村上春樹(shù)氏が10日発売の文蕓春秋6月特別號(hào)で発表した「貓を棄（す）てる――父親について語(yǔ)るときに僕の語(yǔ)ること」と題する文章が中國(guó)で注目を集めた。軍に召集された自らの父が、中國(guó)兵捕虜の処刑を目撃したことがあるなどと記述したため。インターネット上では、歴史上の事実を認(rèn)めたとして「このような日本人を歓迎する」などと、村上氏を好意的に評(píng)価するコメントが「いいね」を多く集めた。

村上氏の文章は文蕓春秋誌上で27ページに及ぶ。村上氏の父の軍隊(duì)での體験に関連する部分はおおむね11ページ分強(qiáng)。うち、中國(guó)戦線に関連する部分は4ページ分ほどだ。

中國(guó)で最も注目されたのは、村上氏の父が、捕虜になった中國(guó)兵を軍刀で処刑するのを目撃したことがあると書かれた部分だ。中國(guó)兵は「騒ぎもせず、怖がりもせず、ただじっと目を閉じて靜かにそこに座って」いて、斬首されたという。村上氏は「兵であり僧であった彼の魂に――大きなしこりとなって殘ったのは、確かなことのように思える」と記した。

村上氏はさらに、「日本軍兵士」（中公新書）には、初年兵を戦場(chǎng)に慣れさせるために、捕虜を刺殺させるよう指示があった部隊(duì)があったとの記載があると紹介。「そのような行為を下級(jí)兵士が強(qiáng)制されていたとしても、決して不思議ではない」と論じた。

村上氏は、「殘虐行為は殘念ながらあったと率直に証言する人もいれば、そんなものはまったくなかった、ただのフィクションだと強(qiáng)く主張する人もいる」と、日本側(cè)にもさまざまな主張があることに觸れた。文章の前後関係から、この場(chǎng)合の「殘虐行為」とは1937年12月の、いわゆる「南京事件」を念頭に置いたと読める。

なお、村上氏は自分の父が実際に捕虜を処刑したとは書いていないが、中國(guó)メディアは「村上春樹(shù)が家族の黒歴史を初めて自ら暴露。父親はあるいは中國(guó)人捕虜を殺していたかも」といった見(jiàn)出しで報(bào)じた（環(huán)球時(shí)報(bào)記事、19年5月11日付）。

同記事を転載した新浪網(wǎng)にはコメント欄が設(shè)けられており、多くの意見(jiàn)が寄せられた。日本時(shí)間19年5月12日午後3時(shí)半現(xiàn)在、もっとも多くの「いいね」が寄せられた投稿は「もっと多くの日本人が知るべきだ。歴史上の過(guò)ちの結(jié)果は、現(xiàn)在の人が引き受ける必要があるとは限らないが、必ず認(rèn)めなければならない」「歴史は過(guò)去に屬するだけでなく、現(xiàn)在と未來(lái)にも影響する」「殘念ながら日本では、この時(shí)期の歴史を知り、認(rèn)める人がどれだけいるのか」などだ。

歴史を知らなかったり、歴史を認(rèn)めない日本人が多いとする不満は感じられるが、多くのネットユーザーは村上氏が文章を発表したことは評(píng)価していると理解できる。村上氏をも含めて嫌悪感を示す書き込みはあるが、「いいね」はあまり集まっていない。

中國(guó)メディアの澎湃新聞が、微博（ウェイボー、中國(guó)版ツイッター）の公式アカウントで同件を紹介したところ、6483件のコメントが寄せられたことが確認(rèn)できた。転発（リツイート）は1萬(wàn)3609回で、やはり注目を集めている。

「いいね」がとりわけ多いコメントは「われわれは、このような日本人を歓迎する」「中國(guó)を侵略した後の代の人として、一度きりの反省をしているのではない。村上春樹(shù)は歴史を直視できる人だ」など、村上氏を評(píng)価するもものだ。

一方では、「日本は一貫して當(dāng)時(shí)の歴史を抹消しようとしており、彼らの教科書には全く取り上げられていない」とするコメントにも、かなり多くの「いいね」が寄せられた。ただし、同コメントに対しては「彼らの（日本の）教科書は一社の獨(dú)占ではなく、非常に多くの種類がある。われわれに病的な右翼の歴史の教科書と言われ続けている教科書は、日本での使用率が非常に低い」という反論も寄せられた。（翻訳?編集/如月隼人）