日本でも見えないうちに経済格差が大きくなっていると前回書いた。アメリカや中國(guó)と言った大國(guó)ほどの差ではない。ただ、「見えない」のは、実は格差の大きさの差より、たちが悪い。見えていれば、國(guó)民に怒りがわくだろう。

いうまでもなく経済格差は、個(gè)人の能力だけで起きるものではない。例えば、何かアイディア商品を思いついて製造?宣伝して売り、利益を得るにしても、それはある程度安定した社會(huì)基盤があるからだ。製造する機(jī)械、會(huì)社、ある程度の教育があり、訓(xùn)練された従業(yè)員、宣伝媒體、安全な商品?代金の受け渡しの機(jī)構(gòu)、搬送するトラック、整備された道路。さらには社會(huì)が機(jī)能する上で不可欠な通信?電気などインフラ。トラブル時(shí)の警察?司法制度…。國(guó)民全員の協(xié)力の上で作られた歴史的社會(huì)組織?機(jī)構(gòu)の上で、安価にそれを利用できるからこそ利益が上がる。

本人自身も、社會(huì)制度や教育制度のおかげで、文字が読め、専門的知識(shí)を?qū)Wんだ病気の治療を受けているのだ。自分獨(dú)りの才覚で大きな利益を得られるのが人間社會(huì)ではない。利益が利益を生むというのも社會(huì)的仕組みのおかげなのだ。それを忘れてしまうと「オレの能力」という錯(cuò)覚に陥る。企業(yè)の社會(huì)性も、利益の社會(huì)還元も忘卻する。

因みに、『此があれば彼があり、此がなければ彼がない。此が生ずれば彼が生じ、此が滅すれば彼が滅す』 小部経典『自説経』というのは釈迦の真理－総ては無常?縁起する－の根幹だが、縁起は個(gè)人的な或いは人間関係の話、事柄だけではない。総ての社會(huì)制度?全存在に対しての名言だ。難しくは『関係性のある生起』などともいう。

國(guó)家指導(dǎo)者やリーダーは、常にそれを念頭に置いて「全體の利益?國(guó)家の発展があってこそ、個(gè)人の能力が生きる」という啓発をしなければならない。ところが、國(guó)家指導(dǎo)者やリーダーが劣化すると、「地位も金もオレだけの能力の賜だ」と錯(cuò)覚して、社會(huì)還元を忘卻してしまう。

東大生の家庭の平均年収が、1000萬を超えたかどうかという議論がなされて最早、2、30年以上だろうか。教育格差が経済格差になり、経済格差が教育格差になるという負(fù)のサイクルが、我が國(guó)でも回り出しているのだ。エリート?キャリアの劣化が問われているのは、決して、他國(guó)の問題ではなく、隠れているだけに始末が悪い現(xiàn)代日本である。

さて、経済は社會(huì)の下部構(gòu)造である。因みに「下部構(gòu)造」とは古典的なマルクスの史的唯物論で、説かれている。物質(zhì)的な生産関係、つまり経済が社會(huì)の土臺(tái)であって、一義的に社

會(huì)的?政治的な制度、思想?蕓術(shù)などの上部構(gòu)造を規(guī)定するという考えである。

ただ、現(xiàn)代は単純にそうは考えられない。また下手をすると上部の人間の作った制度構(gòu)造や、思想が、下部をひっくり返しかねない複雑な社會(huì)に我々は突入している。ただ、「下部構(gòu)造が…」というのは、基本的概念としては説明に利用しやすい。

元に戻って、上部構(gòu)造の人間の意識(shí)が「能力主義錯(cuò)覚」に陥っている社會(huì)では、下部構(gòu)造が硬直化していく。総てが総てに関係し支えているという意識(shí)がなくなるのだから、経済も自己中心にならざるを得ない。

例えば、GAFAが市場(chǎng)支配をすると、その弊害は自由?競(jìng)爭(zhēng)の停止、富の偏在、社會(huì)の不安定化を招く。人類の経済史は、獨(dú)占－打破－市場(chǎng)の拡大－獨(dú)占－打破の繰り返しだ。歐米の規(guī)制は激しくなりだしている。持続的な発展を目指す取り組みも緒に就いている。

我が國(guó)の場(chǎng)合は、その辺りの規(guī)制は殘念ながら遅れている。といっても、強(qiáng)引な有様は余り見られない?！笖y帯の料金を4割引き下げろ」と言うのは菅官房長(zhǎng)官の発言だが、企業(yè)とのあうんの呼吸が見られる。

