2013年10月23日、ハルビン市など中國東北部でこのほど“観測限界を超えた”大気汚染が検出された。この猛烈な大気汚染はいくつかの條件が重なって生じたものだが、その一つがなんと農(nóng)業(yè)だという。

【その他の寫真】

▼「スカウター爆発」級の大気汚染

ハルビン市では一時(shí)、1000マイクログラム?立方メートルを超えるPM2．5を観測。500マイクログラム?立方メートルを超えた時(shí)點(diǎn)でAQI（環(huán)境空気品質(zhì)指數(shù)）は最悪値の500と測定される。そのためハルビン市のAQIは上限の500を指し続けたまま?！赣Q測限界を超えた」と評されたゆえんだ。

なお一部中國メディアは「爆表」（計(jì)器爆発）という表現(xiàn)を使っている。これはマンガ?ドラゴンボールの戦闘能力を計(jì)る機(jī)器、スカウターが強(qiáng)敵に遭遇すると計(jì)測しきれなくて爆発することから生まれたネットスラング?！福螭媳恧筏俊梗ǎ螭文芰Δ粴荬松悉盲浚─趣い吆悉耸工Δ椁筏ぁ￥郡来髿輿A染関連では単純に「観測限界を超えた」という意味で使用されている。権威ある中國國営通信社?新華社までもが「ハルピンを包囲するスモッグ、PM2．5 の“スカウター爆発”続く」というタイトルで報(bào)じているのがすごい。

▼突然の大気汚染、その原因は？

さて、中國東北部に突然出現(xiàn)した猛烈な大気汚染、その原因はなんだろうか。ハルビン市政府は3つの原因があると説明している。

（1）気象條件。風(fēng)が弱いほか、逆転層の発生により対流が起きず、水平方向にも垂直方向にも大気が拡散しなくなった。

（2）都市周囲の農(nóng)地でトウモロコシや小麥の莖が燃やされた煙。

（3）冬季の集中暖房が始まったため、各所でボイラーが稼働し始めたこと。

農(nóng)家の問題という説明を政府の責(zé)任逃れと感じる人もいるようだが、農(nóng)地での焼卻処分はこれまでにも大きな問題となってきた。2011年には南京市など江蘇省各地を濃霧が覆い、化學(xué)工場の爆発があったのではなどとデマが広がる騒ぎとなった。しかしこの煙、実際には各地で小麥ワラの焼卻が始まったことが原因だった。

ハルビン市は現(xiàn)在、さまざまな大気汚染対策を打ち出しているが、その一つに農(nóng)地での焼卻処分取り締まりがある?，F(xiàn)在、農(nóng)村部に職員を派遣し、焼卻処分を取り締まっているという。

東北網(wǎng)は焼卻処分が増えた背景についても言及しているが、これがなかなか興味深い。トウモロコシを手作業(yè)で収穫していた時(shí)代には莖は燃料にされたり飼料にされたりしていたのだが、機(jī)械で収穫すると粉々に粉砕して畑にばらまかれてしまう。そこで焼卻処分が広まってしまった。また農(nóng)村にガスが普及したことで、莖を燃料として使う需要はますます薄れてしまった。

●高口康太（たかぐち?こうた）

翻訳家、ライター。豊富な中國経験を活かし、海外の視點(diǎn)ではなく中國の論理を理解した上でその問題點(diǎn)を浮き上がらせることに定評がある。獨(dú)自の切り口で中國と新興國を読むニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運(yùn)営。