●めっきり見かけなくなった新作抗日ドラマ

【その他の寫真】

數(shù)少ない日本の抗日ドラマファンの皆さま、最近、抗日ドラマが制作されなくなったとお嘆きでは？事実、ニュースやまとめサイトで流れてくる抗日ドラマネタは、はっきり言って數(shù)年前のネタばかり。最近のベストセラー『Fact Fullness』にあったように情報(bào)のアップデートがなければ、いろいろ見誤ることも多くなる。そこで、抗日ドラマの放映がいま、どんな感じなのかレポートしたいと思う。

●數(shù)年前のお觸れで全滅！？

2016年ごろ、ゴールデンタイムのドラマの話數(shù)を2話までに制限する、とのお觸れが出て、無(wú)條件に放映枠が減ってしまった。従來(lái)3話4話放映していたものが2話までとなったため、30-50％減ということだ。商売をしていていきなり次の月から売り上げがマイナス30-50％減となると考えると、これはかなり大変な事態(tài)である。ただし、これは抗日ドラマに限らず宮廷ドラマやトレンディドラマも影響を受けている。

もうひとつ、娯楽に寄り過(guò)ぎた抗日ドラマは偉大な革命の歴史を冒とくしている、というお叱りが出たため、ゴールデンタイムでの放映禁止のあおりを受け、多くの作品がお蔵入り、塩漬けとなり制作者は涙をのんだ。これも商売に例えると、いままで安定した売り上げのあった得意先から、いきなり取引停止に陥ったことと変わりない。いずれにせよ、抗日ドラマ制作サイドにとっては大きな痛手である。

中國(guó)の大手動(dòng)畫サイト「優(yōu)酷」や「愛(ài)奇蕓」にも最新作の公開は極端に激減、逆に過(guò)去作品が削除されていたりと厳しい狀況だ。（畫像1 愛(ài)奇蕓における2019年の戦爭(zhēng)ドラマ）

果たして抗日ドラマは真面目な戦爭(zhēng)もの以外なくなってしまったのであろうか？早朝や午後の再放送タイムで舊作を観るしかなくなったのであろうか？

●ローカル局でしぶとく新作放映中

ところがである、中央電視臺(tái)（CCTV）及び省級(jí)衛(wèi)視局のゴールデンタイムから消えた抗日ドラマ、実は多數(shù)あるローカル放送局で19時(shí)のニュースのあと、絶賛放映中なのだ。

中國(guó)では日本でいうところのキー局という考え方はないので少し説明したい。皆さんご存知の中央電視臺(tái)、中國(guó)政府國(guó)務(wù)院直轄の放送局だ。日本でいえばNHKに相當(dāng)するが、NHKのような各県地方局はない。その次のクラスに各省及び直轄都市の衛(wèi)星放送局がある。北京衛(wèi)視や東方衛(wèi)視といった放送局だ。衛(wèi)星放送なので中央電視臺(tái)と共にほぼ中國(guó)全土で受信可能である。そして各都市のローカル放送局、上海でいえば上海新聞総合、外語(yǔ)頻道、第一財(cái)経などといった放送局が相當(dāng)する。こちらは地上波及びケーブルテレビでの放映となるので、ネットストリーミング以外では地元でしか見ることができない。それぞれの放送局で獨(dú)自の番組制作をしたり、有力放送局から番組を購(gòu)入して番組枠を埋めている。田舎のローカル放送局になるに従い、番組制作能力は低くなるため、他局から購(gòu)入した番組の再放送や不人気作品、さらには學(xué)蕓會(huì)レベルの番組ばかりになる始末。（畫像2 內(nèi)モンゴル赤峰の學(xué)蕓會(huì)番組）

以上、中國(guó)の放送局がどのような序列になっているか前提を把握したうえで話を進(jìn)めてみたい。これらのローカル放送局では、なぜか抗日ドラマがゴールデンタイムに放映されているのだ、放送局がホームページで公開している番組表で、それは確認(rèn)できる。（畫像3 上海新聞総合より）これらを勘案すると、どうやらゴールデンタイム規(guī)制は省級(jí)衛(wèi)視クラスまでのようだ。

