中國外交部の耿爽（グン?シュアン）報(bào)道官は29日の定例記者會(huì)見で、米海軍艦隊(duì)が28日に臺(tái)灣海峽を通過したことについて、「臺(tái)灣問題は中米（米中）関係の中でも最も重要で最もデリケートな問題」などと、不快感を表明した。外交部が同日付で発表した。ただし、表現(xiàn)は控えめだった。米國をことさらに刺激しないよう考慮した可能性がある。

耿報(bào)道官は同件についてまず、「中國は米國軍艦の臺(tái)灣海峽航行について、強(qiáng)い関心を持ち、全行程を完全に掌握している。すでに米國側(cè)に関心を表明した」と表明。

さらに「臺(tái)灣問題は中米関係で最もデリケートな問題だ。われわれは、米國が一つの中國の原則と、中米による三つのコミュニケの定めを順守し、慎重かつ適切に臺(tái)灣関連問題を処理し、中米関係と臺(tái)灣海峽の平和と安定に、消極的な影響をもたらさないよう督促する」と述べた。

中國は、外交において容認(rèn)しがたい事態(tài)が生じると「強(qiáng)烈な不満」「（相手を）叱責(zé)」など、日本人が思い浮かべる“外交辭令”からすれば、相當(dāng)に激越な表現(xiàn)で不快感を表明することが珍しくない。しかし、同日の記者會(huì)見では、「強(qiáng)い関心」といった、相當(dāng)に控えめな表現(xiàn)にとどめた。

中國は米國と経済貿(mào)易についての協(xié)議を進(jìn)めている。結(jié)果を出すのは當(dāng)初予定よりも大幅に遅れ、5月末ごろにもつれ込むとされている。合意が成立するか決裂するかで、中國経済の今後にとって大きな影響が予想される。そのため中國は現(xiàn)在、米國をいたずらに刺激することを自重しているとの見方がある。

なお、耿報(bào)道官が觸れた「三つのコミュニケ」とは米中が関係正常化を進(jìn)める內(nèi)容を盛り込んだ1972年のコミュニケ（上海コミュニケ）、米中の外交関係樹立を宣言した79年のコミュニケ、米國の対臺(tái)灣武器売卻を減少していき最終的には終了させる內(nèi)容を盛り込んだ82年のコミュニケ（第二次上海コミュニケ）を指す。

中國はしばしば、米國が「一つの中國（中國の唯一の正統(tǒng)政府は中華人民共和國政府）」と、「臺(tái)灣は中國の一部」を認(rèn)めた証拠として、同コミュニケに言及する。

しかし、コミュニケには英語版正本と中國版正本があり內(nèi)容が微妙に違う部分がある。例えば79年のコミュニケの中國語版は「米國政府は中國の立場を承認(rèn)する。すなわち、一つの中國しかなく、臺(tái)灣は中國の一部分である」としているが、同英語版の該當(dāng)箇所は「米國政府は一つの中國しかなく、臺(tái)灣は中國の一部であるという中國の立場を知る」と解釈できる表現(xiàn)で書かれている。（翻訳?編集/如月隼人）