湖北省武漢市で発生して感染が拡大しつつある新型肺炎について、原因となった病原體のコロナウイルスは、武漢市內(nèi)の市場で販売されていた野生動(dòng)物から人に感染した可能性が指摘されている。日本のSNSでは、「中國人がそんなものを食べているからだ」との非難が増えているようだ。本當(dāng)に正當(dāng)な非難なのだろうか。

指摘されている野生動(dòng)物は、2002年から03年にかけて発生したSARSの教訓(xùn)などから、野生動(dòng)物から人へのウイルス感染を防止することを念頭に、中國の法律でも取引が禁止されているという。だとすれば、武漢市內(nèi)の市場で取引されていたことについて、違法行為と非難することはその通りだし、それを放置していた當(dāng)局への批判も成り立つだろう。

ただ、気になるのは、日本のSNSで、野生動(dòng)物を食べることを「野蠻な食習(xí)慣」として非難する聲があることだ。

人とは動(dòng)物の一種であり、動(dòng)物の一種であるからには他の生命を奪わねば自らが生きていけない。菜食主義についてなど話を広げるとややこしくなるので、ここでは動(dòng)物を食べることは許されるという前提で議論を進(jìn)めよう。では、命を奪う対象となる動(dòng)物について「あれはよく、これはいけない」と、どうやって決められるのだろうか。

伝染病などの懸念がある場合や、絶滅の恐れがある動(dòng)物を食用にすることを禁止するのは當(dāng)然だ。しかしそのような場合を除いて、食用にすることの可否を設(shè)ける基準(zhǔn)は存在するのだろうか。

考えねばならないのは、食の対象は一般的に、過去からの経験の蓄積と習(xí)慣に密接に結(jié)びついていることだ。つまり、「食」には文化としての側(cè)面がつきまとう。だからこそ、自分が屬する習(xí)慣と異なるものを食べることに対して、強(qiáng)い違和感を持つことがある。

この違和感そのものについて、ここでは詳しく論じないが、人の本能に根ざすものと考えている。だから違和感を持つこと自體はやむをえないし、むしろ自然なことだ。しかし、自分の感覚だけで他者を非難したり排除するとなれば、話は違ってくる。

これだけ世界を人と情報(bào)が行き交う時(shí)代になると、異なる文化に接する機(jī)會(huì)も格段に増える。その時(shí)に大切なことは寛容さだと信じている。自分や自分の所屬する集団（例えば國）に実害を及ぼすような文化や習(xí)慣は排除して當(dāng)然だ。しかし、そうでなかったら寛容さを持つことが必要だ。でなければ、世の中はぎすぎすしていってしまう。憎しみの心と不信が増大する。それでは自分自身も苦しくなるばかりだ。

さて、野生動(dòng)物を食の対象にすることを改めて考えてみる?！感l(wèi)生面」などに関連する要素を除いて考えた場合「野生動(dòng)物を食べることは野蠻」「そんな食習(xí)慣は間違っている」と主張することは、異なる文化への非寛容さを示すことではないのか。

SNSへの投稿を見れば「文明人はそんなことをしない」「ちゃんと飼育した家畜を食べればよいのに」「野生動(dòng)物なんかを食べるのは文明的でない」という意見もある?！溉毡救摔悉饯螭胜长趣颏筏胜ぁ工趣我猡zめられていると理解してよいだろう。本當(dāng)にそうだろうか。

日本人は古くから魚を好んで食べてきた。現(xiàn)在では養(yǎng)殖魚も多いが、魚とは本來、野生動(dòng)物ではないのか。しかも、大量に流通している魚以外に、めったに水揚(yáng)げされない魚が「高級(jí)魚」として珍重される場合も多いのではないか。日本ではそう珍しいとも思えないこの考え方は、野生動(dòng)物を食用として珍重する中國人（中國人全員とは言わない）の考え方とどこが違うのか。

事情に詳しい人に聞いたのだが、魚類のウイルスが人間に感染して病気を引き起こす例は聞いたことがないということだった。もちろん、一部の魚は毒素を持っているし、寄生蟲や食中毒を防ぐためにはしっかり加熱するなどの注意が必要だが、魚を食べることは、野生の哺乳類や鳥類を食べるよりもリスクが低いと言ってよいだろう。このことは日本人にとって幸いだったが、「野生動(dòng)物を食べる嗜好」という點(diǎn)で本質(zhì)上の差異はない。

私は、野生動(dòng)物を食べる中國の習(xí)慣を非難する聲に接して、極端な主張や行動(dòng)を繰り返す、一部の歐米「反捕鯨団體」を思い出してしまった。

■筆者プロフィール：如月隼人

1958年生まれ、東京出身。東京大學(xué)教養(yǎng)學(xué)部基礎(chǔ)科學(xué)科卒。日本では數(shù)學(xué)とその他の科學(xué)分野を勉強(qiáng)し、その後は北京に留學(xué)して民族音楽理論を?qū)煿?。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業(yè)とするようになり、ついのめりこむ。毎日せっせとインターネットで記事を発表する?！钢袊慰諝荨工蛘i者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執(zhí)筆。中國については嫌悪でも惑溺でもなく、「言いたいことを言っておくのが自分にとっても相手にとっても結(jié)局は得」が信條。硬軟取り混ぜて幅広く情報(bào)を発信。

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