新型肺炎の防疫體制下、オンライン醫(yī)療プラットフォームが大繁栄している。2011年のスタート以來、順調(diào)に発展してきたが、新型肺炎でさらにジャンプアップした。終息後の中國(guó)醫(yī)療に、どのようなインパクトを與えるのだろうか。

■問題山積の中國(guó)醫(yī)療

中國(guó)の醫(yī)療には、問題が多かった?！搬t(yī)は算術(shù)”的なエピソードには事欠かないし、中國(guó)駐在員たちの語(yǔ)る恐ろしい體験は、ほとんど事実である。しかし今回は、それらをスルーして、問題の本質(zhì)に迫りたい。

中國(guó)では、個(gè)人開業(yè)醫(yī)を「西醫(yī)」、漢方醫(yī)を「中醫(yī)」と呼ぶ。中醫(yī)は、漢方薬の調(diào)剤だけでなく、針灸、整體、按摩まで、さまざまな施術(shù)を包含する。総合病院には、中醫(yī)科を設(shè)置している所もある。身體機(jī)能の回復(fù)や強(qiáng)化のアプローチである。一方の西醫(yī)は、大掛かりに根治を目指すアプローチだ。そこで中國(guó)人は、どうせ西醫(yī)にかかるのなら地元診療所より、最初から設(shè)備の充実した大病院へ行きたがる。その結(jié)果、中國(guó)の大病院は、大騒ぎとなってしまう。

地方都市が、醫(yī)療資源を著しく欠いているのも大問題だ。薬局の主人が、平気で抗生物質(zhì)を処方していたりする。大病院自身、ごっつあん體質(zhì)や、アングラリーダーの存在など、前近代的な部分は多い。

2年前、筆者の義兄（中國(guó)人）は結(jié)石手術(shù)のため、山東省の病院に入院した。そのとき義姉は、擔(dān)當(dāng)の大夫（醫(yī)術(shù)者の尊稱）へ1000元（1萬5000円）を包んだ。ところが同室の病人は3000元（4萬5000円）を渡していたらしい。義姉は、看護(hù)師のサービスが全く違う、とひどく憤っていた。

■オンライン醫(yī)療の急発展

こうした中國(guó)の風(fēng)土は、オンライン醫(yī)療発展には追い風(fēng)だった。スマホ時(shí)代の到來とともに急発展していく。

最初の問診アプリ「好太夫」は、2011年にスタート。以後「平安好醫(yī)生」「丁香醫(yī)生」「春雨醫(yī)生」などが続く。さらにテンセント「企鵝杏仁」、アリババ「阿里健康」、京東「京東健康」等、IT巨頭も參入した。

互聯(lián)網(wǎng)週刊「2019醫(yī)療APPランキング」のトップ5は

1位 平安好醫(yī)生

2位 春雨醫(yī)生

3位 好大夫在線

4位 I薬店

5位 微醫(yī)

中でも中國(guó)平安グループの「平安好醫(yī)生」は、頭一つ抜けた存在だ。目標(biāo)は「移動(dòng)醫(yī)療＋AI」を確立し、すべての家庭にホームドクターを提供することである。主要な効能は、ホームドクター、問診カルテ、名醫(yī)館、健康コミュニティーの4つ。會(huì)員制の「平安好醫(yī)生私家醫(yī)生會(huì)員」もある。2019年12月のユーザー數(shù)3億1500萬（18．9％増）、月間アクティブユーザー6690萬、売上50億6500萬元（51．8％増）、うちオンライン醫(yī)療業(yè)務(wù)は8億5800萬元（108．9％増）だった。香港市場(chǎng)の上場(chǎng)企業(yè)である。

中投投資顧問の推計(jì)では、2018年、中國(guó)“遠(yuǎn)程醫(yī)療”市場(chǎng)規(guī)模は、130億元（2000億円）だった。これからの5年、平均27．6％で成長(zhǎng)し、2022年には345億元に達(dá)する見込みだ。將來的に1000億元も狙えるという。何もなくても順風(fēng)だった。そこへ新型肺炎特需の後押しである。

■新型肺炎特需に湧く

易観數(shù)居の最新データによると、防疫體制入り以後、30の問診アプリが活動(dòng)し、10萬の醫(yī)師が診療した。國(guó)家衛(wèi)生健康委員會(huì)が、率先して利用を推奨したのも追い風(fēng)となった。

この期間、平安好醫(yī)生アプリの累計(jì)閲覧者數(shù)は11億におよび、新規(guī)ユーザーによる問診數(shù)は、平常の9倍になった。

他のオンライン醫(yī)療アプリも爆発した。京東グループの「京東健康」は、オンライン問診が1日平均10萬回に達(dá)した。これは世界最大の病院5日分に當(dāng)たる。呼吸器內(nèi)科、感染科、精神心理科への問診が大幅に増加した。中でも呼吸器內(nèi)科は、通常の10倍以上、総問診の35％前後を占める。性別は男性60％、女性40％。年齢別では、16～25歳　14％、26～35歳　53％、36～45歳　22％で、若い層が多かった。

もう1つ「微醫(yī)」の取組みも“インターネット＋未來”モデルとして注目を集めた。1月21日、人民日?qǐng)?bào)などマスコミ各社や公的機(jī)関と提攜し、無料の「新冠肺炎防治服務(wù)プラットフォーム」を立ち上げた。全國(guó)21省の125都市、1000の病院、2萬人の醫(yī)師の協(xié)力により、1萬2000種類のオンラインサービスを提供中だ。1日50萬を超えるユーザーが相談に訪れた。

■まとめ

2013年以降、中國(guó)ではスマホを核としたイノベーションが一気に進(jìn)んだ。既存業(yè)界の抵抗や既得権益層の少なさは、日本に比べアドバンテージだった。キャッシュレスやシェアエコノミーが一気に浸透した。

醫(yī)療は例外的に既得権の壁が高く、前近代的な業(yè)界だった。オンライン醫(yī)療の発展で改革は進(jìn)んでいたが、新型肺炎は爆薬となり、普及は一気に加速している。洗練された“靜寂”な大病院が現(xiàn)れるかどうか。その可能性は十分ありそうだ。

■筆者プロフィール：高野悠介

1956年生まれ、早稲田大學(xué)教育學(xué)部卒。ユニー株（現(xiàn)パンパシフィック）青島事務(wù)所長(zhǎng)、上海事務(wù)所長(zhǎng)を歴任、中國(guó)貿(mào)易の経験は四半世紀(jì)以上?，F(xiàn)在は中國(guó)人妻と愛知県駐在。最先端のOMO、共同購(gòu)入、ライブEコマースなど、中國(guó)最新のB2Cビジネスと中國(guó)人家族について、ディ－プな情報(bào)を提供。著書：2001年「繊維王國(guó)上?！箹|京図書出版會(huì)、2004年「新?繊維王國(guó)青島」東京図書出版會(huì)、2007年「中國(guó)の人々の中で」新風(fēng)舎、2014年「中國(guó)の一族の中で」Amazon Kindle。