが好まれる中で、日本獨(dú)自の創(chuàng)作オペラは貴重である。日本オペラ協(xié)會の『靜と義経』を鑑賞。最終幕の悲劇的なアリアは純粋美に溢れ、『椿姫』などイタリアオペラの代表的アリアにも負(fù)けない美しさだった。

日本でオペラと言えばイタリアやドイツなどの洋楽ものが好まれる中で、日本獨(dú)自の創(chuàng)作オペラは貴重である。先日、日本オペラ協(xié)會の『靜と義経』(作?臺本 なかにし禮、作曲?三木稔)を鑑賞した。源頼朝、義経、弁慶ら武士が権力を握った時代を象徴する人物が登場する壯大な歴史絵巻。様式美を感じさせるドラマティックな歌と音楽がきらびやかな舞臺に映え、見応えがあった。100人以上の歌手やスタッフが稽古を重ねて編み出した総合蕓術(shù)ならではの迫力に圧倒された。

特に終幕、靜御前が最早會うことができない義経への思いを込めて歌う悲劇的なアリアは純粋美に溢れ、『椿姫』などイタリアオペラの代表的アリアにも負(fù)けない美しさだった。日本オペラ協(xié)會を支えてきた多くの歌手が出演。60年間積み重ねてきた日本オペラ上演の集大成と言える出來栄えで、日本の創(chuàng)作オペラもここまで來たかと、感慨深かった。

近年AI(人工知能)とロボット技術(shù)の世界は目覚ましい進(jìn)歩を遂げており、AIが將棋や碁の世界で一流プロを凌駕するケースも出ている。今後10?20年で、今存在するさまざまな仕事が自動化され、人間の仕事の領(lǐng)域が狹まるとも考えられている。音楽の世界でも、音響技術(shù)が急速に進(jìn)歩し、臨場感のある迫力や艶やかな音色に驚くことが多い。最近ではAIスピーカーなるものまで登場。インターネットに常時接続され、話しかけることでAIの音聲アシスタントと対話できるという。

しかし、何ごとも生(なま)の迫力に勝るものはない。ソプラノ、メゾソプラノ、テノール、バリトンなどの朗々とした聲や、ピアノ、ヴァイオリン、フルートなどの繊細(xì)な音色も、直接劇場で聴いてこそ心に迫り、感動を呼ぶ。音楽は人々の心を豊かにする。老化予防にも効果があるとされ、人々の生きがいを向上させることができる。AIやロボットが活躍する世界が到來しても、人間が紡ぐ歌や音楽に置き換わることはできない。生の音(おと)はさらに貴重なものになると考える。

音楽は萬國共通語であり、この世界に國境はない。かつて、ワシントンでの國際會議のあと、時間をつくってナショナル交響楽団を楽しんだ。コンサートホールは、あの桜で有名なポトマック川沿いにある軍艦のように大きなJ?F?ケネディセンターの中にあった。ちなみにこのケネディセンターの名譽(yù)會長にはブッシュ、レーガン、カーター、フォード、ニクソン、ジョンソンといった歴代の大統(tǒng)領(lǐng)夫人が名を連ね、多くの財団、企業(yè)、個人からの資金で運(yùn)営されている。その層の厚さにさすがに米國という感を持った。

この時のコンサートはチヤイコフスキーの壯大な「戴冠式」で始まり、同じく「ピアノ協(xié)奏曲第一番作品23」「ロココによる主題の変奏曲」ラベルの「ラプソディー」と続いた。指揮者はロストロポピッヂであった。ソルジェニーツィンを擁護(hù)したことで舊ソ連から追放され米國に亡命、今でも人権主義者としても有名である。ときに繊細(xì)にタクトを振り、ときにはのけぞらんばかりに両手を振り回すジェスチャーに何か祖國への何か祖國への熱き想いを訴えているように感じた。

曲が終わると、たび重なるカーテンコールごとにその曲での主役を演じた団員の人たちに自ら握手を求める心配りや感性の豊かさ、その指揮者への畏敬と敬慕の入り混じった団員のまなざし等、その醸し出す雰囲気に私自身熱いものを禁じ得なかった。

 

またピアノはキューバ生まれのアメリカ人、チェリストはブラジル人、バイオリニストはアルゼンチン人、団員の申に日本、中國、韓國の人たちの名前もある。これこそ國境超えて創(chuàng)り出すハーモニーなのだ。

世界で地域紛爭が多発し、その犠牲者の悲しいニュースが絶えない昨今、世界各國の音楽家が、シンフォニー21C(センチュリー)「世界の平和」を奏でる日が一日も早く來てほしいものである。

AIやロボットが主役で人間が脇役になる世界は人間の尊厳を否定することになりかねない。人間のみが持つ感性を生かして音楽、舞踴、演劇、美術(shù)や文學(xué)など蕓術(shù)を自らつくり楽しむことが必要ではないだろうか。

<羅針盤篇36>

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機(jī)販売に入社。1965年立石電機(jī)(現(xiàn)オムロン株式會社)取締役。1995年代表取締役會長。2003年相談役。 日本経団連?國際労働委員長、海外事業(yè)活動関連協(xié)議會(CBCC)會長など歴任?!弗蕙庭弗幞螗趣?a target='_blank' href='http://www.wenhuatang.com/search.php?filter=ノーベル賞'>ノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名譽(yù)文化博士。中國?北京大、南開大、上海交通大、復(fù)旦大などの顧問教授や顧問を務(wù)めている。SAM(日本経営近代化協(xié)會)名譽(yù)會長。エッセイスト。

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