筆者の住む忠清南道?天安市にある梨花フェニックス病院の理事長（経営者）であるハン?ジュヒさんという方と晝ごはんを共にした。ハンさんは、60代後半くらいの男性である。大手企業(yè)の會(huì)社員勤めをしたあとで退職してから病院の経営をはじめた人である。本人は醫(yī)者ではない。日本では病院の理事長といえばたいていは本人も醫(yī)者である場合が多いかもしれないが、韓國ではそうでないケースもけっこうある。

東京に位置するある病院と姉妹血縁の関係を結(jié)んでいて、最近その病院を見學(xué)してきていろいろのアイディアを得たという。筆者はハンさんと東京の病院との姉妹血縁を結(jié)ぶときの橋渡しをしただけである。見學(xué)の際、病院の方々から手厚いおもてなしを受けたみたいで、あまりにも感謝の気持ちが大きかったゆえ、誰かとその気持ちを分かち合いたいということで筆者に連絡(luò)がきたのであった。

食事をしながら現(xiàn)在の日韓関係、會(huì)社員時(shí)代の話、病院見學(xué)時(shí)の話、1代目の大統(tǒng)領(lǐng)から現(xiàn)在までの大統(tǒng)領(lǐng)の話などなど、話題は次から次へと盡きなかった。そんな話の中から、読者の方々にもおもしろそうだと思えるようなことを書いてみたい。

まずは孫の話。東京で仕事（見學(xué)、會(huì)議）をする前に、大阪に行った。孫をつれて。ハンさんは自分の子どもたちをアメリカで數(shù)年育て、中國でも2年過ごしたという。アメリカ駐在員や中國駐在員をやったからである。出張なら、ドイツ、イギリス、オランダ、シンガポール、ベトナムなど、世界の主な國はだいたい行っているというほど、あちこち足を運(yùn)んでいる。世界のいろんな國を知ってそのうえで、孫の教育はなんと日本で受けさせたいと考えている。孫の親（つまり自分の息子?嫁さん）の了解は勿論得ている。

なぜ日本なのか。特に今のこの最悪の日韓関係のときに。誰でもそう聞く。筆者も聞いた。そのたびに彼はこう答えているという?！?a target='_blank' href='http://www.wenhuatang.com/search.php?filter=ノーベル賞'>ノーベル賞をバンバン取っている日本という國でひとつ教育を受けたら、なんであんなにノーベル賞が取れているのか、すこしでもわかるのではないか」と。日本の教育のせいでノーベル賞を輩出しているのではないような気もするのであるが、京都大の理系あたりで教育をうければ、あるいは何かがちがっているのかもしれないな、なんていう気もするので、あながちこのハンさんの考えが理不盡だとは思わないし、是非日本で教育を受けてノーベル賞をとってほしいと筆者はまじめに思っているのだけれど、お孫さんはまだ小學(xué)校入學(xué)前。大阪で、小學(xué)校の入學(xué)についてあちこち出向いて行ってかけあってみたけれど、小學(xué)校はちょっと難しいということがわかったという。親でも誰でもいいけど保護(hù)者がいっしょに住むということが條件になっているみたいなのだ。中學(xué)、高校からなら條件がもうすこしソフトになるので、中高からかな、といっていた。（この部分、筆者にもよくはわからない。確認(rèn)したわけでもないので右から左と読んでいただきたい）

お孫さんの話からわかるように、この方は完全に親日派である。親日派は韓國語の発音ではチンイルパとなる?！袱铯郡筏?、チンイルパです」とはっきりと言う。親日派。日本の人が見れば「あ、そう、日本が好きなんだね」という軽い気持ちでこの漢字語を読むはずだ。ところでこちら韓國では「チンイルパ」という語は、タブー中のタブーなのである。禁句中の禁句なのだ。知人友人ら數(shù)人の前でだったら「ナヌン　チンイルパヤ（オレは親日派だ）」ということはあるいはありうるかもしれない。しかし、大學(xué)の教室とか會(huì)社の會(huì)議室あるいは市民がおおぜい集まっている場でそんなことを言ったら大変なことになる。それほど、危うい語なのである。

日本の植民地の時(shí)代（1945年までのだいたい40年くらいの間）に、獨(dú)立運(yùn)動(dòng)をやるのか、チンイルパでやるのかが、韓國では一人の人間の生き方においての一大岐路だったからだ。チンイル（親日）でやっていくということは、その當(dāng)時(shí)はほとんど同胞を裏切って金や利益のために日本に身も心も売ってしまったという烙印を押されるようなものだったからだ。その伝統(tǒng)が今でも色濃く殘っているため、チンイルパという語は無條件で嫌われる語になっている。

そのチンイルパという語を、ハンさんは口に出して言うのだ。もちろん聞いているのは筆者一人だからなんの問題もないのだけれど。ところで、彼の言うチンイルパというのは、優(yōu)れているものは優(yōu)れているものとして素直に學(xué)ぶべきであるし、進(jìn)んでいることがあれば、それを習(xí)い、教えてもらうべきである。悪いものは悪いけれど、よきことはいいのである。たとえそれが日本のものであったとしても。ミソもくそもみんないっしょくたにして、日本否定、日本製品不買と叫ぶ韓國の同胞らがちょっとおかしいと感じている。今回の安倍氏のやり方には、さすがのハンさんもあれはちょっとやりすぎじゃない、という気持ちがあるけれども、だからといってデモを先導(dǎo)して日本否定にやっきとなっている人々にも納得がいかないという気持ちを強(qiáng)くもっている。だから筆者とも非常にウマが合って、2時(shí)間3時(shí)間の晝飯があっという間に過ぎてしまった。

ほかにもいろいろの話があるのだが、今回の文章はこれくらいにしようかと思う。ハンさんのような人がこちら韓國にどれくらいいるだろうか。筆者の完全な獨(dú)斷と偏見なんだけれど、おそらく20から30パーセントは下らないと考えている。日本否定の同胞たちをおかしい、こりゃちがう、と考えている韓國の人は結(jié)構(gòu)多いのだ。このことを日本の方々にはぜひ忘れないでいただきたい。

■筆者プロフィール：木口 政樹

イザベラ?バードが理想郷と呼んだ山形県?米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結(jié)婚。元三星（サムスン）人力開発院日本語科教授、元白石大學(xué)校教授。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。著書に『おしょうしな韓國』、『アンニョンお隣さん』など。まぐまぐ大賞2016でコラム部門4位に選ばれた。

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