2013年7月16日、第5回米中戦略経済対話が先週閉幕した。今回の対話も世界の注目を浴びた。両國政府の新體制発足後初の対話だったほか、対話前に「スノーデン事件」が起きたことで、雙方はより対等かつ真剣にサイバー問題について対話を行うこととなった。だが、今回の対話には1つの重要な議題が欠けていた。TPP（環(huán)太平洋連攜協(xié)定）に関する交渉だ。文：傅夢孜（フー?モンズー）中國現(xiàn)代國際関係研究院副院長。環(huán)球時報掲載。

米中戦略経済対話は本來、戦略性、大局性、長期性を備える二國間または多國間の問題について協(xié)議を行うものだ。だが今回雙方が意図的または無意識に軽視したのがTPPだ。バイデン米副大統(tǒng)領は10日の演説で「國際貿(mào)易の準則制定に參加したいとの中國の気持ちは理解する。だが中國は國際的な責任や義務の履行に対して慎重な姿勢でいる」と述べた。中國は最近、TPPへの関心をはっきりと示したが、バイデン副大統(tǒng)領は中國のTPP參加は非現(xiàn)実的との姿勢を示したのだ。

TPPはオバマ政権が最も重視する貿(mào)易政策イニシアティブだ。ドーハ?ラウンドが停滯しているため、TPPが実現(xiàn)すれば、將來の多角的貿(mào)易自由化を推進する原動力を世界貿(mào)易機関（WTO）に與え、アジア太平洋経済のメカニズムを形作る役割さえ発揮しうる。米國は現(xiàn)在、TTIP（環(huán)大西洋貿(mào)易投資パートナーシップ協(xié)定）と北米自由貿(mào)易圏の深化と推進に取り組んでおり、その「一體両翼」の世界経済貿(mào)易戦略がぼんやりと形を整えつつある。TPP、TTIPのいかなる拡大または複製も、もう1つのWTOであり、將來の世界経済?貿(mào)易のルールを決める新たなプラットフォームとなることは間違いない。

理屈から言えば、環(huán)太平洋経済貿(mào)易統(tǒng)合協(xié)定である以上、中國を欠くべきではないし、排除すべきではなおさらにない。だが中國がひっそりと脇に追いやられていることを、大多數(shù)の中國人は全く知らないだろう。後に米側(cè)の姿勢はいくらか和らいだものの、國有企業(yè)、労働者、環(huán)境保護基準、知的財産権、政府調(diào)達に関してTPPの設けている高い敷居が、中國を念頭に置いたものであることは見識のある人なら一目で分かる。米側(cè)がTPPを推進しながら中國を排除するのは、対中経済戦略に変化が起きていること、つまり長期間堅持してきた中國を國際秩序に融け込ませる既定の戦略に変化が起きていることを意味するのだろうか？

経済的に急速に臺頭し、しかも経済規(guī)模で急速に接近している中國に対して、米國はもう釈然としてはおられず、誘導と協(xié)力という雙方にメリットのある事が、抑圧と競爭の色彩を強められる可能性がある。米國はグローバル化をリードする熱意をなくし、グローバル化に逆行する心理すら生じている。多くの事例が示すように、米國という「最も自由市場の性質(zhì)を備えた」場所において、中國の民営企業(yè)は経営が難航している。

アジア太平洋地域は世界の未來を代表していると広く考えられている。中國経済は急速な成長を依然維持し、世界経済の活力、貿(mào)易の活力を代表する最大の存在だ。地域の貿(mào)易自由化の問題で、アジアが米國抜きで、あるいは米國の同意なしには何もなしえなかった時代はすでに過去のものとなった。ASEAN（東南アジア諸國連合）10カ國と中國を含む他の6カ國は東アジア地域包括的経済連攜（RCEP）の実現(xiàn)で同意。2013年5月にはブルネイの首都バンダルスリブガワンで初交渉が行なわれた。これはASEANを中心とする各自由貿(mào)易協(xié)定を整理統(tǒng)合し、より広範な貿(mào)易の自由化と経済の統(tǒng)合を?qū)g現(xiàn)することを目標としている。RCEPが実現(xiàn)すれば、約30億人の人口をカバーし、GDPは20兆ドル（約1994兆2000億円）に接近して世界の3分の1を占めることとなる。

米國がひとたびTPPまたはTTIPを?qū)g現(xiàn)すれば、中國は「WTO加盟」時の困難に再度直面することになるだろう。TPPがはっきりと示す対中経済戦略の異常な変化は、活力に満ちた米中経済貿(mào)易環(huán)境に影響を與え、米中間の相互疑念を激化させる恐れがある。オバマ政権が限られた枠を設定していることは、米國の戦略的視野がすでに狹まったことを示している。アジア太平洋地域の広範かつ深い統(tǒng)合のプロセスをどう推進するかにおいて、米中が自國のことのみ考えることは不可能だ。將來TPPとRCEPの連結(jié)を?qū)g現(xiàn)するうえでも、事前の設定が必要だ。

こうして見ると、中國を長期間排除する、または中國を特別な目で見るTPPは米中の経済貿(mào)易関係の將來の姿を映し出すプリズムとなると考えられる。TPPの戦略性、大局性、長期性は軽視できず、米中戦略経済対話で重要な議題として取り上げる必要が當然ある。（提供/人民網(wǎng)日本語版?翻訳/NA?編集/武藤）