安倍晉三首相は就任以來、沖縄県尖閣諸島をめぐる領(lǐng)土問題を念頭に、同じ制度や価値観を共有する國々と連攜する「対中包囲外交」を展開、各メディアもその狙いを大々的に報(bào)道している。ところが、インド、豪州、ロシア、アジア各國、さらには日本が頼みとする米國でさえも、首相の思惑とは裏腹に、醒めているのが実情。経済的に拡大する中國との良好な関係の維持拡大を経済?外交政策の基本としているからだ。日本が対中包囲外交を成功させるのは至難の業(yè)。各國はむしろ中國との協(xié)力関係強(qiáng)化を図る動(dòng)きを見せている。

【その他の寫真】

日本が推進(jìn)する「中國包囲網(wǎng)」を危うくするニュースがこのところ頻出している。3月半ばに就任したばかりの習(xí)近平?中國國家主席は最初の公式訪問先としてロシアを選択。モスクワでプーチン大統(tǒng)領(lǐng)と會談し、國連安全保障理事會など國際的枠組みでの協(xié)調(diào)や経済関係拡大の方針を確認(rèn)し、「戦略的パートナーシップ」の強(qiáng)化を盛り込んだ共同聲明に署名した。共同聲明には、主権、領(lǐng)土保全、安全保障など「核心的利益」にかかわる問題で協(xié)力することも盛り込まれ、尖閣諸島をめぐって日本と対立する中國が、北方領(lǐng)土問題を抱えるロシアとの共闘姿勢を打ち出した形である。

3月下旬に來日したインドのクルシード外相は東京で記者會見し、中國けん制を狙って、日本や米國、インド、豪州が戦略的協(xié)力を深めるべきだとの考えについて、「インドは自立?獨(dú)立した意思決定をしていく」と語り、「中國包囲網(wǎng)」構(gòu)想を全面否定した。その上で「中國とは貿(mào)易面を中心に良好な関係にあり、米國も中國とは良好な関係にある事実を見過ごしてはならない」と指摘。インドは中國包囲網(wǎng)を築かないと斷言した。それどころか、「米國自身が中國と良好な関係にあるという事実を見過ごしてはならない。インドとしては中國との協(xié)力関係を念頭において、國益を追求していきたい」と明言したのだ。

豪州のギラード首相は4月上旬、「史上最も高いレベル」の代表団を引き連れ訪中、首相、外相、経済相が「戦略対話」を毎年開催することで合意。ギラード首相は、「豪中関係の將來が強(qiáng)化された」との聲明を発表した。さらに同首相は、海南省で習(xí)近平主席と會談し、両國は「戦略パートナーシップ」を結(jié)んだと宣言。人民元と豪州ドルの直接取引のスタートで合意している。

カー豪外相も3月、「われわれは米國とも中國とも深い接觸を図っていく。米國と中國が共にわれわれと非常に友好な関係にあるというならば、大きな力を発揮する。中國を封じ込めるいかなる方法についても、豪政府はこれを拒否する」と斷言した。

ロシア、インド、豪州だけではない。尖閣諸島問題を念頭に置いた「中國包囲網(wǎng)」づくりで安倍首相が頼みとする米國オバマ第2期政権も中國と「蜜月関係」にある。外交最高責(zé)任者である楊潔チ國務(wù)委員（前外相?副首相級）は駐米大使を務(wù)めた親米派の代表格で、米國の政財(cái)界に広い人脈を持つ。前駐米大使の張業(yè)遂氏も筆頭外務(wù)次官に就いた。

親中派のケリー米國務(wù)長官は王毅元中國駐日大使が3月中旬に外相就任した際、真っ先にお祝いの電話をかけ長時(shí)間話し込んだ。習(xí)政権が発足して最初に訪中した外國の要人は米國のルー財(cái)務(wù)長官。習(xí)氏との會談は國家主席就任からわずか3日後に実現(xiàn)した。ルー氏にとって2月末の財(cái)務(wù)長官就任後最初の外遊であり、日本などほかのアジア諸國に立ち寄らなかった。

習(xí)氏はルー財(cái)務(wù)長官との會談で、ルー氏の訪中を「オバマ大統(tǒng)領(lǐng)が中米関係の発展を高度に重視している表れ」と強(qiáng)調(diào)。その上で、「経済は両國の関係の安定の礎(chǔ)だ」と述べ、「より多くの利益の一致點(diǎn)を見いだそう」と呼びかけた。オバマ政権は最大の貿(mào)易相手の中國と良好な関係を維持して米國製品を売り込みたい考えだ。

米中両國は「新しい大國関係」の構(gòu)築を目指すことで合意している。両國は「米中戦略?経済対話」を今年夏までに開催する予定。中國側(cè)は副首相、米側(cè)は國務(wù)長官と財(cái)務(wù)長官が代表を務(wù)め、安全保障から経済まで幅広く議論する。ケリー國務(wù)長官は4月12日から韓國、中國、日本を訪問するが、北京滯在が最も長い。これに続いて米主要閣僚の中國詣でが続く。

▽中國への軍事演習(xí)參加要請相次ぐ

米國主催の世界最大の海上軍事演習(xí)である環(huán)太平洋合同演習(xí)（リムパック）に中國軍が初めて招待され、次回の2014年演習(xí)で実現(xiàn)することになった。米歐の軍事同盟である北大西洋條約機(jī)構(gòu)（NATO）のラスムセン事務(wù)総長も4月中旬、「中國を脅威とは見なさず、中國と組織的、恒常的な対話の枠組みをつくることが重要。今後數(shù)年間で、対話の枠組みづくりの可能性を探りたい」と明言した。豪首相も、「將來的に米中豪の3カ國による合同軍事演習(xí)を行いたい」としている。この時(shí)期に符號を合わせたように、中國參加の軍事演習(xí)構(gòu)想が出てきたのは注目される。

2013年4月には、南アフリカでBRICS（ブラジル?ロシア?インド?中國?南アフリカ）首脳會議が開催され、BRICS銀行設(shè)立など新しい將來ビジョンを話し合った。この4カ國は人口で世界の43％、GDPでも非常に大きなシェアを占めており、中國はシン?インド首相やプーチン首相らと「緊密な関係」を再確認(rèn)している。これより先習(xí)主席はタンザニアなど多くのアフリカ諸國を歴訪、経済連攜で合意した。さらに同4月、習(xí)主席は中國海南省で開催された「アジアフォーラム」に出席、その前後にブルネイ、ミャンマー、カンボジア等、東南アジア関係國と會談している。世界に散らばる華僑らも動(dòng)員した「中國外交」のしたたかさが際立っている。

＜「コラム?巨象を探る」その28＞

＜「コラム?巨象を探る」はジャーナリスト八牧浩行（Record China社長?主筆）によるコラム記事。近著に「中國危機(jī)―巨大化するチャイナリスクに備えよ」（あさ出版）がある＞

■筆者プロフィール：八牧浩行

1971年時(shí)事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財(cái)界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時(shí)事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン（フルマラソン12回完走＝東京マラソン4回）、ヴァイオリン演奏。