新型コロナウイルス感染との闘いが世界的に深刻な狀況に陥っている中で、中國では習(xí)近平政権が3月中旬に「國內(nèi)の感染ピークは過ぎた」と宣言。大半の業(yè)種で営業(yè)が再開され、武漢市の封鎖も4月8日に解除される見通しである。中國はイラクやイラン、イタリア、スペイン、米國、日本などへの醫(yī)療協(xié)力を展開し始めた。

中國指導(dǎo)部は、世界的な危機(jī)がきっかけで共産黨政権の基盤を保てなくなることに不安を抱いているが、1990年代末のアジア通貨危機(jī)、2008年のリーマン?ショック危機(jī)などをバネに進(jìn)化を遂げて発展してきた。ところが1100萬人都市?武漢で蔓延したコロナウイリス感染は想定外だった。生命安全の問題にかかわるもので、國民の許容は難しく、強(qiáng)権で容易に納得させられる分野ではない。1～2月の主要経済指標(biāo)は大幅マイナスに沈んだ。中國國家統(tǒng)計(jì)局などが公表した最近の経済統(tǒng)計(jì)を分析すると、第1四半期（1～3月期）の國內(nèi)総生産（GDP）は前年同期比40％前後のマイナス成長に陥ったと見られる。

新型コロナウイリスは、昨年12月末の段階で、武漢での蔓延の実態(tài)が隠蔽され、初動が遅れたと批判された。宮本雄二?元駐中國大使は習(xí)近平政権で権力の集中が進(jìn)んだため、現(xiàn)場が自分の責(zé)任で対応する力が弱まったと指摘。「中國の國家組織の基本は、トップの指示を末端まで速やかに浸透させることで、習(xí)近平體制になって強(qiáng)まった。上からの指示がないと動かず、下から上がっていくことが、うまく機(jī)能しない組織の弱點(diǎn)を露呈した」という。

ところが、上から命じる感染封じ込めのフェーズに入ると、中國は「上意下達(dá)」の強(qiáng)みを発揮。ITによる「監(jiān)視社會」もあって感染拡大を急速に止めることが可能になった。今の中國は「顔認(rèn)証」システムにより、誰がどこで、いつ何をしたか、まで記録に殘る。感染者との接觸なども分かるので、感染ルートの解明も容易になった。今後は経済への影響をどの程度抑制できるかがカギになる。

◆14億人消費(fèi)とIT?AIが成長エンジンに？

金融?財(cái)政措置を総動員してV字回復(fù)を目指す。3月に入って中國での感染者が激減し、大半の業(yè)種で営業(yè)が再開され、街に繰り出す人が増えた。1月23日以來の武漢市の封鎖も4月8日に2カ月半ぶりに解除される見通しである。北京、上海などの大都市では「反動消費(fèi)」とのスローガンが踴る。

中國の孔鉉佑?駐日大使は「人口14億人超の消費(fèi)により中國経済は力強(qiáng)く復(fù)活する」と強(qiáng)調(diào)。今回の新型コロナウイリス禍の局面で「無人店舗、遠(yuǎn)隔醫(yī)療、オンライン教育、新エンタテインメント、AI（人工知能）、5G（次世代通信規(guī)格）、EV（電気自動車）、ビッグデータなど新しい経済の形態(tài)が生まれている」と指摘、巨額投資と相まって大きな成長エンジンになると見ている。

アジア開発銀行（ADB）は、2020年のアジア新興國（アジア大洋州の46カ國?地域）の國內(nèi)総生産（GDP）の前年比伸び率が2．2%にとどまるとの見通しを発表した。5．2%成長だった2019年から急減速し、アジア金融危機(jī)後の1998年以來22年ぶりの低さとなる。新型コロナウイルスの感染拡大で観光業(yè)や消費(fèi)、投資が落ち込むためと説明している。

ADBは中國の2020年の経済成長率は、2．3%増と19年の6．1%増から減速すると予想。2021年のアジア新興國の成長率は6．2%の大幅な回復(fù)を見込む。中國は7．3%増と6年ぶりに7%臺に乗ると予想している。

宮本氏によると、習(xí)政権は國民世論の動向に気を使い、これまで大多數(shù)の國民がノーと言うようなことはやっていない?！竾瘠稀盒窑护时O(jiān)視社會』と言われるほどIT管理社會を許容しているが、安心?安全という利益確保が前提。國民の利益に反したことにはノーを突き付ける」という。

武漢の深刻な事態(tài)を昨年12月末に伝えようとした李文亮醫(yī)師が自らもウイルスに感染。2月に肺炎で亡くなったことは衝撃的だった。李醫(yī)師は醫(yī)療関係者ら多數(shù)が參加するグループチャットで危険性を訴えたが問題視され、処分の対象になってしまった。この醫(yī)師が死去した日の夜、武漢市民は様々な形で一斉に追悼の意を表明。醫(yī)師をたたえる言葉が數(shù)多く交流サイト上に発せられ、「人災(zāi)」への批判も込められていた。不満の高まりに危機(jī)感を抱いた中央政権は國家監(jiān)察委員會のチームを急きょ、武漢入りさせ、李醫(yī)師の告発を闇に葬った責(zé)任を追及。一転して英雄扱いを認(rèn)めざるを得なかった。

中國民は共産黨政権が自分たちの生活を守れないと感じたら、一黨支配の正當(dāng)性にノーを突き付ける。だからこそ、習(xí)政権は海外向けと併せ、自國民向けの「復(fù)興アピール」に必死で、コロナ危機(jī)への対応に総力を挙げざるを得ない。（八牧浩行）