2019年6月14日、香港で身柄を拘束した容疑者の中國本土への移送を可能にする「逃亡犯條例」の改正案をめぐり、緊迫が高まっている。民主派団體などは中國が高度な自治を保障した「一國二制度」の危機と反発。米中貿(mào)易戦爭に続く新たな「內(nèi)憂外患」に中國當(dāng)局は神経をとがらせている。

香港政府が2月に提案した改正案は、現(xiàn)在ケースバイケースで対応している容疑者の身柄引き渡し手続きを簡略化し、香港が身柄引き渡し條約を結(jié)んでいる米國や英國、韓國など20カ國以外にも対象を広げる內(nèi)容だ。條例の「香港以外の中國には適用しない」という條項を削除して中國本土への移送にも道を開いたことから、民主派などが反対運動に立ち上がった。

政府は「政治的な罪に問われた容疑者の身柄は引き渡さない」としているが、香港の民主化デモ「雨傘運動」（2014年秋）の中心人物で民主派政黨「香港衆(zhòng)志（デモシスト）」の主要メンバー?周庭氏は10日、日本記者クラブで會見し、「中國に批判的な活動家や企業(yè)関係者らも移送の対象になりかねない」と指摘?！福?997年に英國から中國に）香港が返還されてから最も危険な法案であり、『一國二制度』が脅威にさらされている」と訴えた。

9日には市民約103萬人（主催者発表）が香港中心部の路上を埋め盡くして「反対」を叫び、企業(yè)の労働組合や商店などでストライキや休業(yè)の動きも拡大した。12日には若者らデモ參加者數(shù)萬人が立法會（議會）議事堂を包囲して警官隊と激しく衝突し、70人以上が負傷した。

政府トップの林鄭月娥?行政長官は10日の記者會見で「（改正は）香港を犯罪者の逃げ場にせず、法治を確かなものにする措置」と述べ、撤回する考えはないと強調(diào)。中國外交部の耿爽報道官は12日の記者會見で、「中央政府は斷固として香港の條例改正を支持する」と重ねて表明した。

ペロシ米下院議長らが香港の反対派支持を表明したことなどから、中國共産黨機関紙?人民日報系の環(huán)球時報英語版は、12日付の1面で「外國勢力、特に米國の強力な影響なしに、反対派はこんな暴力的な事件を起こせない」と主張する専門家の見方を伝え、米國をけん制した。さらに環(huán)球時報は社説で「米國は貿(mào)易戦爭で香港をゲームのチップにしようとしている」と言及。貿(mào)易協(xié)議に波及することも警戒している。（編集/日向）