米朝関係は2月28日の會(huì)談決裂後、これまで何度も経験した膠著狀態(tài)に陥っている。決裂直後にトランプと文大統(tǒng)領(lǐng)の電話対話があった。ここでトランプが「米國(guó)のビッグディールの考え方を北朝鮮に説明してくれ。金正恩が既存の政策を変えることで制裁を解くこともできるし対話が可能となる。それを説得できるのは中國(guó)のシジンピンと韓國(guó)のあなた文大統(tǒng)領(lǐng)しかいない。しかし金正恩がより信頼するのは文大統(tǒng)領(lǐng)なのだから、なんとか説得してくれ」と言ったのに、韓國(guó)の青瓦臺(tái)（大統(tǒng)領(lǐng)府）が、まるで第三者のように「仲裁役を（トランプから）頼まれた」などと発表するものだから、米の上層部みんながあきれ返ったという。

あきれるのもわかる。米の話と青瓦臺(tái)の話がまったくちがうのだから。米は、ビッグディール（100％の非核化をやったら、北への経済制裁の全面解除）を北に納得させてくれということであるのに対し、青瓦臺(tái)（韓國(guó)）は、米と北の仲裁役をやってくれと頼まれたといっている。仲裁役というのは、ビッグディールの説得じゃなくて、北の立場(chǎng)を米が納得してくれるよう米に頼み込むといったニュアンスだ。

トランプの話は、文大統(tǒng)領(lǐng)が米の立場(chǎng)に立って北に迫るということなのだが、青瓦臺(tái)の話は、文大統(tǒng)領(lǐng)が北の立場(chǎng)に立って米に迫るということになっている。これじゃ、米があきれ返るのも無(wú)理はない。

いみじくも米國(guó)シンクタンク関係者が言ったそうだ。「韓國(guó)はPM2．5問(wèn)題が深刻だと聞いているけど、韓國(guó)?米國(guó)間のミセモンジ（微小粒子狀物質(zhì)）問(wèn)題がもっと深刻だよ」と。言い得て妙である。

こうしたなか、北朝鮮が3月22日、開(kāi)城（ケソン）の南北共同連絡(luò)事務(wù)所から一方的に撤退した。北側(cè)は何の説明もなしに「上部の指示によるもの」とだけしたという。キム?ジョンウン決定という意味だ。韓國(guó)政府は遺憾を表しながら、「北側(cè)が速やかに復(fù)帰し、南北間の合意に従って連絡(luò)事務(wù)所が通常の狀態(tài)に戻ることを望む」としたが、南北関係はしばらくは全面中斷される可能性が高まっている。

韓國(guó)政府は昨年9月、北朝鮮制裁違反の懸念の中にも100億ウォンの改?補(bǔ)修費(fèi)用を投入し連絡(luò)事務(wù)所開(kāi)設(shè)を推進(jìn)した。當(dāng)時(shí)文大統(tǒng)領(lǐng)は「南北が24時(shí)間365日疎通する時(shí)代が開(kāi)かれた」とその意義を強(qiáng)調(diào)した。しかし、北朝鮮は先月末、ハノイ米朝首脳會(huì)談決裂以降、毎週定例で行われていた會(huì)議に何の説明もなしに參加せず、完全に荷物をまとめて引き上げていったのである。

北朝鮮は當(dāng)初から連絡(luò)事務(wù)所を南北関係の改善ではなく、國(guó)際社會(huì)の対北朝鮮制裁緩和のためのバイパス窓口として利用しようとしていたフシがある。しかし、韓米葛藤の溝が深くなって米國(guó)が文大統(tǒng)領(lǐng)の言葉を不信していることが確認(rèn)されると、北朝鮮も文政権をこれ以上利用する価値がないと判斷したものと思われる。

最近、韓米関係は同盟とは呼べないほど崩れてしまっている。米財(cái)務(wù)省海外資産統(tǒng)制國(guó)（OFAC）は3月23日、北朝鮮の不法海上取引注意報(bào)を発令しながら疑問(wèn)船舶リストに韓國(guó)船1隻を含めた。國(guó)際社會(huì)の制裁を避けて不法積み替え（瀬取り）で北朝鮮と精製油を取引した情況があるということだ。深刻な事態(tài)といわざるをえない。

今回、米國(guó)が追加した「疑い船舶」の國(guó)籍の中で、同盟國(guó)は韓國(guó)しかない。まだ明確な証拠が確保されていない狀態(tài)で同盟國(guó)の船をブラックリストに載せたのは、事実上、韓國(guó)政府に対する警告ということ。北朝鮮脅威の最大の被害者である韓國(guó)が、対北朝鮮制裁の「穴」と疑われる灑落にもならない事態(tài)が起こっているのだ。

現(xiàn)在、米國(guó)をはじめとする國(guó)際社會(huì)は、北朝鮮が核放棄を決心するように追い込む方法は制裁圧迫唯一つという點(diǎn)で一つになっている。米國(guó)は北朝鮮の海上不法積み替え（瀬取り）を取り締まるために、警備艦まで韓國(guó)に送ってくる始末だ。韓國(guó)政府が、このような制裁に積極的に參加しなければ米國(guó)の信頼を回復(fù)することができず、米國(guó)の信頼を得ることができなければ、北朝鮮が韓國(guó)に「仲裁」の役割を期待するはずもない。しかし、文政権は北朝鮮の核廃棄がどうなろうが一貫して、金正恩ショーを継続させつつあるようだ。「制裁緩和が先で、核放棄はその後」という不合理な発想に固執(zhí)している。北朝鮮の代弁者といわれても反論できるはずもない。完全に北の立場(chǎng)での発想なのだから。

制裁のなくなった北が核を放棄するはずがない。このような事情をよく知っている北は、3月22日、開(kāi)城から撤退して「南側(cè)は殘っていてもよし」とした。北一流の文法だ。（米國(guó)にもう一度頼み込んでみたらということであろう。）

文大統(tǒng)領(lǐng)が「金正恩?非核化の意志」という実體のないバブルを作りあげようとした時(shí)から、ともすれば大韓民國(guó)が最大の被害者になる恐れがあるという懸念があった。その懸念が最悪の姿で現(xiàn)実化されている今日この頃だ。南北間の戦爭(zhēng)の危険性をなくしたという點(diǎn)では文大統(tǒng)領(lǐng)の仕事は大いに評(píng)価できるが、斷固たるべきときに斷固たる態(tài)度を示すことも國(guó)際政治においては非常に重要だろうと思われるのだが。

金正恩は近々ロシアに行ってプーチンと會(huì)うようだ。シジンピンとも會(huì)うらしい。朝鮮半島をめぐる情勢(shì)がどんな展開(kāi)を見(jiàn)せていくのか、日々に注目である。

ちなみに、北は3月25日、いきなり南北共同連絡(luò)事務(wù)所に人員を復(fù)帰させた。トランプが、ISを叩き潰したというニュースで震え上がったのか。はたまたトランプが、北への制裁加重を撤回したせいか。どちらにしても、まるで幼稚園の園児のけんかをみているようだ。

今回のコラムは、朝鮮日?qǐng)?bào)をかなり參考にさせていただいた。ここに明記しておきたい。

■筆者プロフィール：木口 政樹(shù)

イザベラ?バードが理想郷と呼んだ山形県?米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結(jié)婚。元三星（サムスン）人力開(kāi)発院日本語(yǔ)科教授、元白石大學(xué)校教授。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。著書(shū)に『おしょうしな韓國(guó)』、『アンニョンお隣さん』など。まぐまぐ大賞2016でコラム部門4位に選ばれた。

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