実は日本は自由主義?資本主義陣営に屬しながら「社會(huì)主義國(guó)」に近いといわれる。國(guó)民皆保険?生活保護(hù)などのセーフティネットなどを見ればよくわかる。「日本には乞食はいないの?。俊工润@かれるが、憲法に「健康で文化的な最低限度の生活が保障」されていて、生活保護(hù)制度などがあるために「乞食」は許されない。取り締まりの対象にさえなる。時(shí)折、ホームレスなどで見かけるのは、保護(hù)しても「自由」を求めて脫出するからである。まあ、何らかの改善が望まれるが…。

日本の格差が比較的小さく、様々な出來事にも大騒ぎせず、國(guó)民がまとまっているのは、「和」「無常」「思いやり」といった儒教や仏教の精神が、災(zāi)害の多発する國(guó)土?歴史と相まって、息づいているからであろう。このことは前に述べたが、前記のようにそれが破れつつあるのも事実である。

日本人の作りあげてきた精神性は、形而上學(xué)的な事象に留まらず、上部構(gòu)造の社會(huì)制度や、さらには経済的下部構(gòu)造をも飲み込んできた。まさに、世界的な孤立文明である。ただ、動(dòng)物的本能に支配された地球人類の転換點(diǎn)に立ってみると、未來志向の文明ではないかと私は考えている。

明治維新以來、帝國(guó)主義、軍閥、特高や軍部のみならずに蔓延する暴力、人権侵害、女性蔑視。そしてアジア侵略、結(jié)果として灰燼に帰した國(guó)土。戦後は、押しつけられたとは言えそれを取り入れて発展した民主主義?人権尊重?「日本の奇跡」といわれる経済の高度成長(zhǎng)。その中での「水俁水銀中毒」「イタイイタイ病」などの公害。大気は汚染され、河川も海も汚れ果てた。

それを戦後75年で乗り越えてきた。阪神淡路大震災(zāi)や世界初の都市テロのオウム真理教事件、東日本大震災(zāi)?津波?メルトダウンも、いま格闘の最中である。

「安かろう悪かろう」という日本製品は、いまや高品質(zhì)の代名詞である。農(nóng)村主體の封建制度的形態(tài)は解消され、教育程度は極めて高くなり、労働集約的重厚長(zhǎng)大（鉄や造船）産業(yè)から、高付加価値産業(yè)構(gòu)造への転換が進(jìn)みつつある。

真面目、控えめ、団結(jié)といった日本人の性質(zhì)や精神性は、極めて優(yōu)れたものだ。「噓をつくな」というのはお釈迦様の五戒の一つだが、これも素晴らしい。

物事を針小棒大に、虛実混ぜ合わせて、聲高に言う國(guó)もあるが、それに対して慌てる必要はない。淡々と冷靜に対処していくことである。外交力のみならず、日本の政治力?國(guó)民の総合力が世界の範(fàn)となると考えている。

ただ、恐れるのは、劣化しつつある官僚制や政治、教育制度、そして経済も含めて総てに漂う閉塞感である。明治維新の何倍かの大改革の必要性?必然性が高まっているように思う。

■筆者プロフィール：石川希理

1947年神戸市生まれ。団塊世代の高齢者。板宿小學(xué)校?飛松中學(xué)校?星陵高校?神戸學(xué)院大學(xué)?仏教大學(xué)卒です。同窓生いるかな？小説?童話の創(chuàng)作と、善く死ぬために仏教の勉強(qiáng)と瞑想を10年ほどしています。明石市と西脇市の文蕓祭りの選者（それぞれ隨筆と児童文學(xué)）をさせていただいています。孫の保育園への迎えは次世代への奉仕です。時(shí)折友人達(dá)などとお酒を飲むのが楽しみです。自宅ではほんの時(shí)折禁酒（笑）。中學(xué)教員から県や市の教育行政職、大學(xué)の準(zhǔn)教授?非常勤講師などをしてきました。児童文學(xué)のアンソロジー単行本數(shù)冊(cè)。小説の自家版文庫(kù)本など?！竿捊}本の読み方とか、子どもへの與え方」「自分史の書き方」「人権問題」「瞑想?仏教」などの講演會(huì)をしてきました。

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