今年の「ブラック?スワン（新型コロナ蔓延）」（※）の影響で、世界の経済活動(dòng)は急激に落ち込み、大企業(yè)であれ中小企業(yè)であれ、経営に大きな影響を與えた。世界最大の石油會(huì)社であるサウジアラムコでさえ、初めてとなる?yún)б婕甭浃蚪U験した。 更に、海外投資プロジェクトでは「一時(shí)停止のボタン」が押された。この異常な時(shí)期に、業(yè)界の巨人は投資を削減し、すでに寒冬期を乗り切る準(zhǔn)備を始めている?！弗芝楗氓?スワン」とは事前にほとんど予想できず、起きたときの衝撃が大きい事象のこと。

世界に目を移すと、本年上半期の英國(guó)BP、ロイヤルダッチシェル、米國(guó)のエクソンモービルなどの大手石油會(huì)社なども程度の差はあれ新型コロナ禍で業(yè)績(jī)低下し、損失を出している。

中國(guó)の二大石油企業(yè)も例外ではない。本年上半期では500億元（約7871億円）以上の損失を出しており、「ブラックスワン」到來(lái)と石油価格の急落によるダブルパンチを受け、業(yè)績(jī)は慘憺たるものとなった。シノペックやペトロチャイナに加えて、この二大石油企業(yè)を遙かに超える955億元（約1兆5900億円）もの損失を出したのが、中國(guó)最大の中央政府系企業(yè)「中國(guó)國(guó)家鉄路集団」である。

■中央政府系企業(yè)グループ　「中國(guó)國(guó)家鉄路集団」が955億元の大損失

現(xiàn)在100を超える中國(guó)內(nèi)の中央政府系企業(yè)グループの中で、トップを走るのが中國(guó)國(guó)家鉄路集団である。登録資本金は1兆7300億元（約27兆円）で、総資産額でも20兆元（約314兆円）を超える資産総額最大の中央政府系企業(yè)である。

すでに公開(kāi)されている資料では、中國(guó)國(guó)家鉄路集団は、大型國(guó)有獨(dú)資企業(yè)で、部庁（省庁）級(jí)の中央政府系の大企業(yè)でもある。前身は中國(guó)鉄路総公司で、昨年6月正式に中國(guó)國(guó)家鉄路集団として再編された。 ここで重要なのは、中國(guó)國(guó)家鉄路集団は204萬(wàn)人の職員を抱え、単純に職員數(shù)で見(jiàn)ても中央政府系企業(yè)で最大で、まさに「數(shù)ある中央政府系企業(yè)グループでトップ中のトップ」である。

中國(guó)國(guó)家鉄路集団は4000億元（約6兆3000億円）以上の収益を上げながら、本年上半期たった6カ月で955億元（約1兆5600億円）もの損失を出した。中國(guó)國(guó)家鉄路集団が発表した「業(yè)績(jī)レポート」によると、中國(guó)國(guó)家鉄路集団は本年上半期4039億元（約6兆4000億円）の営業(yè)利益を達(dá)成したものの、前年同期比で1200億元（約1兆9000億円）以上の収益減となっている。純利益の観點(diǎn)から、上半期で損失額955億元（約1兆5600億円）を出した理由は、「収入減」と「支出増」である。

■中國(guó)國(guó)家鉄路集団の収益が大幅減少

本年上半期の中國(guó)國(guó)家鉄路集団の営業(yè)利益は4000億元（約6兆3000億円）を超えたが、1000億元（約16兆円）近くの損失を出した。それはなぜか？中國(guó)國(guó)家鉄路集団の財(cái)務(wù)報(bào)告によると、上半期の損失は紛れもなく、本年初頭に発生した新型コロナの影響によるもので、鉄道乗客數(shù)が激減し、貨物やケータリング、輸送などのその他事業(yè)の収益も減少したことにある。

本年第1四半期を振り返ると、當(dāng)時(shí)は新型コロナ流行でほとんどの人が外出をひかえたことで、鉄道利用客數(shù)が激減、その結(jié)果、中國(guó)國(guó)家鉄路集団の乗客収入は50％以上も減少、前年同期の半分以下の減収となっている。更に追い討ちをかけるように、同集団の貨物部門の収入は、比較的影響が少ない上半期に3％近く減少し、非輸送部門の収入も100億元（約1574億円）以上も減少している。収入の減少は乗客數(shù)減少が主因であったことがわかる。

■職員204萬(wàn)人以上が賃金カット

中國(guó)國(guó)家鉄路集団は全國(guó)で204萬(wàn)人以上の職員を抱えている。新型コロナ流行期間も、賃金の支払いが続き、莫大な支出負(fù)擔(dān)が経営を圧迫する形となった。204萬(wàn)人の職員の賃金支払いでは、國(guó)営企業(yè)と中央政府系企業(yè)だからこそ、その負(fù)擔(dān)保障ができるが、民間企業(yè)でこのような莫大な賃金支出の負(fù)擔(dān)保障は不可能である。現(xiàn)在、中國(guó)國(guó)家鉄路集団は経費(fèi)削減と損失額の低減のため、子會(huì)社に対し、実情に照らし職員の賃金を減額するよう求める通知を出している。

■鉄道網(wǎng)と高速鉄道網(wǎng)建設(shè)投資が重圧

中國(guó)國(guó)家鉄路集団はまた、中國(guó)全土の鉄道網(wǎng)と高速鉄道網(wǎng)の建設(shè)投資を擔(dān)當(dāng)しており、本年上半期には1800億元（約2兆8000億円）以上のインフラ投資をしている。そのうち700km以上が高速鉄道網(wǎng)の投資だ。専門家によると、中國(guó)の高速鉄道1km當(dāng)たりの建設(shè)コストは1億3000萬(wàn)元（約20億円）が掛かり、700km建設(shè)では900億元（約1兆4000億円）以上に達(dá)する。この巨大投資も収益減少と経営資源の圧迫の一要因となっている。

■筆者プロフィール：內(nèi)藤 康行

1950年生まれ。橫浜在住。中學(xué)生時(shí)代、図書(shū)館で「西遊記」を読後、中國(guó)に興味を持ち、臺(tái)灣で中國(guó)語(yǔ)を?qū)Wぶ。以來(lái)40年近く中國(guó)との関わりを持ち現(xiàn)在に至る。中國(guó)の環(huán)境全般と環(huán)境（水、大気、土壌）に関わるビジネスを?qū)熼Tとするコンサルタント、中國(guó)環(huán)境事情リサーチャーとして情報(bào)を発信している。著書(shū)に「中國(guó)水ビジネス市場(chǎng)における水ビジネスメジャーの現(xiàn)狀」（用水と廃水2016?9）、「中國(guó)水ビジネス産業(yè)の現(xiàn)狀と今後の方向性」（用水と廃水2016?3）、「中國(guó)の農(nóng)村汚染の現(xiàn)狀と対策」（CWR定期レポ）など。