<コラム>金敬姫氏が6年ぶりに公の場に

木口 政樹    2020年1月31日(金) 22時50分

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2013年12月に処刑された張成沢(チャン?ソンテク)氏の夫人の金敬姫(キム?ギョンヒ=金正恩氏の叔母)元労働黨秘書を、金正恩國務(wù)委員長が6年ぶりに登場させた。その背景は何か。寫真は北朝鮮。

2013年12月に処刑された張成沢(チャン?ソンテク)氏の夫人の金敬姫(キム?ギョンヒ=金正恩氏の叔母)元労働黨秘書を、金正恩國務(wù)委員長が6年ぶりに登場させた。その背景は何か。

韓國では舊正月がほんとの正月らしい正月。今年は1月25日が舊正月當(dāng)日。その日、三池淵(サムジヨン)劇場で金正恩(キム?ジョンウン)國務(wù)委員長および夫人の李雪主(リ?ソルジュ)氏と共に金正日(キム?ジョンイル)委員長の妹であり、処刑された張氏の夫人だった金敬姫元労働黨秘書(74)が、2013年以降初めて公開席上に現(xiàn)れた。金正恩國務(wù)委員長の叔母である金敬姫元労働黨書記が、夫の張成沢元國務(wù)委員會副委員長の処刑以來6年ぶりに公の席に登場したことで、その背景に関心が集まっている。

2016年8月に脫北し世界中を驚かせた太永浩(テ?ヨンホ)元英國駐在北朝鮮公使は1月27日、自分のブログに書き込んだ文章で、2013年、夫の張成沢氏の処刑とともに粛清されたとされる金敬姫氏が、実際には「水面下で金正恩氏の後見人の役割をしてきた」とし、「今回の金敬姫氏の登場は、後見政治の終了宣言、金正恩氏の“一人立ち”の出発と見られる」と明らかにした。また今回の金敬姫氏の登場では、「張成沢の粛清は、金敬姫が発起し実行は金正恩が行った可能性が高い」と主張する。太元公使は「金正恩と北朝鮮幹部をつなぐ金敬姫および張成沢を同時に打つというのは、金正恩としては途方もない政治的賭博」とし、「金敬姫の発起や黙認(rèn)、あるいは積極的な支持なしに張成沢粛清は不可能なことだったはず」と説明する。「張成沢が粛清され、反比例的に金敬姫ラインはさらに昇進(jìn)した」と語る。

太元公使は「金敬姫の登場は北朝鮮住民たちにも衝撃だろう」とし、彼女が突然公の場に登場した背景には、健康問題との関連があるだろうと分析する。太元公使は「この6年間、金敬姫が金正恩の後ろで高官を管理しながら水面下で後見人の役割をしてきたと仮定すると、金敬姫を突然登場させた真の理由は、金敬姫の健康が悪化している証拠」だとし、「もし、金敬姫が突然死ぬことにでもなったら、金正恩は永遠(yuǎn)に叔母を毒殺したという汚名から逃れられなくなる。だから早く北朝鮮社會に叔母の健在感をアピールし、叔父を処刑した張本人は自分ではなく叔母の決心であり、自分はこれを履行しただけということを見せたかったはずだ」とし、「金正恩の長期執(zhí)権で汚名として殘っている“金敬姫毒殺説”を洗い流し、叔父の処刑責(zé)任を叔母に転嫁するという誠に金正恩らしい“妙手”であり彼一流の“小細(xì)工”」とダメ押しする。

金敬姫の登場が今後の北朝鮮政策に及ぼす影響はどうか?太元公使は「今後、金敬姫の生の期間がいくらも殘っていないと見るなら、今後の北朝鮮の政治の行方を予測することができる」、「金敬姫は北朝鮮では“革命の2世代”、韓國で言うなら“おいぼれ、舊勢力、理念派、強(qiáng)硬派”に屬する」と説明?!缸蚰?回あった黨全員會議を契機(jī)に、金敬姫ラインの多くの幹部が家に帰った(権力から遠(yuǎn)ざかった)。金敬姫ラインはほとんどが70?80代で、金敬姫より少し上か同年輩たち」とし、「今は北朝鮮の権力序列で70代もあまりいない。數(shù)年內(nèi)に70代が全ていなくなって60代が占めるようになると、金正恩と幹部の間の年齢差が30年と狹くなる」と指摘。太元公使は「そういうふうに、おいぼれや舊勢力が抜けてゆき、金敬姫の影響力もなくなれば、金正恩、金與正(キム?ヨジョン)など金氏一家の3代が獨(dú)自に國政を運(yùn)営することになるわけだけれど、こうなれば、弾力性が増すと同時に混亂も大きくなるだろう」と見通した。

「今後、金正恩の悩みは若手幹部や北朝鮮のミレニアル世代をどう管理するか」だという?!腹伯b主義體制は一回の改革だけでは変わりにくい。世代交代を通じて何か新しくしようという試みが生まれ、改革が進(jìn)められる中で統(tǒng)制力を失っていって、體制転換に移っていったというのが共産主義のこれまでの歴史だ」と述べる。太元公使は「北朝鮮體制が既に失敗した體制ということを知らない北朝鮮の人はない」、「昨年12月に金正恩が北朝鮮軍団長たちを白頭山(ペクトゥサン)に連れて行き、北朝鮮の運(yùn)命は今後、革命の脈をいかに繋いでいくかにかかっているとハッパをかけたのも、すべてこのような理由と関連するもの」と話した。

「金正恩強(qiáng)硬政治の限界點(diǎn)が近づいている。我々は、北朝鮮の若手幹部らが『左』の信號を點(diǎn)けてクラクションを鳴らしながらも、ほんとは徐々に『右』にハンドルをきっているんじゃないかと常に注視していなければならない」とし、「舊勢力と理念は年老いてなくなり、実用を重視する若手幹部らが徐々に権力を握ることは避けられない生理的な変化」と指摘する。太元公使は「統(tǒng)一は近づいている。今後10年あるいは20年以內(nèi)に起こるはず」、「今から積極的に備え、統(tǒng)一への準(zhǔn)備を整えなければならない」と付け加えた。

筆者がネットなどで目にしている「予言」としては、2025年に南北統(tǒng)一がくるというのが一番多い。最近の狀況からみて、2025年の統(tǒng)一はないように思えるが、10年、20年というスケールで見れば統(tǒng)一がなされないとする理由があんまりないのではないだろうか。いろんな意味で準(zhǔn)備は必要なのかもしれない。

■筆者プロフィール:木口 政樹

イザベラ?バードが理想郷と呼んだ山形県?米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結(jié)婚。元三星(サムスン)人力開発院日本語科教授、元白石大學(xué)校教授。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。著書に『おしょうしな韓國』、『アンニョンお隣さん』など。まぐまぐ大賞2016でコラム部門4位に選ばれた。

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