以前、こちらのコラムに書いた『名曲？珍曲？抗日ドラマの音楽』において紹介したファンキー末吉氏が音楽監(jiān)修したトンデモ抗日ドラマ『怒江之戦』も、こういったローカル放送局をたまたま観ていて発見した作品だ。最初に書いた通り、大手動(dòng)畫サイトでも公開數(shù)が激減したため、こういったローカル放送局で拾うしか、新しい作品と出會(huì)うすべが限られてしまっているのが現(xiàn)狀なのだ。

中國(guó)のTVガイドサイトや百度百科では、ドラマ作品がどの局で放映されたかの一覧がある。最近観賞したお寶強(qiáng)奪抗日ドラマ『寶護(hù)風(fēng)雲(yún)』では、結(jié)構(gòu)予算のかかった面白い作品であるにもかかわらず、放映された局はすべてローカル局。その內(nèi)訳は2016年の広東経視に始まり、東方電影頻道、湖南経視、江蘇総蕓頻道とローカル放送局のさらにサブチャンネルである。（畫像4 百度百科より）これでは、新作抗日ドラマが日の目を見ないはずである。

また、數(shù)年前に完成したものの塩漬けとなっている多數(shù)の作品が、このようなローカル放送局にてひっそりと初放送されたりするなど、いわば地下に潛ったような形となり、傑作ドラマを漁るのが非常に困難な狀況となっている。

●広電局への申請(qǐng)狀況

中國(guó)ではあらかじめ映畫ドラマの制作に関し政府への申請(qǐng)が必要となる。そこで政府側(cè)はどのような作品が申請(qǐng)されたか公開情報(bào)として過(guò)去作品を含め専用サイトにて公示している?！·饯螄?guó)家?guī)诓ル娪半娨暰t局サイトの「電視劇政務(wù)平臺(tái)」において公示されている2019年5月度の申請(qǐng)に関しては、全體で65作品、そのうち抗日ドラマに該當(dāng)する近代伝奇、革命ジャンルが12作品とおよそ割合が18％ほどである。（畫像5）抗日ドラマ黃金期の2011年の同じく5月を見てみると、 85作品のうち、近代ジャンルは34作品、およそ40％という數(shù)値となっており、現(xiàn)在では抗日黃金期から半減している。代わりに數(shù)字を伸ばしたのは現(xiàn)代ものの當(dāng)代ジャンル、同じ2011年と2019年の5月期で割合49％から75％へと大躍進(jìn)だ。以前指摘した通り、トレンディドラマのほか、警察ドラマや解放軍ドラマ、そして改革開放40周年のあたりからは企業(yè)ドラマも増加中ということで、政府の規(guī)制の中、いかにウケる作品を制作するかクリエーター側(cè)も新しいネタさがしに躍起といったところだ。

とはいえ、いまだに20％近く抗日ドラマの申請(qǐng)があるということなので、また何かの拍子に審査をすり抜けたトンデモ作品が放映されることは十分考えられる。そのようなクソ作品を発見次第、皆様にお知らせする所存である。

■筆者プロフィール：巖田宇伯

1963年生まれ。景徳鎮(zhèn)と姉妹都市の愛(ài)知県瀬戸市在住。前職は社內(nèi)SE、IT企畫、IT基盤の整備を長(zhǎng)年にわたり擔(dān)當(dāng)。中國(guó)出張中に出會(huì)った抗日ドラマの魅力にハマり、我流の中國(guó)語(yǔ)學(xué)習(xí)の教材として抗日作品をはじめとする中國(guó)ドラマを鑑賞。趣味としてブログを數(shù)年書き溜めた結(jié)果、出版社の目に留まり『中國(guó)抗日ドラマ読本』を上梓。なぜか日本よりも中國(guó)で話題となり本人も困惑。ブログ、ツイッターで中國(guó)ドラマやその周辺に関する情報(bào)を発信中。

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