以前、中國共産黨機(jī)関紙?人民日報系の環(huán)球時報に「中國民衆(zhòng)は政治改革をどう考えているのか？」という興味深い記事が掲載された。

【その他の寫真】

2010年11月付のこの記事によれば、環(huán)球世論情勢調(diào)査センターが中國7都市の市民を?qū)澫螭衰ⅴ螗暴`トを?qū)g施したところ、78％の人が「政治改革は當(dāng)然必要」と回答したとのことだ。しかし、改革の內(nèi)容については、「歐米式の民主制を推進(jìn)するべきだ」と答えた人が15．5％に止まり、「中國の特色ある民主政治を建設(shè)するべき」という回答が57％に達(dá)した。

アンケートの結(jié)果全體をまとめると「政治改革は必要だが、歐米式の民主主義をそのまま導(dǎo)入するのではなくて、社會の安定を保ちながらゆっくりと中國獨(dú)自の民主主義を形作っていくべき」ということになる。アンケートをしているのも、記事を載せているのも、共産黨機(jī)関紙傘下の新聞なのであまり説得力はないが、それでも個人的には、このアンケート結(jié)果は今の中國人の大多數(shù)の考えを反映しているのではないかと思った。

民主主義を絶対善と信じて疑わないアメリカ、日本をはじめとする西側(cè)先進(jìn)國は中國の一黨獨(dú)裁を悪と決めつけ、中國に歐米式民主主義の導(dǎo)入を迫っている。2010年も、中國の民主活動家が獄中でノーベル平和賞を受賞して物議を醸した。

かく言う私も日本で教育を受けてきたので、初めて“悪の獨(dú)裁國家”中國に來たときには「中國の國民は參政権も與えられず、獨(dú)裁者に抑圧された暗い毎日を送っている」と思い込んでいた。しかし、中國に住んでわかったのは、「人は參政権がなくても結(jié)構(gòu)幸せに暮らせる」ということだ。

歴史に「たら?れば」はないが、もし、1989年の天安門事件で民主化がし実現(xiàn)していたら、これだけ多くの人が幸せに暮らせる國になっていただろうか。「アラブの春」で民主化を勝ち取った國々が直面しているような民主化後の混亂が収まったとしても、近視眼的でポピュリズム的な政策が増えてカオス?fàn)顟B(tài)が続いたかもしれない。

日本の政治を見ていると、民主主義という制度は本當(dāng)に難しい制度だと思う。なぜなら、參政権を持った國民全員に、「自分のポケットにお金が入るか入らない？」ではなく、國の將來を見據(jù)えた大局的な判斷が求められるからである。

もちろん、一黨獨(dú)裁體制には汚職や無茶苦茶な行政という弊害があるので、政治改革は進(jìn)めていかなければならないだろう。しかし、上記のアンケートの回答にもある通り、その政治改革は、社會の安定を崩して、多くの人を不幸のどん底に陥れるような形であっては絶対にいけないと思う。

■筆者プロフィール：柳田 洋

北京華通広運(yùn)物流有限公司 総経理

1966年東京生まれ。早稲田大學(xué)商學(xué)部卒業(yè)後、丸紅で石炭貿(mào)易に従事。1996年より5年半にわたり丸紅北京支店に駐在するも、起業(yè)の志捨て難く、2001年丸紅を退社。そのまま北京に留まり駐在員事務(wù)所代行サービス會社を設(shè)立。その後、クロネコヤマトの海外引越代理店として物流事業(yè)を立ち上げる。著書に「起業(yè)するなら中國へ行こう！」（PHP新書）。